どうして神経を抜いた歯があると不妊・不育のおそれが高まるのか?橋本病と感染根管の関係とは? | 病気を改善する、健康を増進する歯科治療

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不妊症の原因は「神経を抜いた歯」だった?

歯科治療と不妊・不育の関係をテーマにお話をしています。

(不育症:妊娠はするが胎児が育たず流産を繰り返すこと)

今日は神経を抜いた歯=感染根管と不妊・不育症について解説します。

 

神経が無い歯は二種類あります。

一つは虫歯が深くて神経まで達しているので神経はまだ生きているけれど抜く必要があった歯

もう一つは虫歯が深くてすでに神経が死んで腐敗していたので根管の治療をした歯

です。

 

前者は日本の治療水準だと治療終了後数か月とか数年で半数が化膿してくるといわれています。

後者は相当手間をかけて腐敗物を除去して時間をかけて消毒する必要があります。

いずれにしても神経を抜くこと自体も問題だけれども、内部で細菌が繁殖して腐敗が起きることがより大きな問題になります。その状態を感染根管といいます。

 

腐敗が起きることで腐敗毒素やばい菌が歯根から持続的に体内に拡散されるようになります。

それが不妊・不育の原因になるのです。

 

ではどうして感染根管が不妊症や不育症の原因になりうるのでしょう?

それは感染根管があると橋本病という甲状腺機能低下症になりやすくなるからです。

 

橋本病(甲状腺機能低下症)はどうして不妊症・不育症に繋がるのか?

 

橋本病は甲状腺の病気です。自分の免疫が自分の甲状腺を攻撃してしまうために甲状腺が萎縮して充分に甲状腺ホルモンを出せなくなる病気です。甲状腺ホルモンが充分に分泌されていない状態が続くと高プロラクチン血症になります。高プロラクチン血症とは血液の中にプロラクチンというホルモンが増えてまう状態のことをさします。血中のプロラクチンの濃度が高いと妊娠しずらくなったり、妊娠したとしても胎児の発育が滞りやすくなります。そして流産しやすくなるのです。

 

感染根管があると橋本病になりやすくなります。橋本病になると高プロラクチン血症となり不妊症や不育症になりやすくなります。また橋本病のために甲状腺ホルモンが充分分泌されていないと胎児に充分甲状腺ホルモンを与えることができなくなり胎児の成長発育が滞り流産しやすくなるのです。

 

妊娠・出産に不利な条件となる甲状腺機能低下症になる橋本病は自己免疫疾患の一種だといわれています。自己免疫疾患とは自分の免疫が自分の体の一部を異物と判断して攻撃して排除しようとする病気です。

 

橋本病は甲状腺に対する自己免疫の攻撃が起きる病気です。感染根管は自己免疫疾患・膠原病の発症を促す場合があります。例えばリュウマチ線維筋痛症シェーグレン症候群などがあります。リュマチや線維筋痛症(自己免疫疾患という説がある)は感染根管の問題をクリアにすると治ってしまうことがあります。ですから自己免疫疾患と感染根管の関係性は深いと思われます。

 

どうして感染根管が自己免疫疾患のきっかけになるのでしょう?

 

橋本病も自己免疫疾患といわれています。感染根管が発症の原因の一つになります。ではどうして感染根管が自己免疫疾患のきっかけになるのでしょうか? 

 

それは次のことが考えられます。

内部で腐敗してばい菌が繁殖し、腐敗毒素とばい菌を周囲にばらまく感染根管は身体にとって有害であるために排除したいものである。ゆえに神経を抜いて内部で感染を起こしている歯は異物であるから攻撃する。という図式です。

 

免疫は異物を排除する、有害なものを排除するという体の働きです。異物は全て排除するのか?というと必ずしもそうではありません。異物でも体に有益なものは取り入れるのです。例えば腸の免疫は異物でも体に有益なものは取り入れるという免疫寛容性を持っています。

 

かっては生きた臓器であった『歯』。神経=歯髄を抜けばもはやその歯には血が通わなくなるので、生きた臓器ではなくなりただの有機物になってしまいます。それだけでも免疫からすると立派な異物になり得るのですが、さらにばい菌や腐敗毒素を体内にばらまく存在になれば立派な排除対象になります。

 

そんな有害で腐敗した有機物(感染根管)頑張って排除する必要があるのです。かっては自分の一部だった歯根、でも今は異物に認定され排除対象になる。でも歯根は免疫にとって巨大な異物です。ウイルスや病原菌や癌細胞などのミクロな異物ではありません。免疫は歯根という巨大な象に対してちっぱけな蟻のようなものです。しゃにむにがんばって、しかも時間をかけないと排除できるものではありません。

 

だから免疫さんは頑張ってしまうのですね。かっては自分の一部だった巨大な異物を排除するために。

 

実際歯根は免疫によって溶かされる場合があります。それは歯根吸収という現象です。しかし歯根を溶かして無くして行くには年単位の歳月が必要になります。それだけの期間免疫さんはハードワークするのです。しかもかっては自分の一部だったものに対して、、、、 

 

しかし免疫さんが頑張りすぎて周りの関係ないものを巻き込んでしまうことがあります。その際とばっちりを受けるのが健全な他の臓器や組織です。関節や靭帯がとばっちりを受ければリュウマチ、筋肉や筋膜がとばっちりをうければ線維筋痛症、唾液腺や涙腺がとばっちりをうければシェーグレン症候群、そして甲状腺がとばっちりをうければ橋本病という図式です。

 

解決法は?

すっきり、迅速にその図式を解消するには神経を抜いた歯=感染根管を抜歯して抜歯した痕もきれいに丁寧に掻把(ソウハ)することです(キャビテーション手術)。それが確実な方法です。

 

しかし、無闇やたらにほいほいと抜歯するのは考えものです。抜いたものはもとにはもどりません。

 

ですからとりあえず、感染根管の無菌化と無毒化を試しましょう。その際外科的物理的に徹底的に歯根の管の内面の腐敗部分を削り取り消毒するのは基本として、さらに薬剤のデリバリーシステムを備えた内科的歯内療法で歯根の本体の壁の中も隅々まで無菌化させる必要があります。その結果としてリュウマチや線維筋痛症、橋本病の治癒が見られるもの珍しいことではありません。

 

さこれから子供を授かりたいという方も、妊娠しずらいという方も、流産を繰り返すという方も、神経を抜いた歯=感染根管の有無が重要なチェックポイントになります。感染根管の問題は大きな盲点です。心配な方は感染根管と健康維持、健康回復に詳しい歯科医師に一度相談してもいいかもしれません。

 

おおはし歯科クリニック院長 大橋康之