3. 入院・検査 …急性脳症の疑い | * poco a poco * 少しずつ、一歩ずつ

* poco a poco * 少しずつ、一歩ずつ

2人の子どもたち(娘と息子)、私のありふれた日々をつづっています。
息子は2歳でインフルエンザから痙攣重積型(二相性)急性脳症を患いました。治療やリハビリについても記録しています。



(息子が痙攣重積型《二相性》脳症と診断されたときの備忘録です)



●2/1(金)


もともと予約していた時間に病院へ行く。


診察の前に採尿があったので、いつものようにコップをもらいトイレへ行く。


これまではトイレに行き、「オシッコして」と言えば上手にできた息子。


この日は「できない」と言った。



お水を飲ませ、しばらく待ってもう一度トイレへ。


3,4回繰り返したが採尿はできなかった。


ただオシッコが出ないのではない。

出せないんだ。


そう思った。



結局採尿は後回しにし、診察へ行くことになった。


「さぁ、ベビーカーに座って」

そう言ったが、息子はベビーカーの前で足踏みをしているだけだった。


どうやって座ったらいいのか分からない

乗りたいのに乗れない…


そんな風に見えた。




診察してくれたのはいつもの担当医だった。

腎臓を専門とする医師の方だ。



「話は聞いています。採尿できなかったんだって?」


そう言って、先日の医師と同じようにハンマーのようなもので息子の手足をトントン叩いて診察してくれた。



「◯◯くん、久しぶり!」


「◯◯くん、何が好きなんだっけ?トーマスだっけ?」


医師は息子に問いかけながら様子を見ていた。


息子はベビーカーにちょこんと静かに座っていた。



「うーん、確かにいつもの◯◯くんより元気がないね。

痙攣も長かったみたいだし…神経専門の先生の意見も聞いてみるから、少し待ってて」


そうして待合室にでた。



するとそこにドクターヘリがやってきたのが見えた。

乗り物好きな息子、きっと喜ぶと思って見せた。

(乗っていた患者さん、申し訳ないです)


「ほら、ヘリコプターだよ。お医者さんが乗ってるんだよ」


しかし、息子は遠いどこかをぼんやりと見ていた…。



再び診察室へ。


脳波検査に加えて、MRI・髄液検査もしてみる。

髄液検査は腰に針を刺すため、数日間の入院が必要。

ひとます検査入院というかたちで、と説明を受ける。



仕事は一年の中で一番の繁忙期を迎え、翌週の仕事は山積みだった。


私の担当する量はなかなかの量だった。


誰がそれをやるんだろう…と、とても心配になった。


それよりも何よりも息子の命が大切だった。

みんな、ごめんなさい。



入院前の検査のため、レントゲンを撮った。

待っている間も息子はぼんやりとどこかを見つめていた。



入院手続きを済ませ、看護師さんと病棟へ。


今回入院するのは小児科のみの病棟だった。

(前回は満床のため、大人の眼科や耳鼻咽喉科と併設された病棟だった)


可愛らしい部屋、プレイルームなどもある素晴らしい設備だった。


看護師さんから病棟の説明を受け、さまざまな同意書にサインをした。



通された部屋はナースステーションから少し離れた部屋だった。


入院前の検査で感染症検査もしたのだが、なんと解熱して5日も経っているのにインフルエンザが陽性の上、RSウイルスにも感染していたらしい。


そのため隔離病室への入院だった。

(個室ではなく2人部屋)



15:00過ぎ

髄液検査を受ける。

(私は席を外すよう指示をされる)


今日診察をしてくれた先生が主治医になってくれるようだ。

その他、2名の先生が息子の担当医となってくれた。



さらに、脳波検査のため、眠くなる座薬を入れられる。

しばらくすると息子はウトウト寝てしまった。



臨床検査技師さんがやってきて、脳波検査のための管(20本近くありそう)をつけていく。


心配てじっと見ていると、気まずかったのか

「つけ終わるのに30分くらいかかるので、ゆっくり休んでください」

そう言ってくれた。


お言葉に甘え、少し離れた自動販売機でホットコーヒーを買って飲んだ。



部屋に戻り、しばらくすると脳波が取られ始めた。


担当医の先生がやってきて、技師さんと脳波を見つめ続けていた。



17:00すぎ

MRIを受ける。

20分くらいかかると言ったのに、それよりも長い時間がかかっていた。


帰り際、担当医の1人が「画像の準備します」と主治医に言っていた。


いやな予感がした。



19:00

検査結果の説明を受ける。


・髄液の異常はない。髄膜炎や脳炎の可能性が否定された。


・脳波も明らかな異常は見当たらない。



「残念ながらMRIでは異常が見つかりました」


見せられたMRIの画像は、素人目で見ても何かの異常があるんだろうと分かるほど、一部が白くうつっていた。


脳が炎症を起こしているため、すぐに治療が必要とのことだった。



「脳が浮腫むってよく聞きますが、炎症しているっていうのはどういうイメージでしょうか」


そう聞くと、炎症を起こしている=浮腫んでいる とのことだった。



「それって完全に元には戻らないってことじゃん…」


そう呆然と立ち尽くしてしまった。



渡された紙には「急性脳症の疑い」と書かれていた。


原因は今のところ不明。


インフルエンザ、RSウイルスがきっかけとなって普段反応しない脳に炎症が起きてしまった。


痙攣から数日経っての異常行動、症状が現れているため「二相性脳症(痙攣重積型脳症)」と判断する。



治療の説明を受ける。


炎症を抑えるためにステロイドを大量投与する「ステロイドパルス療法」で治療する、とのこと。



副作用の説明を受けた。


・血栓ができやすくなる

・血圧が上がることがある

・免疫力が低下し感染症にかかりやすくなる

・そのためPICU(小児集中治療室)に移る



外の様子が分かる窓も何もない部屋に移動した。


週明けには退院できるかな…

そんな気持ちは打ち砕かれた。



20:00

入院グッズを持って夫と娘がやってきた。


突然弟は入院、ママもいないで、娘はとても寂しそうだった。


入院が長引くことを考え、私は家のことを済ませるため一旦帰宅した。

(付き添いは夫と交代)



帰り際、娘とラーメンを食べた、


娘の前では普段通り笑顔で接しなければ…。

意識すればするほど、ぎこちなくなっている気がした。



娘と眠りについたのは23時だった。


これからのことを考えた。


平日は私が入院の付き添い。

(仕事場への連絡は済み、休みの許可を得た)


土日は夫と付き添いを交代。

私は娘のケア、家事をする。


娘は保育園、夫の送り迎えになるので早朝保育&延長保育。

(保育園にも連絡済み)



娘にもそうとうの負担をかけてしまう。


でと、きっと弟が元気になるためにと頑張ってくれるはず。


頑張りすぎないでね。。。




◆◇



二相性脳症って、どんな病気なんだろう。


どうして息子がそんな病気になってしまったんだろう。

ちゃんと予防接種を2回終わらせておけば。

ワクチンがないなら、なぜ死ぬ気で探さなかったのだろう。


息子を妊娠中に私がインフルエンザになったからかな。


後遺症は残るんだろうか。



後悔、不安…頭がぐちゃぐちゃだった。