映画「否定と肯定」 | ほくとの気ままなブログ

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映画「否定と肯定」

 

 

2016年 イギリス、アメリカ合作 107分

 

<監督>

ミック・ジャクソン

<原作>

デボラ・E・リプシュタット

「否定と肯定 ゴロコーストの真実をめぐる戦い」

<キャスト>

レイチェル・ワイズ、

トム・ウィルキンソン、

ティモシー・スポール、

アンドリュー・スコット、

 

<内容>

1994年、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が唱えるホロコースト否定論を自著「ホロコーストの真実」で否定していたユダヤ人の女性歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)は、アーヴィングから名誉毀損(きそん)で提訴される。

やがて、法廷で対決することになった彼女のサポートのためイギリス人による大弁護団が結成され、歴史の真実の追求が始まり……。(シネマトディ)

 

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ギャオにて初鑑賞。

原作を元に実際に起こった「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件」扱った歴史法廷劇

 

 

ホロコースト否定論と対決する物語と興味そそられる題材ですが、法廷劇として少々展開などで迫力に欠けていた感じです。

個人的には、どうしても白熱の法廷劇として古い映画ですが、「スミス都へ行く」「アラバマ物語」などと比較してしまうと、熱が感じられませんでした。

 

 

ただそれもそのはず、被告のアメリカ人でユダヤ人の主人公が、イギリスの弁護団の戦略として終始黙しているようにという指示だからしかたがないところなのでしょうか。

原告と被告が丁々発止のやりとりをするという場面をついつい想像し期待してしまいましたが、この映画のように紳士的なやりとりに徹するのがどうも「英国式」の裁判のよう

この点を知ることができたこと、またネオナチの人間のある一面も知りえただけでも、観た価値があったかもしれません。

 

 

派手さはありませんが、ホロコースト否定論を崩すために、丹念に証拠を集めていく弁護団の静かな闘志は見ごたえある場面でもありました。

 

 

アメリカ人気質?か正々堂々と自らが法廷に立って反論論破したい主人公、かたや裁判での勝利を目指す弁護団との間に意見の食い違い信頼関係が揺らいだりもする。

言いたいことが言えない、他人に全て委ねるそのもどかしさ、勝利へのための苦行とさえ例えた仲間。

ホロコーストから生き残った者が、証言者として法廷で話したいとのことも戦略の邪魔になるからといって却下される始末。

 

 

しかしそれもこれも、裁判に勝利するための戦略。

この映画の見どころは法廷でのやりとり結果というより、どのような過程をたどり、結果に結びついたかの「過程」が、ポイントになっていますね。

弁護団のリーダーを演じるトム・ウィルキンソンがいい演技するんです。

その行動を知ることでも、彼女リップシュタットの彼に対する気持ちも変わってきます。

最初は軽蔑だった気持ちが信頼へと・・・。

その過程を知ることによって、主人公と仲間である弁護団にも絆が深まってきます。

 

 

途中、裁判官がある疑問を投げかけます。

そのことには弁護団も一瞬ひやっとさせられます。

だいたい初めからこの裁判の結果は予想できましたが、もしかしたら予想と違って大逆転があるかと少しドキドキしてしまいましたw

 

またこの映画からは、ホロコースト否定論者が歴史の事実をも巧みに曲げようとすることなども踏まえて、歴史を改ざんしようとするものはどの国にもどの時代にも出てきます。

正しく真偽を見極めること、色々な外野からも声や圧力などにも惑わされてはいけない、という教訓にもなる映画だったと思います。

 

5点満点中3.5