第2部:世界に広がる新型コロナウィルスの脅威と各国の対策と措置 | Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

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ドイツの首都Berlin、Brandenburg州及び比叡山延暦寺、徳島県鳴門市の公認の芸術家(画家) Heinrich Gustav(奥山実秋)の書き記した論文、随筆、格言集。

前回の新型コロナウィルスに関する随筆を認めて1カ月が経過した。

今年の2月12日頃に今回のコロナウィルスの発端である中国に於ける政府や医療の専門家の間では、感染のピークは2月中旬から下旬で、流行は4月まで続くと言う楽観的な予測をしたが、現在4月中旬の時点でも其の勢いは衰えるどころか更に感染を拡大させて、全世界の人間に多大な恐怖とストレスと損害をもたらしている状況である。

今では世界各国のマスメディア(テレビ、インターネット、新聞、等)によって毎日の習慣の如くコロナウィルスに関連するニュースが報道されているし、「コロナショック」だの「コロナストレス」だの「コロナ疲れ」等と言った造語までもが日常会話の中で飛び交う様になっている。

 

世界各国の首脳の中には「此れは人間とコロナウィルスとの戦争だ!」又は「第二次世界大戦以後最大の危機だ!」と宣言した御仁もいるが、正に現状では「世界大戦」に匹敵する程のペースで死者が増加している。

4月になって特筆すべき事柄として、感染率、死亡率でアメリカが世界最高となり、同月9日には其れまで最も死者の多かったイタリアを抜いて一番多くの死者を出し(其の内約3分の1はNewyork州が占める)、同日に世界の感染者数は150万2618人にまで上り、11日には死者数も遂に10万2669人にまで増えてしまった。

大袈裟な表現にはなるが、あたかも無数のミクロの見えない敵を相手にした「世界大戦」の様相を呈している。

未だに此の感染拡大は衰える様子は無く、其れどころか更なる衛生面、経済面の両方に大損害を与える事が予測される。

 

世界各国の政府、自治体は此れ以上の感染拡大を防ぐ為、国民に「自宅待機」を奨励した。

ところが何日も続く「自宅待機」からStress (ストレス)がたまり、挙句の果てには Domestic Violence(家庭内暴力)やDepression(鬱病)や Neurose(神経症)等の精神病を発する人々まで出て来ている。

此の様な社会現象を観察して、改めて人間(小人、又は凡人)の精神的な脆弱さを感じさせられるのである。

他方で余は個人的には芸術家としての仕事の関係上、常に一人でAtelier(仕事部屋)に籠りて制作をして来たし、其れ以外にも、随筆、論文を書く事、読書、ウェイトトレーニング、映画鑑賞、クラシック音楽を聴く、美術工芸品、骨董品の収集、庭の草花の観察、手入れ、等一人で楽しめる趣味が多い御蔭で自宅に籠る事に全くStress を感じないし、我が家の庭付きの駐車場や田舎の(ボロ)別荘を行き来するだけで気分転換になる故、特に旅行等の外出を必要ともしないのである。

 

WHO(国際保健機構)のグテーレス事務局長は国民一人一人が意識的に感染拡大を防ぐ行動を取る事、そして感染を最小限に抑えながら、社会活動を取り戻して行く事を強調している。

更に今日所謂「自国第一主義」が各先進国の間で浸透している事に対し、コロナ感染抑止の為には今まで以上に強力な国際協調が必要である事も主張している。

又、UN(国際連合)も今後、経済力が弱く医療水準の低い発展途上国、そして難民のコロナ感染を防ぐ対策の為の基金として約20億$を期待していたが、世界から集められた基金は約4億に留まった。

此の統計からも、前記の「自国第一主義」の思想が相変わらず各先進国で支配している事を象徴している様に見受けられるのである。

「自国第一主義」とは否定的な表現をすれば国家のEgoismus(利己主義)とも言える。

しかし現在の状況下では、各々の国家は自国の国民と社会を優先しざるを得ないのかも知れない。

 

日本最近の日本国民のコロナウィルス対策への意識変化をSNSの企業LINEがアンケートを取り、約2450万人か回答を得た処によると、手洗い、うがいを心掛ける事が85.5%、所謂「3密」(密閉、密集、密接)の状態を避ける事では、部屋の換気を心掛ける事が62%に対し、密集した場所を避ける事、近くで会話をしない事では32.8%に留まった。

更にNHKが4月に恒例の「世論調査」で、自分や家族が感染する不安をどの程度感じるか聞いた処、大いに不安を感じるが49%、ある程度不安を感じるが40%と、両方で89%となり、前の3月より15ポイント増加している。

