《感想》モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語 | HYGGE 創作活動·読書感想

HYGGE 創作活動·読書感想

私たち、創作サークル Hygge(ヒュッゲ) は
関西を拠点として、小説を中心としたに同人活動を行っています。

このブログでは、メンバー4人の創作活動の源ともいえる
読書や日々の記録を残しています。
詳細はプロフィールページをご覧ください。

いらっしゃいませ、木庭です。

友人に勧められて読み始めたこちらの本。
製本が特徴的で、見た目から興味をそそる一冊です。

内田洋子先生といえばイタリアにまつわるエッセイの名手。タイトルから本屋の話なんだなくらいの気持ちで読み始めたら、次から次へと開かれて行く、イタリア出版界の歴史の物語に夢中になってしまいました。

ヴェネチアにある小さな古書店から始まり、13世紀「神曲」のダンテの時代まで遡ったり、イタリア山間部の村・モンテレッジォとヴェネチアを中心にイタリアの町村を訪ねたり、イタリア出版の古今東西を巡る旅は冒険小説のようなワクワクがあります。
村人の証言に基づいて次の目的地へ向かうなんて言うのは、さながらRPG!(笑)

内田先生はWEBインタビューに「小説家ではないから、事実より胸を打つフィクションは書けない」「写真のキャプションを書くような気持ちで丁寧に事実を伝える」事を心掛けていると答えていらっしゃいます。(引用はリンク先インタビュー本文より)
そのお言葉のとおりの文章で、一緒に旅に出た気持ちになりました。

この本、amzonに出ている書影の白い部分は太い帯状になっていて外すことができるのですが、その下にはモンテレッジォと思われる村の写真が前面にデザインされています。
「山の中に村」としか言いようがないのですが、なんともいえず不思議な風景。
読み終えた後は、なんとも愛おしい風景に見えます。

本が読めることの幸せと喜びに満ちた一冊でした。