我が家のドイツ製陶磁器コレクションと其の歴史 | Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

ドイツの首都Berlin、Brandenburg州及び比叡山延暦寺、徳島県鳴門市の公認の芸術家(画家) Heinrich Gustav(奥山実秋)の書き記した論文、随筆、格言集。

 Berlin K.P.M. : "Freiedrich der Große" nach den Skulptur  von J.G.Schadow (1821)

 

 Berlin K.P.M. :Teller mit Berliner Kngl.Schloß (um 1850)

 

 Dresden: Dose mit Blumenornament

 

 Fürstenberg: Deckelschüssel und Kaffetasse

 

 Rödental: Goebel. Hummel-figur "Gesangsübung" und

 "Zum Festtag"

 

 Gräfenthal: "Seeadler"

 

 Höchst: “Teegenießerin”

 

 Ilmenau, Henneberg: Teller (um1934~39)

 

 Kübs, Lindner: Weinkühler

 

 Nymphenburg: "Falke" von Th.Körner (um 1860)

 

 Plaue: Potpourrivase mit zwei Puttos

 

 Scheibe-Alsbach: "Freiedrich der Große"

 

 Selb, Hutschenreuther: "Bremer Stadtmusikanten"v, Fritz

 

 Selb, Rosenthal: "Boxer"


 Sitzendorf: "Schäfer mit drei Schäfe"

 

 Staffelstein.Kaiser:  "Schimmlel"

 

 Unterweißbach: "Dame mit Bouquet"

 

 Volkstedt:" Büste Freiedrich des Großes"

 

 Wallendorf: "Schminkende Ballerina"

 

陶磁器が中国からヨーロッパに初めて輸出されたのは1701年であった。

当時のヨーロッパ人達は此の品物を見て、Porzela(地中海の白い貝)の粉末で作った物だと勘違いをして、(実際は粘土)此の貝の名に因んで“Porzellana”と名付けた。

其の後1710年に美術工芸愛好家であったAugust der Starke Kurfürst von Sachsen(現ドイツの一州・ザクセン選帝侯アウグストⅡ世)が自分の領地の都市MeißenにPreußen王国より亡命して来た陶芸家で彫刻家のAugust Böttgerに命じて、ヨーロッパで最初のPorzellanmanifaktur(陶磁器工房)を設立させた。

創業当初は中国や日本の陶磁器のImitation(模造品)を試作品として制作していたが、次第にヨーロッパ独自の様式を確立させて、Original europäisches Porzellan(真正ヨーロッパ式陶磁器)を制作して行った。

其れ以来18世紀には※ドイツ語圏各国を中心とするヨーロッパ各地(フランス、イギリス、オーストリア、イタリア、オランダ、スウェーデン、デンマーク、等)で陶磁器工房が設立され、同時に王侯貴族の間で陶磁器は巨大なコレクションへと目覚ましい発展を遂げて行った。

かくして陶磁器の文化と生産は華々しく「開花期」を迎えたのである。

(※当時のドイツはKönigreich(王国)、Herzogtum(公爵領)、 Kurfürstentum(選帝侯領)、Fürstentum(侯爵領)、Grafentum(伯爵領)、Bistum(僧正領)、Freistadt(自由都市) 等の所謂「群雄割拠」の状態で未だ統一されていなかった。)

 

余はドイツに1989年に初めてSchwäbisch-Hall及びBremenに留学して以来"Deutsche Porzellansammlung"(ドイツ製陶磁器のコレクション)を始めており、1991年~95年までKunstakademie Dresdenで学び卒業し、1994年以来、我が地元となる首都Berlin、及びBrandenburg州で公認の芸術家として2003年まで活動し、此の時代も引き続き陶磁器を収集し、日本へ帰国しても尚此のコレクションを続けている。
今まで集めて来た作品を制作したPorzellanmanifaktur(陶磁器工房)の地名は以下の通りである。
ドイツ  Arzberg(1881), Berlin KPM(1763), Blankenhain(1790)、 Bremen(1883), Dresden(1866), Fürstenberg(1747), Gräfenthal(1861), Höchst(1756), Ilmenau (1777) , Kübs(1890), Ludwigsburg (1758), Meißen(1710), Neuses(1958), Nymphenburg(1761), Plaue(1817), Rödental(1871),Scheibe-Alsbach(1838), Selb・Hutschenreuther(1814), Selb・Rosenthal(1879), Sitzendorf(1850), Staffelstein(1872), Tettau(1794), Unterweißbach(1880), Varel(1953), Volkstedt(1760), Waechtersbach(1832), Waldsassen(1866), Wallendorf(1764)      

※( )は各工房の創設年を示す。

 

今年2019年の5月16日及び18日、更にGräfenthalのFitis(鳥の名)のフィギュリン及びUnterweißbachの"Dame mit Bouquet"(花束を持った貴婦人)のフィギュリンを入手した。


更に23日にはGoebelのHummel-figurの"Abendlied"(夕べの歌)、

25日にはHutschenreutherの"Karussel Spieldose"(メリーゴーランド・オルゴール)を入手した。

そして終に我が誕生日9月5日には、半ば諦めていたHöchstのフィギュリン”Magd im Wind”(風の中の少女)並びに  “Teegenießerin”(お茶を嗜む女性)を入手した。
此れにははあたかも幸運の女神が我が誕生日の祝福に授けてくれた様な思いである!

