鮨とワインの相性(5)

前回のおさらいです。白ワインの中でも、鉄分の含有量が少ないワインが、甲州ワインです。甲州の特長は、繊細な味わい。鮨と最も相性の良い白ワインと言っても過言ではありません。

今回は、究極の選択というテーマでお話をします。

[究極の選択]

日本橋 鰤門で5年半、鮨とワインの相性を追求して来て、鮨と相性の悪いワインも見つけ出して来ました。

特に相性の悪いワインが、古いヴィンテージのボルドーの赤ワインとブルゴーニュの赤ワインです。

それは何故かと追求すると、まず鉄分の含有量が多いワインという事。
ボルドーやブルゴーニュの赤ワインの中にも、鉄分の含有量の少ないワインもあります。
しかし、鉄分の含有量の多いワインの比率が高いと思われます。

そして、古いヴィンテージという事が、更に生臭くさせてしまいます。
何故か。それは、ワインに含まれている鉄分も時間と共に、酸化していく事が原因となります。

酸化した鉄分。わかりやすく例えると、公園にある鉄棒を握って、手の臭いを嗅ぐと鉄臭いと感じます。酸化していない新しい鉄棒であれば、鉄臭く感じないでしょう。屋外で雨に当たり、鉄棒が酸化してサビているからこそ、鉄臭く感じるのです。

ワインに含まれている酸化した鉄分は、更に、素材が持っている鉄分と亜鉛と酸化した脂質に反応して、鉄を強調し生臭くさせてしまいます。

日本橋 鰤門でこの5年半、お客様のご希望で、古いヴィンテージのボルドーの赤ワインや、ブルゴーニュの赤ワインを鮨と合わせた事は多々あります。
相性が悪いのに、何故合わせるのかといったら、お客様のご希望だからです。

ここで究極の選択が出て来ます。

相性の悪いワインと鮨を合わせる。
相性が悪いので、やめた方がいいですよとお客様にお伝えするか、相性が悪い上、合わせるか。
究極の選択です。

お客様が、古いヴィンテージのワインが好きで、鮨と楽しみたいとおっしゃるのであれば、私は合わせます。

プロのソムリエなら、避けるアドバイスも出来ます。
生臭くなる鉄分の多いワイン、生臭くならない鉄分の少ないワインを知っている上で、生臭くなるワインをどう合わせるかという幅を持っている事が大事です。

生臭くなりにくい白身やあぶり物の鮨には、古いヴィンテージのワインでも、大丈夫ですとお伝えして、生臭くなりやすい貝類や魚卵 、赤身や光物の鮨の時は、古いヴィンテージのワインを飲むのを避けます。
その時は、鉄分の少ない日本酒やワインを飲んで頂く事をお勧めするのです。

そうすれば、生臭くなる機会の数が減ります。
そのアドバイスが出来る人こそ、プロのソムリエだと思います。

次回は、鮨の旨さを左右するシャリの話をしたいと思います。

日本橋 鰤門   シェフソムリエ 大江 弘明
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