又、大半の世論では「政府のコロナ感染に対する「緊急事態宣言」が遅すぎた。」とか、「諸外国に比べて対策、措置が甘過ぎる。」との意見もある。

余は個人的にはたとえ政府の宣言、指示が遅かろうとも、今時インターネット上で医学、衛生の専門サイトも容易に閲覧出来るし、掛かり付け又は最寄りの医療機関に相談して自発的に感染予防の対策を実践すれば良いと思うのである。(余は実際そうしている。)

国民の大多数が自発的及び臨機応変に対応の出来ない所謂「指示待ち型人間」では、現在どころか将来すら覚束無い。

しかし安陪総理は「国民皆が力を合わせて行動すれば、コロナウィルスに打ち勝つ事が出きる。そして今の試練を乗り切る事が出来る。」と言われている。

余は元来Pessimist(悲観論者)なのだが、今回ばかりは安陪総理の此の御言葉を信じたい処である。

4月22日の時点で感染者:1万1983人、死者:294人は、世界的統計と比べて極めて少ない。

 

次にコロナウィルスの爆発的感染に対し、世界の代表国が採っている対策、措置について書いて行く。

フランス・France(フランス)

3月16日の夜、Macron大統領が国民に向けてテレビ演説で「外出禁止令」を発表し、翌日正午から実施された。

其の政令は1.仕事で必要、2.生活必需品の買い物、3.自宅付近での運動、等の事例を除いて外出を全面的に禁止した。

そして外出の際には自己申告の証明書の携帯が義務付けられ、違反者には最大135Euroの罰金をも科した。

更に23日、政府は「外出禁止令」の強化を発表し、30日以内に4度の違反をすると、3750Euroの罰金及び禁固刑まで科す事にした。とは言え政府が期待した程の効果は無かったらしい。

4月22日の時点で感染者:11万324人、死者:2万796人は世界で4番目に多い。

 

イタリア・Italia(イタリア):

3月9~10日にかけてConte首相が全国で外出制限を行うと発表した。

更に21日には食品や日用品、等の「生活必需品」を除く生産活動を全て停止する事を決断した。

イタリアで「非常事態」が宣言されたのは1月31日で、此れはEU(ヨーロッパ連合)の中では最も早かった。

引き続き3月8日には集団感染の発端となったLombardia州を含む北部ないし中部での移動を制限すると発表し、翌9日には全国に移動制限を課した。 そして外出時には其の理由を明示する証明書の携帯を必要とした。

にも拘わらず、前年以前より政府が医療の為の予算を削減した事が悪影響して、4月22日には感染者:18万3957人、死者:2万4648人にまで上った。

現時点では世界で2番目だが、4月9日にアメリカに抜かれるまでは世界一犠牲者が多かった。

 

ドイツ・Deutschland(ドイツ):

「外出禁止令」までは発令せず、Kontaktbeschränkung(接触制限)例:公共の空間で3人以上が集まる事等を禁止)が措置される。 にも拘わらず、感染拡大は治まらない為、Merkel首相は4月1日に同月19日までの制限期間の延長を発表した。

Kontaktbeschränkung(接触制限)は買い物、通勤、通院、等の必要な外出は認められているが、以下の条件が設定されている。

1.同居家族以外との接触を最小限に抑え、そして接触時は1.5m以上の間合いを取る。

2.宅配や持ち帰り品の販売を除く飲食店を閉鎖する。

3.身体的接触を避けられないサービス業(例:理美容業、等)の休業。

とは言え「接触制限」に従わない者も多く、警察が市民に注意する事も度々ある様である。

又、「接触制限」に関する罰則の有無や内容は16州で異なり、場合に応じて制定ないしは強化を検討している。

尚、国民の72%が自国の措置に満足している調査結果が出ている。 4月22日には感染者:14万8453人、死者:5086人と医療技術の高さと医療施設及び健康保険の充実の御蔭で死亡率は世界でも際立って低い。

 

イギリス・England(イギリス):

3月23日にJohnson首相はテレビ演説で、生活必需品の購入や1日1回の運動、社会に必要不可欠で自宅では出来ない仕事、等を除いた外出を全面的に禁止する措置を少なくとも3週間実施すると発表した。 しかし感染抑制の目立った効果は出ておらず、国民の間では閉塞感が漂い、日常生活を取り戻すまでには半年程かかると悲観的な見方が蔓延している。

生活必需品を売る店舗以外、並びに美術館、図書館、音楽ホール、劇場、等の文化施設も閉鎖させている。

更に違反者に対する罰金を科す事等を定めた「緊急事態法」も成立した。 4月22日までの感染者:13万184人、死者:1万7337人。

 

