鮨とワインの相性(6)
-シャリとワインの相性-

今回は、鮨の美味しさを左右するシャリのお話をしたいと思います。

一般的に、ご飯(米)とワインの相性は悪いと思われています。

それは何故かと考えてみると、ご飯とワインを一緒に口にした時の、イメージが悪いからだと思います。
イメージが先行していて、今まで科学的根拠がありませんでした。

米の食品成分を調べみると、以外と鉄分と亜鉛の含有量が多いと、わかります。
ホタルイカの鉄分と亜鉛の含有量と、ほぼ同じです。

鉄分の多いワインと合わせると、生臭く感じる事はないものの、苦く感じます。
苦く感じる事は、相性が悪いと捉えます。

相性が悪い原因は、米の鉄分と亜鉛の含有量であると考えられます。

シャリは、ご飯と米酢と塩、砂糖と昆布出汁で構成されています。

苦く感じるご飯を中和させるのが、まず米酢です。

米酢は、ワインと同じ発酵食品です。ワインと同じ酸のリンゴ酸、乳酸、コハク酸、アミノ酸を持っていて、ワインとの同調性が強いと言えます。

そして、塩は米の旨み成分と鮨ネタの魚貝類の旨み成分を引き出します。
砂糖は味の幅を広げ、昆布出汁は旨み成分を増加させます。

色々な要素を持っているシャリは、ひとつの料理と言ってもいいぐらいです。
そして、鮨ネタとシャリを合わせる事により、鮨というひとつの料理が完成されます。

苦く感じるご飯を中和して、旨み成分を多く持ち、包み込む要素を持っているシャリは、ワインとの距離を近くします。

 しかしポイントは、やはり鉄分の含有量の少ないワインを合わせる事です。

ワインとの距離が近くなった鮨なのに、鉄分の含有量の多いワインを合わせ、生臭く、苦くさせては意味がありません。

日本橋 鰤門では、亜鉛の含有量の多いイクラは、すし飯を使った軍艦スタイルではなく、イクラの味わいを生かす為、普通のご飯に醤油漬けしたイクラを乗せ、小鉢スタイルで提供します。

なおさら、生臭く、苦くなりやすいので、ワインとの相性には、気を使いました。
その事が、ご飯(米)の食品成分を調べるきっかけとなりました。

次回は、醤油とワインの相性のお話をしたいと思います。

日本橋 鰤門  シェフソムリエ 大江 弘明