幕末ファンにオススメ☆「日本写真開拓史」東京都写真美術館 | 土方歳三資料館日記 (Hijikata Toshizo Museum Blog)

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土方歳三の生家跡に設けられた資料館にて運営に携わる子孫の綴る日記。

本日3月7日から始まりました

東京都写真美術館

「夜明けまえ 知られざる 日本写真開拓史〜総集編」

 

「早く見たい!」と

初日になんとか時間を見つけていち早く駆けつけ、拝見しましたキラキラ

 

 

「夜明けまえ」シリーズは、

写真という技術が日本に入ってきた幕末の頃〜明治中期までの写真史を、

各地に遺された貴重な原本の写真史料とともに紹介した展示でした。

 

 

今回は長年開催されてきた

「関東編」、「中部・近畿・中国地方編」、「四国・九州・沖縄編」、「北海道・東北編」の四つのシリーズ展示の総集編。

 

 

 

感想はというと

 

 

ラブラブラブ

 

期待を裏切らず

総集編というだけあって、

 

超一級の古写真史料に出会える展示でしたキラキラキラキラ

 

 

そこで、私の独断で、これは是非星というオススメ写真をご紹介させてください。

 

 

6.「松前勘解由と従者像」安政元年

まずは、日本最古の写真として今はなき函館市写真歴史館で写真と装束のレプリカが展示されていたものです。

私函館市を訪ねてすこし時間があれば、写真歴史館に行っていたので、このレプリカは何度も拝見しています。

 

でも、今回、

 

なんと

 

 

なんと

 

 

その原本を見ることができるのです!

 

これは凄いことなんです!!

 

 

ダゲレオタイプという世界初の写真方式で、銀の板にカメラで画像を写したものです。焼き増しはできません。原板そのものを鑑賞するので、世界でただ一枚の写真ということになります。

 

でも、原本の画像はほぼ消失してしまい、現在は画像がくっきりしていた頃に複写されたものが知られています。

 

 

確かに一見すると原本は何も画像のないぴかぴかの鏡みたいでした。

でも、こっちからみたり、あっちから見たり覗き込んでいたら、

 

 

左足の履物と袴の裾のシルエットは残っていましたびっくりおねがい

 

ずっと複写を見て親しみのある松前藩の方のお姿だったから、

今回原本を拝見することができ、

本当に感激しました。

 

この原本展示は4期に分かれる展示会期のうち1、2期のみの4月9日までの展示です。

 

 

次に、展示中盤から始まる、写真師・田本研造の作品群は必見ですキラキラ

 

 

 

 

253 徳川幕府脱走兵之士 田本研造ヵ 明治2年頃

これは、左から2番目にブリュネ、隣に松平太郎、他にも後列にマルラン、フォルタンなど歳三さんと箱館戦争を戦った士たちが集合して屋外で撮影した有名な一枚。

箱館戦争に興味のある人なら、誰もが一度は目にしたことのある写真です。

 

その原本を3月20日までの展示1期で見ることができるのですキラキラ

 

今日は、細かい展示内容を知らずに訪れたので、

思いがけず出会えた本物の写真が次々とあり、

本当に感激が止まりませんでした。

 

また、歳三さんの函館に伝わる楕円の写真、シルバーゼラチンプリントの写真もレプリカが展示されています。かなり精巧に作られています。

 

原本は4期4月25日から5月7日に展示されるとのことです。

撮影は明治2年、プリントは後年と解説がありました。

 

私は個人的に、台紙から推察するにプリントされたのは明治中期以降のものかなあと思っています。

 

洋紙が入ってきたばかりの幕末や明治初期のものとは違って、写真の貼られた台紙がボール紙のような明治20年代後半以降に出てくる厚みのある台紙なので…。

修正技術は明治早くからあったそうなので、プリント時に楕円の枠縁にはめて加工し、筆による多少の修正が加えられた写真だと感じられます。

 

 

田本研造の写真で、やはり私が大好きなのが、函館港の写真。

近年、明治初期の函館港写真も発見されたとニュースにありましたが、

今回は明治22年の賑わっている函館港の様子を函館山から見下ろしたパノラマ写真が展示されていました。

 

