活弁付サイレント映画「ノートルダムの鐘」 | ほくとの気ままなブログ

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活弁付サイレント映画

「ノートルダムの鐘」

 

1923年 アメリカ 98分

 

<監督>

ウォーレス・ウォースリー

<原作>

ヴィクトル・ユーゴ、「ノートルダム・ド・パリ

 

<キャスト>

カジモドロン・チェイニー、

エスメラルダパッツイ・ルース・ミラー、

 

<活動弁士)

澤登翠

 

 

<ピアノ>

新垣隆

 

 

<内容:ネタバレ注意

1482年、パリ。

背中にこぶを持つカジモドノートルダム大聖堂で働く鐘つき男

 

 

ある日、大聖堂の前で祭が開かれ、そこで踊っているエスメラルダという美しいジプシーの娘を見かける

 

 

カジモドの主人、クロード大僧正にはジェハンという弟がいる。ジェハンはエスメラルダを欲し、カジモドに誘拐させようとする。

 

 

 

しかし、たまたま通りかかった禁衛警護の武士フォッビュがエスメラルダを救い、カジモドは逮捕される

フォッビュとエスメラルダは恋に落ちる

 

しかし、エスメラルダの養父で、悪党の巣窟「奇跡御殿」の主クロパンは二人の恋を許さない。

 

カジモドは公衆の面前で鞭打ちの刑に処せられる

喉が乾いて苦しんでいるカジモドを哀れに思い、エスメラルダは水を与える。

 

 

カジモドはエスメラルダの優しい心に感謝する。

 

エスメラルダを得るためにはフォッビュが邪魔と考えたジェハンは、二人が逢引している最中に、背後からフォッビュを刺す。駆け付けた人々はエスメラルダがやったと誤解。

エスメラルダは無実を主張するが、拷問に耐えられず、やってもいない罪を認めてしまう。

エスメラルダの絞首刑が大聖堂の前で行われようとしている

 

 

しかし、以前に助けられた恩返しからカジモドはエスメラルダを救出、聖域である大聖堂の中にかくまう。

 

エスメラルダを奪い返そうとクロパンに率いられた群衆が大聖堂に押しかける。ひとり防戦するカジモド。群衆の頭上に溶けた鉛の雨を降らせる。鎮圧のため警護隊も到着する。この混乱に乗じてジェハンはエスメラルダを連れ去ろうとする。そうはさせじとカジモドはジェハンと争う。

 

 

ジェハンに刺されながらも、カジモドは城壁からジェハンを投げ落とす。エスメラルダは怪我から復帰したフォッビュと再会する。

二人を祝福するように大聖堂の鐘が鳴り響く。

瀕死のカジモドが最後の力を振り絞って鳴らしているのだった。

(ウィッキペディアより抜粋)

 

 

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何度も映画化や舞台でも上演されたり、あのディズニーアニメでも製作されているヴィクトル・ユーゴ原作「ノートルダム・ド・パリ」の初映画化作品。

 

今回は、1923年に製作されたそのサイレント映画を、活動弁士界の重鎮「澤登翠さん」とあの「新垣隆さん」のピアノ伴奏による、カツベン付き無声映画上映を鑑賞してきました。

 

いや~まさに待ち焦がれていた澤登翠さんの生の語り、大満足でした!!

 

さて「ノートルダムの鐘」という題名でピンとこないかたでも、「ノートルダムの傴僂男(せむしおとこ)」という題名だとご存知の方もいるでしょう。

どうも、せむし男という表現が差別用語だとして、ノートルダムの鐘になっているようですが、ただそのような表現は日本だけのようです。

 

登場人物の設定やラストなど、原作またそれぞれの作品ごとで異なっています。

ネタバレ注意ですが、今作品はある意味ハッピーエンドなのかもと思った次第。

 

 

パリの闇社会「奇跡御殿」そしてノートルダム大聖堂をはじめ、15世紀のパリの街再現した巨大なセットは見ものです。

豪華絢爛の一言!

いまではこのようなセットを作ることはまずできないでしょうし、また作らないでしょうけれど。

 

そして約100年前の映画ではありますが、そのセットに負けず劣らずの俳優陣の演技に魅了されます。

またサイレントでも素晴らしい作品ではありますが、そこに活動弁士の重鎮「澤登翠」さんの語りと新垣さんのピアノ伴奏が、本編の面白さを倍増いや10倍増くらいといっても良いでしょう。

観るものは知らず知らずのうちに、銀幕に引き込まれカツベンの波にのみこまれていきます。

 

 

映像、音楽、語りの見事な融合

 

 

本編が始める前に数分、新垣さんのご紹介なども含め澤登さんが舞台上で話をされましたが、なんとまぁ可愛いお声。

それが作品で語ると、ドスの効いた男性の声から、か弱い女性の声はたまた子供たちなどまさに七色の声で楽しませてくれます。

そして伴奏の新垣さんも、この作品のために作曲されたピアノの演奏が本当に画面によく合っていました。

映像、音楽、語りが三位一体になり見事な上映会場になっていました。

 

戦前の三大怪奇スターの一人でもある主演のロン・チェイニーは、1925年のオペラ座の怪人でファントムを演じていたのでも有名です。

 

↑ファントム

 

今作品でも、ロン・チャイニー演じるカジモドの怪演は、脳裏にしっかりと焼き付けられました。

その容貌演技に圧倒されること間違いないでしょう。

 

 

この映画作品では、ジプシーの踊り子エスメラルダに恋心をいただく、カジモド、クロード大僧正の弟ジェハン、禁衛警護の武士フォッビュの3つ巴の物語ともみえますが、当時の貴族と平民との経済格差、魔女狩りが横行していたような教会内での時代背景、そして姿かたちだけで判断できない人間の本質や愛なども描かれた作品のようにも見えました。

 

 

怪奇醜悪なる外貌の為に人々の嘲笑の的とされ、卑屈な日々を送っていたていたカジモドが、エスメラルダとの出会いによって人間的な心を取り戻すなど、ヒューマンな面も見せています。

 

そして当時の民衆の生き生きとした生活、その反面不満のマグマがいつ爆発するであろうか危うい社会も描かれています。

また、ジプシーの子として養父クロパンに育てられたエスメラルダの出生の秘密なども同時進行で明らかにされるなど、展開もテンポもなかなかよかったですね。

 

本当にあっというまの98分でした。

 

 

ラスト、エスメラルダとフォッビュの無事と二人が抱き合う姿を見て、かすかな満足を感じ最後の力を振り絞り、自身の仕事でもあるノートルダム大聖堂の最後の鐘をつき終えるカジモドの姿には、愁いを感じざるを得ませんでした。

 

原作とは少し設定が異なりますが、この作品はこの作品でなかなか良かったですよ。

 

5点満点中、カツベン付きという条件で4.2

 

 

日本語字幕付きです