今日は昨年末に記事にした、Rokka KnivesのKorpisoturiと、Peltonen KnivesのRanger PuukkoM07をちょっと、野外で使ってきたので、そのレビューを。
やはりこういうナイフは、野外で撮影すると映えますね(鞘のベルトループ、変更しました)。
ここ数年で、かなり荒れてしまった里山があって、自分の定番の里山散策場所になっているのですが、そこに持って行って、ちょっとナイフを使ってみたというわけ。
荒れ方がひどくって、プチジャングルみたいになっているので、どっちかってーと、マシェットとかそういうほうが向いているんじゃ、という気もしますが、それを敢えて、小さいナイフでやっているという感じ。
ちょっと、ツタやらなにやら切り払った後が、上の写真のナイフにも残ってますでしょう?
けど、実際に木を切ってみたり、削ってみたりの具合を、きっと多くの人は知りたいんだと思います。
ポイントはいくつかあって、「ホームセンターで売っているような角材を使わない」「落ちている木を使う」とか、その辺りかな。
角材を切っていって(あるいは削っていって)、切れ味をテストするなんてのは、何度もご覧になっていることと思います。
けど、ナイフを使う「実際の現場」により近いものでテストしたほうが、当然いいわけですよね。なので、私は「野外に落ちている木」(生えてる木を伐り取らない!)を使って、ナイフをテストしたり切れ味を調整したりすることをお勧めしています。
今回は、ほんとちょっとだけなんですが、今日のテーマの2本のナイフで切り比べてみました。
こちらがRokka Knivesのほう。
このくらいの枝をカットしてみた様子。
で、↓がPeltonen KnivesのRanger PuukkoM07で、同じことをした図。
あれ、画像の向きをソフトで合わせたんだけど、片方が回転して表示されちゃいますね。
けど、まぁ、分かるからいいかな。
当然、このくらいの細枝だったら、こういうナイフであればこういう感じに切ることが出来ます。
けど。
正直に言って、Rokka Knivesのほうが遥かに切りやすかったです。
具体的に言うと抵抗感。それが全然違いました。
なので、M07の方は結構力を込めて切りました。
こういうところは、まさにスカンジグラインドのプーッコスタイルの本領といったところでしょうか。
それに19°の刃角というのも、食い込みの良さに寄与していることも想像に難くありません。
Rokka Knivesの説明では、19°の刃角が折に触れて強調されているのだけれども、よくよく考えてみれば、伝統的なプーッコやあるいは量産ブレードのプーッコもそんなもんじゃないかなぁ? と思うようになりました。
北欧のナイフが、ブッシュクラフトで使用されることが多い所以でもあります。
切れ味というか、こういう小枝のカッティングに関しては完全にRokka Knivesのほうが上。
じゃあ、切り終わったあとのナイフの状態は? というと……。
Rokka KnivesはHRCが63もあるからか、いわゆる「ダメージ」はなし。
ちょーっとエッジが若干荒れているかも、というくらい。ツタなどを切り払って、ちょっと木を切ってみて、エッジが荒れるくらいで済むならいいや、という人は全然、初期の刃つけのまま研いでもOKだと思います。
私は、うすーく糸刃をつけたほうがいいかなぁ、なんて思ってはいます。
一方Peltonen Knivesのほうは、そうしたエッジの荒れは感じられません。
ただし、よく使用した刃の箇所の切れ味が素直に落ちていくという感じ。
鋼材は同じなので、熱処理の違い、それによって生じるHRCの違い、刃角、グラインドによって、使用後のエッジの状態は、そんな風に変わりました。
正直、箱出しレビューの時はRokka Knivesが意外と期待外れだったかも、という感じはしていたのですが(主にシースのせいで、ですが!)、実際の使用を経てみると、ブレードの使いやすさ、切れ感の良さは、やはり流石。
この簡易テストのあとも、いわゆる日常で料理に使ったりあれこれしてみたのですが、Rokka Knivesへの印象は結構変わりました。
ブレードは本当に使いやすいし、切れ感もとてもいい。
いわゆる「山道具」にして、野外に行くときだけ使うというよりも、ガンガン日常で使ってやることで楽しさや、使いやすさが分かるタイプのナイフですね。
それは、まさに日常の道具としてのプーッコと同じです。
で、Rokka Knivesはとにかく鞘が残念だったのですが、もっと着脱が容易なマリスクリップ(というらしい)を装着して、そこは改善されました。
一方で、海外のレビューでは「安っぽい」という以外は、しっかりとクリックしてナイフをホールドしてくれる、というシースについて、やはり気になる点が出てきました。
日常であれこれ使い倒すということは、何度もナイフを抜き差しするということです。
すると、ナイフのハンドルはゴムのような樹脂ですから、クリックが強ければ強いほど、抜き差し時の抵抗が強くなります。
となれば、ハンドルの特定部分が、少しづつ削れていくわけですよね。
こういうところはモーラナイフの絶妙なシースへの収まり具合のほうがいいなぁ、と思います。
確かにRokka Knivesのそれに比べれば、弱いホールド感ではありますが、バランスの良さで考えると、モーラナイフの方かなぁ?
海外レビュー(の一部)では、評判の高かったシースのホールド感。
ちょっと私には、今のところ気になるかなぁ、と。
逆にそこはまさに、Peltonenナイフのシースが凄い。
これはモーラナイフを超えています。
ちょっと、写真も出してみましょう。
わかりますでしょうか?
ナイフのキリオン部分に当たるところが、シースのゴム製ローラーとぶつかり、ローラーが回転することで、シースにナイフが押し込まれ、ナイフを引き抜く時にもローラーが回転しながらナイフが抜ける。
これはPeltonenのレザーシースにも同じ機構が組み込まれています。
それでもシースにハンドルが当たる部分があるわけですから、当然そこは擦れていく。
けれども、ゴムローラーの機構でガッチリホールドするわけですから、直接プラスティックなシースと擦れてホールドするわけではなく、ハンドルへの負担は最小限。
またハンドルの太さ、握り心地はPeltonenのほうに軍配が上がります。
とにかく、Rokka Knivesはシース周りが残念な印象。
これが、もっと洗練されていれば、かなりスキのない、凄いナイフだと思います。実際ブレードや、使用感はとてもいいのですから。野外に出る時だけじゃなく、日常でもガンガン使って活きるナイフ。
Peltonenの方は、ブレードの使用感としては「よく切れる普通のナイフです」という感じ。
ただし、シースはとてもよく出来ており、装着スタイルも色々選べる。
どこも一長一短といった感じかなぁ。
ちょっと気になっているのは、ブレードのコートをあえて剥がしてあるM07やM95があるんですよね。
それが、コートが掛かっているものだと、「セーバーグラインド」だけれども、コートが剥がれているのは、それなりの理由があるからコートが剥がれているのかなぁ、って思っているんです。
つまり……スカンジグラインドのように研いで使う使い方のオプションを提供しているのかな、って。
これから、またこの2種類のナイフ使っていって追跡調査もしていくつもりです。
多分、少しづつハードになっていったり、研ぎ直しをしたり……。
どちらもアウトドアナイフとして、悪くない選択なのは間違いありません。
この記事が皆様のナイフ選びの参考の一助になれば幸いです。
それでは、また。