ナタでバトニングしないほうがいい理由 | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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というわけで、以前ちょっぴり触れた「ナタでのバトニング」について書いてみようと思います。

 

 

いやぁ、日本のブッシュクラフトでは「バトニングは必須」みたいになっていて、バトニングせずんば、ブッシュクラフトにあらず、という勢いなんですけれども、なぜか、「その危険性」については管見の及ぶ限り全く触れている人がいません。

 

 

たとえば、英語版WikipediaのBatoningの項目を見てみると、「Hazards」というセクションがあるのが分かると思います。バイオハザードとかの「ハザード」の複数形です。

 

Care must be taken to avoid damage to the knife. Breakage of the blade is a common result of striking the spine of the knife at an angle. The broken blade can become irretrievably embedded within the split. In a survival situation, this can be catastrophic

 

こんなことが書いてあるんですけれども、いかがでしょうか?

 

 

ナイフへのダメージを避けるため注意が必要。

ナイフの破損は角度をつけてそのスパイン(※背の部分)部分を叩く結果として起こることが一般的である

折れたブレードが、(※バトニング対象の)裂け目に、取り返しのつかないほど埋まってしまう可能性もある。サバイバルの状況下では、これは壊滅的な状況となりうる。

 

 

と、ざっと訳してみました。

何度も何度も書いてますように、「バトニングには危険性もある」ということなんです。

 

 

その為、危険を減らすために、上記の文章でも示唆されているように、「角度をつけずに叩く」とか、「先端部分を叩かない」とか、まぁ色々な工夫があるわけです(必要がないのに(たとえば、斧を携行していればそれで薪を割ればいいのです)バトニングしない、というのが一番の危険減少法でしょう)。

 

 

今日のテーマは、そのことを繰り返してお伝えするのと共に、「バトニングをナタでやったらどうなるか?」というお話しなんです。

 

 

ちょっと前の記事で、「ナタなんだから、ナタの使い方でマキを割ればいいじゃないか」というようなことを書いたのですが、Ponky-knivesさんから、「ナタでバトンするとどうなるのか」という画像をご提供いただきました(安全で合法的なトレーニングナイフを作られているので、是非Ponky-knivesさんのサイトも見てくださいね)!

 

 

 

 

 

「結構潰れてます」とおっしゃってましたが、なかなかどうして。

よく使い込まれているんじゃないかなぁ、なんて思います。

 

 

日本のナタは、ご存じの通り、「軟鉄とハガネ」の組み合わせで作られていることが多いのです。この「軟鉄」ってヤツも、「並鉄」とか「中軟鉄」とか色々種類があるのですが、「やわらかい鉄だよ」という認識でいいでしょう。

 

 

んでもって、「割り込み」とか「合わせ」とかの技法でナタは作られますが、「背の部分」は軟鉄であることが多いわけで、「叩いていくと、潰れます!」。

 

 

Ponkyさんのナタは使い込まれてはいますが、そんなに無茶はなさっていないと思います。

私は、もっと背の部分が叩いて潰れて、伸びて、べろ~んとしたものを見たことがあります。

 

 

あと、同様にバトニングしたと思われるフクロナガサも、ウェブ上で見ました。

それも、かなりブレードの背部分が痛んでいましたねぇ。

 

 

少なくとも、背部分が痛むのがいやな方は、ナタではバトニングしないほうが無難でしょうねぇ。

 

 

・バトニングは、危険性を承知して行うべし(なるべく危険性は減らす)

 

・ナタでバトニングすると、背の部分が潰れ、痛んだりする

 

 

ということです。

今回は、Ponky-knivesさんが、素敵な画像を提供してくださったので彩りあふれた記事になったような……。

 

 

というわけで、今回はこのへんで。

それでは、また!