映画「蜘蛛巣城」午前十時の映画祭12 | ほくとの気ままなブログ

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午前十時の映画祭12

 

映画「蜘蛛巣城」

 

 

1957年 東宝 110分

 

<監督>

黒澤明

<脚本>

小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明

<キャスト>

三船敏郎、

山田五十鈴、

千秋実、

浪花千栄子、

志村喬、

 

<内容>

シェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換え描いた、戦国武将の一大悲劇。

謀叛を起こした敵を討ち城主の危機を救った鷲津武時は、帰城途中に出会った老婆から不思議な予言を聞く。

その予言通りに大将に任ぜられると、今度は妻にそそのかされて主を殺害、自ら城主の地位に着く。

 

黒澤監督は、欲望に刈られた魂が繰り返す殺戮と狂気を、能の様式美に乗せて見事に描いていく。

三船=マクベスが無数の矢に曝されるラストシーンは圧巻。

(映画.COM)

 

 

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昨年12月に、午前十時の映画祭12で鑑賞した作品。

だいぶ記事アップが遅くなってしまいました。

 

特にこの映画は、主人公鷲津武時演じる三船敏郎が無数の矢を浴びるシーンが有名。

 

 

 

ご存知の方もい多いとは思いますが、なんと本物の矢を三船とその周辺めがけて矢を射って撮影したのです。

 

 

今ではコンプライアンス的に、絶対駄目でしょうね。

ですから三船敏郎が本当に恐怖におののき、逃げ回る臨場感は本物です。

そのあまりにもひどい演出をした黒澤監督に対してその後、腹が立って酔った三船は、怒り心頭で散弾銃を持って黒澤監督の自宅に押しかけた、というような後日談もあるくらいの事だったのです。

 

 

 

また野心家で冷酷な妻・浅茅を演じた山田五十鈴の演技は幻想的です。

 

 

能の静かな動きと能面の様相、その雰囲気を出している演技は、三船とは対極的でした。

 

 

その山田五十鈴の演技のなかで死産の後、手についた血が落ちないと幻想を見て、手を何度も何度も洗うシーンは、黒澤監督いわく「これほど満足したカットはない」と言わしめました。

その鬼気迫るシーンは見ものです。

 

また演技のいたるところでは、能の様式美や演目をとりいれているのが特徴的。

私は全くの能は詳しくないのですが詳しい方は、シーンごとに能のあの演目を参考にしているなど発見する楽しみがあるのではないでしょうか。

もちろん知らなくても大丈夫です。

 

さて内容ですが、勇猛果敢だが小心な一面もある将軍マクベスが妻と謀って主君を暗殺し王位に就くが、内面・外面の重圧に耐えきれず錯乱して暴政を行い、貴族や王子らの復讐に倒れる。というシェークスピアの「マクベス」が元になっております。

 

 

 

その内容を、前述したように能の様式美を取り入れた、マクベス=三船のシェークスピアの舞台劇ですから、確かに芸術性がある作品に仕上がっているとは思います。

 

ただし黒澤作品の「七人の侍」や、「隠し砦の三悪人」、はたまた「椿三十郎」や「用心棒」などの作風と比べるとちょっと異なりますので、ストーリー展開が退屈になる方もいるかもしれませんね。

 

素晴らしい芸術的な作品でありますが、個人的には数ある黒澤監督の作品の中で、上位にはいれないかと思います(他に好きな作品がいっぱいありますのでw)

 

5点満点中3,8