この写真を見ると、

「この20年前には歳三さんも同じ景色を眺めていたんだろうな…」と思ってしまいます。

 

この写真もよく知られていますが、今回は1期(3月20日まで)のみゼラチン乾板ネガも併せて展示されていますラブ

 

 


 

 

278大沼新道より駒ケ岳を望む シュティリフリート 明治初期

 

他に印象に残ったのが、この大沼新道から駒ケ岳を写した一枚。

歳三さんをはじめ、箱館戦争を経験したものなら誰しも眺めたであろう景色です。

 

 

 

240近藤勇像 掘与兵衞 慶応年間

 

近藤勇さんの御真影にも出会えました。

港区郷土資料館蔵の写真の原本を拝見したのは初めてでした。

 

鶏卵紙とか台紙の様子とかもしっかり目に焼き付けました。

 

 

 

 

他にも書ききれません!

 

文久年間の江戸であったり、横浜の庶民の様子であったり、

本当に幕末にタイムスリップできる写真が数多くありました。

 

 

 

そして今回、

長年議論がなされてきた

土方歳三の写真撮影者が、「田本研造」

近藤勇の写真撮影者が、「掘与兵衞」

とキャプションにて断定されていました。

 

 

歴史的なことだと思いましたキラキラキラキラキラキラ

 

 

近藤勇さんの肖像写真に関しては、

江戸でのものだとか

松本良順宅で撮られたとか、

諸説ありましたが、

 

古写真研究家の森重和雄先生が研究を重ねられ、

慶応年間、京都の祇園に写真館の支店を構えた

掘与兵衞(ほりよへい)という写真師による撮影であることが判明し、

今回それがキャプションに掘与兵衞と記載されていて、

感慨深く拝見しましたキラキラキラキラキラキラ

 

以前、森重先生に、

「京都の八坂神社の近くの鍵善のすぐ隣の喫茶店がその撮影されたと思われる掘与兵衞の支店のあった場所なんだよね。だから僕は京都に調査に行ったらその喫茶店に行くことにしているんだよね。」

と教えていただいたことがあります。

 

私は鍵善のくずきりがすきなので、近藤勇さんを感じながらも、

ついついおとなりの鍵善に入ってしまいますがアセアセ

 

 

余談でした爆  笑アセアセ

 

近藤勇さんが髷で羽織袴の武士然とした格好でそのお姿を残されているのは、

慶応年間で京都で撮影されたものだったからなんだと思うと納得がいきます。

 

対する歳三さんの肖像は、明治元年末もしくは明治2年初頭に箱館で撮影されたので、もう洋装総髪姿なのですね。

 

 

 

もし写真史や古写真に興味がなくとも、

幕末史、新選組、箱館戦争に興味を抱いている方なら、

一生のうち、こんな貴重な展示の機会を逃すことないです。

絶対後悔しないと思います。

 

私は、東京都写真美術館さまの回し者ではないですがアセアセアセアセアセアセ

 

今日は本当に行ってよかったです照れ

 

今でも原本の写真の中の近藤勇さんやブリュネさんが語りかけてくるようです。

 

本物の写真の持つ迫力は、説得力が違います。

ほんのひと時、幕末にタイムスリップできたような…そんな気分でしたおねがい

 

近藤さんのお写真、最後にもう一度御真像を…と何度も見に戻りました。

(不審者だと思われなかったか心配ですアセアセ

ちなみに土方家にもかなり早い時期と思われる紙焼きが伝わっていますが、古写真は一枚一枚に個性があって、どの紙焼き写真も見ていて飽きないですおねがい

 

慶応年間に近藤さんが京都で撮っていた写真、きっと歳三さんにも見せて自慢していたんじゃないでしょうかキラキラ

 

 

写真という技術は素晴らしいです。

ウソがつけないです。

たくさんの情報を伝えてくれます。

歴史においても新しい視点を与えてくれます。

 

そんな思いを新たに、感動した一日でしたキラキラ

 

長文お付き合いくださり、ありがとうございました照れ

 

 

 

*今回の文章で、原本としたのは、「レプリカ」ではなく「原史料」であると言う意味です。写真画像の原版(ネガとかガラス湿板などの)という意味ではありません。紛らわしくてごめんなさい。