まじかるクラウン・Sweden(スウェーデン):
世界各国が「非常事態宣言」を発令して外出行動を制限する中、首都Stockholmを中心に全国でマスクを着用する事も無く唯一日常生活を守り抜いた国である。(御見事!)
スウェーデン政府が自国の国民に呼びかけたのは、学校等の一部の集会の閉鎖位である。
同政府は世界各国が行っている「コロナ対策」が無意味どころか有害無益である事を悟っているのである。 

其の証拠に同国の感染者、死者は世界でも突出して少ない。

余は個人的には此のスウェーデン政府と国民の対策と措置こそが最も賢明で適切であると思える。


アメリカ・U.S.America(アメリカ):

当初コロナ感染に対し国民、政府共に楽観的であったが、3月に入ってからの急激な感染拡大により、3月13日に合衆国政府は「国家非常事態」を宣言した。

更に国務省は3月19日、国民に世界全ての国への渡航を中止する事を勧告した。

これ等によって殆どの企業が閉鎖を余儀なくされて、国民の約95%は何らかの形で閉鎖状態に置かれている。

労働省の発表では3月21日からの3週間で1600万件以上の失業保険の申請があった。

(此れは1929年の「世界大恐慌」以来である。)

経済を立て直す為、FRB(連邦準備制度理事会)は2兆300億$の緊急資金供給策を行うと表明した。

とは言え、アメリカ国内のコロナ感染拡大は悪化する一方で、4月22日までに感染者:82万5306人、死者:4万5075人と急増し、共に世界一の惨事となっている。

 

中国・中華人民共和国:

中国政府は1月下旬より新型コロナウィルスが最初に発生した湖北省・武漢市を封鎖し、移動制限を厳しくして同省全体を国内から隔離する措置を施した。

此れに依り当省外の感染者は全体の2割以下で踏み止まったが、当局の対応の遅れや不透明な情報公開に対し、多くの批判が寄せられている。

(実際の感染者、死者の一部をひた隠しにしていた疑いもある?)

全国の多くの都市が春節(旧正月)の大型連休を延長する形で企業運営や学校行事を長期休止する事を決定した。

4月22日までの感染者は8万2790人、死者:5632人。

 

・India(インド):

新型コロナウィルス感染拡大阻止の為、3月25日から3週間に渡るRockdown(都市封鎖)に入った。

此の措置には約13億人の国民が該当する程大規模である。

同国の医療体制はまだ未熟で、爆発的感染に耐えられる状態ではないらしい。 今回の都市封鎖によって、各産業は停止し、多数の労働者が失職した。

コロナウィルスの蔓延と其れに対する政府の極端な措置に対し、国のあちこちで暴動が起きている有様である。

4月22日までの感染者:2万178人、死者:645人と現時点では、国の総人口約13億5261万人からすれば被害は少ない。

 

アメリカを本拠地とするICNL(International Center for Not-for-Profit Law=国際非営利法制センター)によると、現時点で世界68カ国が「非常事態」を宣言している。

其の内、表現の自由に影響する措置を取る国が9か国、国民への監視を強化した国が11か国、そしてあらゆる集会を規制する国は72か国にも及んでいる。

ハンガリーではコロナ感染拡大への対策として、Orban首相の権限を大幅に強化する法案を可決した。

ロシアでは自家用車又は公共交通を利用する為、事前に許可証を取得する事を義務付けた。

アルメニアではジャーナリストが新型コロナウィルスに関する記事を書く時、政府からの情報を取り入れる事が義務付けられている。

カンボジアでは政府与党の権限を強化する「非常事態法」が成立した。

フィリピンのドゥテルテ大統領はコロナ感染対策としての自宅待機等の指示を国民が非道徳な形で破った場合、治安部隊に此れを射殺する様命じた。

(ここまで来ると予防策はおろか、最早政府による国民への人権侵害とも解釈しかねない。)

其の他ではブラジルやベラルーシの様に、大統領が新型コロナウィルスの危険性を軽視している為、地方自治体が各々措置を取っている国もある。

 

これ等の世界各国の政府の対策、措置を見ていると、成程自国の衛生や国民の健康を守ろうとする真摯な姿勢は窺い知る事が出来る。 とは言えいずれの対策、措置も残念ながら決定的、又は効果覿面とまでは言い切れない。

やはり何と言っても最終的には政策ではなく、医学的に何かしら「特効薬」を1日も早く開発、普及する事が最善の解決策なのである!

とは言え1つのワクチンが開発から3段階の臨床試験を通じて発表され、各医療機関に普及するまでに至るには、最短でも1年以上かかる見込みである。

(※余は個人的にコロナワクチンに対しては危険な「副作用」を懸念しているので、摂取しない事にしている。)
其れまでは既存の比較的効果のある代用薬をZwischenlösung(中間解決法)として凌いで行くしかない様である。

 

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