金融庁が生命保険各社と乗り合い代理店との取引に関する実態調査に乗り出していることについて東洋経済が取り上げていましたのでご紹介したいと思います。

 

調査の柱は、代理店に対する広告料の提供や出向者の派遣などによる過度な便宜供与の実態についてとなります。

 

9月27日に開催された金融審議会でも、各委員からこのワードが何度も発言され、ここにメスを入れるための保険業法、監督指針改正であることは明らかだと思います。

 

金融庁は9月9日、業界団体の生命保険協会を通じて生保各社に「比較推奨販売を歪めうるような販売促進策や便宜供与等に関する各社への点検依頼」と題した調査票を送付しました。

 

質問項目は、「乗り合い代理店に支払う販売手数料の体系が合理的に顧客へ説明できるものになっているか」、「自社商品の優先的取り扱いを意図するような金銭(インセンティブ報酬)の提供があるか」、など20近くに上るそうです。

 

調査のきっかけとなったのは、FPパートナーへの生保各社による便宜・利益供与問題で、当該社が運営する「マネードクター」の店頭に掲示するディスプレイ(デジタルサイネージ)広告などに一部の生保が実態とかけ離れた広告料を支払っていたり、FPパートナーの社員に対する商品研修会の費用の多くを、講師役となる生保側が負担したりという実態があったとされています。

 

さらに、FPパートナーはそうした手厚い「支援」ですり寄る一部生保の商品について、社内での評価を最高で5倍に割り増しにするといった施策を7月まで実施し、成績優秀者にはストックオプションを付与するとしていたと報じられています。

 

複数の保険会社の商品を取り扱う乗り合い代理店には、顧客の意向を把握したうえで、複数の商品を比較したり、特定の商品を推奨する場合にはその理由を説明したり、といった「比較推奨販売」がルール(保険業法施行規則)として課されていますので、こうした「支援」は顧客の最適な商品選択を阻害する恐れがあると指摘されています。

 

またFPパートナーは、生保のほかにクレジットカード会社などから見込み客の情報提供(リーズ)を受けて、カード会社との共同募集の形で保険を販売していて、もし社内で割り増し評価を受けられる商品を優先的に推奨していた場合は、カード会員の最適な商品選択を阻害していた懸念があるとも指摘を受けています。

 

FPパートナーへの広告提供などに関して調べを進める中で、億円単位の広告料の提供など一部生保が手厚い支援をしている乗り合い代理店として、FPパートナーと同じく東証プライム市場に上場しているアドバンスクリエイトが浮上しているとも報じられています。

 

同社はグループで「保険市場」という保険比較サイトを運営。サイトのトップページや商品カテゴリー別のページなどに生保各社の商品広告を掲載しているほか、再保険事業も手掛けています。

 

これに対応して、東京海上日動あんしん生命とSOMPOひまわり生命の2社は、アドバンスクリエイトとの広告取引を見合わせる方針を決め、8月以降、その旨を同社に申し入れて、また、広告出稿を営業部門で決裁していた生保では、広告出稿が宣伝効果だけでなく自社商品の優先的な取り扱いという営業上の効果も狙った事実上の便宜供与であると、金融庁に判定されるリスクが高まったと見て、営業部門から広告部門へ決裁権限を場当たり的に移す動きも足元で出てきていると報じていました。

 

まだまだ記事は続いていますが、あとは東洋経済を確認下さい。

 

#金融審議会 #金融庁