気が付けば、お役立ち書籍紹介も33回目。
今日は、ナイフメイキングに関する本をご紹介。
Krause Publications (1994-09-01)
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タイトルはそのものずばりの『HOW TO MAKE KNIVES』です。
ちなみに洋書なので、全部英語です。
んが。
言うほど難しい英語でもないと思います。
ええ、もちろん、一言一句しっかりと訳して読んでいけるというわけではないんです、私も。
けれども、ナイフに興味関心があれば、大体の単語は分かりますし、豊富な図解が付いていますから、なんとなくわかってしまう。そういう良さがこういう本にはありますね。
中身はこんな感じ。
文字はやや多めですが、それは情報量の多さとトレードオフといったところでしょう。
まだ私も全部は読めていないのですが、本の最初のほうにある「アメリカのナイフ史」とでもいうべきパートは一読の価値があります。
読んでみて気づくのが「アメリカ至上主義」というか、「強き良きアメリカ」みたいなものを感じさせる書きぶりでしょうか?
開拓時代から現代まで、アメリカの躍進の裏には道具としてのナイフが存在した、とでもいうべき書きぶりは、色々思う所はありましょうが、なかなか面白いんです。
スカーゲル(スケイゲル)のナイフなんかも当然入ってきますし、その影響下にあるランドールのナイフとかも、もちろん登場しますよ。
どうも本を読むと、スカーゲルは決まりきったパターンを量産するメーカーではなく、一回性の強いナイフを作っていたようです。つまり、「定番のモデル」があるというより、その都度その都度、新しいナイフを作っていたということみたい。
ただし、それはおおよその傾向ということでしょう。
似たパターンのナイフはたくさん残っているはずですし、私達も目にしたことがあるはずです(雑誌なんかでね。実物を見るのは困難だと思う)。
ともあれ、そうしたアメリカのナイフ史を一望できるパートはとても面白いです。
BUCKも入ってきますしね。
私もバックのナイフ、何本か持ってますし、ナイフへの傾倒期に、たまたまバックのナイフを手にして「ナイフってこんな切れるものなんだ」とびっくりした経験があるので、バックはちょっと思い入れのあるメーカーです。
細い、あるいは短いナイフであっても、ハンドルがぶっとくてね、「これがアメリカだぜ!」という雰囲気がヒシヒシと……。
ま、それはさておき、この本ではいわゆるS&R方式のナイフの作り方の解説をしてくれています。
当然、ラブレスがそこでは至高の存在として登場してくるわけです。
どうやら、本書は一定以上の年齢のナイフメーカーさんたちのバイブル的存在だったようなんですが、それもむべなるかな。
私としては「ラブレス以外認めないんだ!」というような姿勢はちょっとアレなので、素直に本書を読みつつも、何か「誤読」があれば発見していきたいな、というスタンスです。
ラブレスを学ぶことはナイフ作りに絶対に活きてきますし、実のところ、ラブレスタイプのナイフ、結構好きですし。
けど、ナイフとかね、そういう「舶来」のものって、割と誤読があるんですよ。
私がブログやツイッターで常に言ってきたのは、「bushcraft」の語がそもそも誤解されている、ということ。
Bushcraftの語に関しては、一時は「最小限の道具でやりくりするアウトドア」みたいな説明がされていましたが、今は「明確な定義はないのだが、原始的な道具でやりくりするアウトドア」のような説明にシフトしています。
確かに、少しその活動実態は曖昧模糊とした部分はあります。
が、素直に接尾語のCraftを辞書通りに「ある活動に関わる技術の総体」の意味だと取れば、その定義的な部分は、大分スッキリするはずですし、「最小限の道具で」のような窮屈な定義からもある種解放される部分もありましょう。
こういった基本的な読み落とし、あるいは誤読のようなものを、本書からも見つけられたら……それは物凄い大事な収穫になるんじゃないかな、と思います。
ですので、この本の内容も、ナイフメイキングと一緒に折に触れてご紹介していきたいと思っています。
というわけで、今日はこのへんで。