映画「満員電車」市川崑作品 | ほくとの気ままなブログ

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映画「満員電車」

 

1957年 大映 99分

 

 

<監督>

市川崑

<キャスト>

川口浩、

笠智衆、

杉村春子、

小野道子、

川崎敬三、

船越英二、

浜村純

 

<内容:ネタバレ注意>

茂呂井民雄(川口浩)は平和大学を卒業し駱駝麦酒株式会社に就職した。

日本には我々が希望をもって坐れる席は空いてない。

訳もなくはりきらなくては、というのが彼の持論。

社員講習の日、一の関の高校の教師となって行く同窓の壱岐留奈(小野道子)に逢い二人は軽くキスして別れた。

講習が済むと民雄は尼ヶ崎へ赴任した。そこで彼は同僚、更利満(船越英二)から「健康が第一、怠けず休まず働かず」というサラリーマンの原則をきかされる。

ある日、故郷の父(笠智衆)から母(杉村春子)が発狂したと知らせてきた。

 

民雄は平和大学生課に月二千円で母の発狂の原因、治療を研究する学生を依頼した。応募したのは和紙破太郎(川崎敬三)

彼は民雄の父に会い市の有力者であることを利用して精神病院の設立を約束させる。

 

ある日民雄の許に、県の財政縮小で整理された留奈が訪ねて来、生きるために結婚を迫った。しかし気持はあっても毎月の失費に追われる彼としては断るほかなく彼女はあっさり帰って行く。

 

 

その後、民雄は膝の痛みでうった注射に苦しみ高熱のため髪が真白になってしまう。

 

 

そこへ気狂いになった筈の母がきて、狂ったのは父だときかされる。民雄は病院で和紙に会い父を利用した彼を難詰する。

 

 

そしてチャンスを利用する三段とびの持論をふりまわす和紙はそのゼスチュアの勢いが余ってバスにはねられ、止めようとした民雄は電柱に頭をぶっつけて昏倒。

目がさめると髪はもとの黒。看護婦は精神に休養を与えたからだという。

 

しかし尼ヶ崎に帰った彼はクビになっていた。

安定所で職を求める彼に小学校の小使の口。そして群衆の中でばったり留奈に逢った彼は嬉しさの余り結婚を申込むが既に彼女は小使と結婚していた。

そして--ある小学校での入学式に万国旗をあげる民雄の小使姿があった。

(映画COM)

 

 

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ストーリー、これだけでは何が何だかわかりませんよね。ご覧になっていただけないと、なんともいやはやw

 

大学卒業の青年を通して社会の真実の姿を描く、市川崑監督の異色作となっております。

今は撤退してしまったギャオにて、だいぶ前に初鑑賞。

 

市川崑マジックともいうのでしょうか、学歴崇拝の時代にこのようなサラリーマンの悲哀シリアスに、またコミカルに、シュールに、カリカチュアされた退屈なサラリーマンを描いている点は高評価です。

寒暖差、いやいやアップダウン激しい一種独特のテンポ展開も、観ているものを飽きさせない。

 

ただし内容がいささか古臭い、現代社会でこの作品を観た人は、どの様に感じるだろうかと思いきや、社会の本質は昔も今も変わっていない事に気づかされるでしょう。

 

いやぁ~、今はなき俳優の方々当たりまえですがお若いですね。

笠智衆さんのすっとボケは相変わらずで、杉村春子さんとの夫婦の掛け合いは、これまた良し。

 

 

冒頭からちょっと興味を引き付ける展開になっています。

明治~大正~昭和~現代と大学の卒業式の様子が映し出されます。

日本の最高学府の卒業式の変貌は、観ていて面白かったです。

 

その大学の卒業式に、学生役で田宮二郎さんが出ていました。たぶんクレジット無しではないでしょうか。でもあの独特の雰囲気は、すぐに彼だとわかるはず。

 

満員電車 1957年 日本 大映 - migihanshin's blog

 

コミカルな中に、けこう痛烈な社会風刺が込められた作品になっております。

 

市川崑監督は、このような作品も撮っていたのだと新鮮でした。

 

 

5点満点中3.7

(画像全てお借りしました)