FMアップル「北海道歴史探訪」
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昨今は、様々な安い携帯やネットサービスが目白押しですね。
そんなご時勢なので・・・
2016年9月17日の放送テーマは、北海道と電話でした。
現代は通信の時代ともいわれます。携帯電話は当たり前。また、簡単にメールやSNSで連絡ができ、IT・通信関係では様々サービスが展開されています。この状況も明治初年ごろには考えられないものでした。
北海道で初めて電話が使用されたのは鉄道でした。1880年・明治13年、北海道で最初の鉄道・官営幌内鉄道が開通しました。ルートは手宮から札幌を経て、幌内に達するというものでした。
最初、鉄道の連絡には電信が使用されました。しかし、札幌から幌内の間は電話が使われることになります。
電話は札幌・江別・岩見沢・幌内太・幌内の各停車場に置かれました。実際に電話が開通したのは明治16年になってからといいます。
鉄道ではなく、一般的に電話が使用されたのは翌明治17年9月のこと。民間ではなく、官庁用の電話として開設されました。札幌県庁と監獄署の間が電話で結ばれています。その距離は4.7kmだったと伝わります。
このように1箇所と1箇所を結ぶ電話では問題ないのですが、複数の人々が電話を利用するためには、電話交換という手法が必要でした。
全国的にみれば、明治23年に東京と横浜で電話交換が実施されていました。しかし当時の電話交換は、手間がかかるものでした。
人々はまず電話交換局に電話をして、つないで欲しい相手の電話番号を交換手に伝えます。交換手はその番号につなぎ、ようやく人々の会話が始まるというものでした。それでも電話での会話は画期的なものでした。
その後、明治28年に逓信省が第1次電話拡張計画案を策定。日本中に電話網の拡大を図ろうとしていきます。
このときに北海道では、比較的人口の多い札幌・小樽・函館の3区が電話拡張計画案に入っています。
しかし、加入希望者が少ないという理由から、最終的に計画から除外されました。札幌の電話加入希望者は約100件で、小樽の半分ほどだったといいます。
電話の敷設が大きく遅れることも懸念されましたが、有志たちの奔走により、次第に電話の重要性が認識されるようになっていきます。
その甲斐があって1897年・明治30年、札幌・小樽・函館の3区とも電話に関する計画対象地とされます。
1899年・明治32年7月26日には、札幌に電話交換局が開設され電話の加入受付が開始されました。電話工事は加入順番に実施されました。5番がついた店は、その番号から五番館と命名されたことは有名です。
電話加入受付は、多くの人々の話題となり開局初日の申込は114件にのぼりました。
その後も加入者は増え続け、1900年・明治33年3月、電話加入者は141件になっています。最終的に電話交換開始時の加入者数は229件。これらの人々を対象に、電話交換が実施されていきます。
市では、電話交換の設備も充実させていきます。明治31年12月、最初の電話交換局が落成しています。場所は大通2丁目で、現在の札幌市役所があるあたりでした。当時は豊平館敷地と並んでいたといいます。
電話交換には専門のスタッフが必要です。当時経験のある交換手はいないので、新聞広告などで募集されました。
応募した人は56名だったと伝わります。その中から、男性が3名・女性が8名の計11名が採用されています。
交換手の仕事は24時間となりました。業務は交代制となっていて、男性は夜6時から翌朝6時までの夜勤になりました。しかし加入者の評判が悪く、やがて明治38年3月で男性交換手は廃止になっています。
電話交換も札幌市内だけでしたが、次第に拡大されていきます。初めての市外電話は、明治33年5月16日から。札幌から小樽への電話が可能になりました。
次いで、明治35年7月には旭川への電話交換が実施され、時代が下った大正7年には函館への電話交換が可能になり、大正15年9月には海を越え、東京にまで電話ができるようになりました。
同時に電話交換技術も向上していきます。昭和3年に共電式電話機が使用されるようになりました。
それまでは磁石式電話機が使用されていました。この電話機は、加入者が電話機についているクランクハンドルを回して発電し、交換手に連絡していました。
共電式では、通話や呼び出しの電気が電話局内から送られていて、加入者は受話器を取るだけで、自動的に交換局内のランプを点滅させ、電話交換手を呼び出すことができるようになりました。
その後昭和26年に、札幌でダイヤル式の自動電話が使用されるようになっていきました。それと同時に電話機もダイヤルのついた機種に変わっていきます。
時代が下った昭和46年、北海道の電話は100万台を突破しました。この時の札幌の電話は30万台だったとされています。その記念として、大通公園に北海道電話交換創始の地という碑が建立されました。
今では当たり前の電話ですが、電話交換という手法で様々な相手に電話ができるようになってから僅かに100数十年しか経っていません。
黎明期には様々な努力があったことも忘れないでいたいものです。
出典/参考文献
札幌事始め さっぽろ文庫
インターネット資料