 

年が変わって2020年2月には所謂"Die acht älteste deutsche Porzellanmanifaktur"(ドイツ8大古窯)の中で、余が唯一未だに所蔵出来ていないLudwigsburgの花瓶を手に入れた。

更に9月15日にはGoebel Hummel-figurの1種である"Kunstmaler"(画家)を手に入れた。

此のフィギュリンは1992年に制作されていて、即ち余がKunstakademie Dresden(ドレスデン国立芸術大学)の絵画・グラフィック科にて学んでいた2年目である。

当時、余は同市内の陶磁器店にて品物購入の際、Goebel Hummel-figurの小カタログを貰っており、其の中に此のフィギュリンが掲載されていた。

余自らが画家であるが故、此の愛嬌のある男の子の画家を模ったフィギュリンには愛着を感じていた。

余は学生時代(1991~95年)には我が母校や学生寮の近くにある市の中心部の2軒の陶磁器店で様々なドイツ製陶磁器を購入していたが、以外にもこれ等の店には普段Hummel-figurを取り扱っていなかったので、此の"Kunstmaler"を入手するには至らなかった。

其れだけに28年前から思いを寄せていたフィギュリンが手に入った事は大変喜んでいる。

 

9月25日にはHutschenreutherのErdbeere(苺)を描かれている絵皿を入手した。

此の絵皿は裏側のMarke(マーク)を専門書で照合した処、1939~45年即ちNazis政権下の第2次世界大戦の真っ只中に制作されている事が判明した。

此の可憐で美しいErdbeere(苺)の絵は、とても殺伐とした戦争中に描かれたとは思えないのである。

因みに余は先の第1次世界大戦中(1914~18年)に制作されている我が地元Berlin K.P.M.の絵皿も所有しているのだが、此の絵皿は我が最愛の18世紀のRococo様式を見事に引き継いだ美しいデザインで、花の絵も色彩豊かで細密に描かれている。

此の絵皿の裏側には当戦時中に制作された事を証明するドイツ帝国の国家勲章や国籍マークとして有名なEisernekreuz(鉄十字)が描かれており、此れを“Kriegmarke”(戦争印)と名付けている。

 

其の後2022年8月23日にはVolkstedtの”Winzermagd”

(葡萄園の娘)を入手した。

此のフィギュリンの底にあるマークは1915年~36年にかけて制作された事を示しており、1920年代の作品と推定される。

此のフィギュリンが右手に持っているナイフの先端が欠けていたので、余が金属パテと塗料で修復を施した。

同月30日にはSitzendorfの”Ballerina”(バレリーナ)、そして9月2日には Tettau ・Gerold の“Gänsemagd”(鵞鳥番の少女)を入手した。

因みにかの有名なBruder Grimmによる”Kinder und Hausmärchen” (グリム童話)の中にも此れと同じ題名の童話がある。

此の童話集の中の登場人物はしばしば陶磁器のフィギュリンとして制作されており、余も”Die Bremer Stadtmusikanten”(ブレーメンの音楽隊)、 ”Der Froschkönig”(蛙の王様)、”Rotkäppchen”(赤ずきん)、

”Sneewittchen”(白雪姫)等を所有している。

更に10月6日にはGoebel・Hummel-figurの"Zum 20. Geburtstag"(20回目の誕生日に)を入手した。

此のフィギュリンは1977年に結成されたHummel-figurの国際的愛好会”M.I.Hummel-Club”の20周年記念に発行されたExtra Ausgabe(特別版)である。

1997年は余が4月以来、理美容専門学校の美術、文化史、ヘアーイラストの講師を務め、そして7月には念願のドイツの首都Berlinで初めて(公共事業としての)個展を開催した大変充実した年であった。

 

そして、11月15日にはThüringen州WeimarのMokkatasse(モカコーヒーカップ)を入手した。
此の陶磁器のマークには”Weimar”と表記されているが、実際製造してる工房は当市の南方約13kmに位置する町Blankenhainにある。
此のMokkatasse(モカコーヒーカップ)は日本人の感覚ではまるで子供の「ままごと」に使うおもちゃの様に見受けられるが、18世紀には実際此の器でMokkakaffee(モカコーヒー)やTrink Kakao(カカオ)等の極濃い口の泥の様に粘り気のある飲料を嗜んでいたのであった。
此れにて余は1900年代の10年毎に制作されたドイツ製陶磁器を全て揃える事となり、同時に我がドイツ製陶磁器コレクションは遂に合計100個の大台にまで達し、此れにて当コレクションを一通り完成する事が出来たのである!

更に12月3日には同州Wallendorfの ”Sitzender Akt”(座る裸婦像)を入手した。
此の彩色していないフィギュリンは座像でありながら高さが18cmあり、陶磁器の人物像としては比較的大きい。
又、解剖学的所見からも正確且つ写実的に人体を表現している作品である。
陶磁器を集め始めた頃には精々30個集めれば我ながら上等と思っていたが、まさか此れ程の数にまで達するとは思わなかった。
誠に諺の「継続は力也。」又はラテン語の諺"IN PERSEVERANTIA VERITAS"(執着こそ真実也)とは良く言った物である。

 

余は既に少年時代より18世紀ヨーロッパの貴族文化であるRococo様式に多大なる憧れと関心を抱いていた。

故に其の時代の美術部門の代表格であるPorzellan(陶磁器)を、いつの日か収集して行きたいと言う願望を抱いていた。

そして念願叶ってドイツの名門芸大の一つであるKunstakademie Dresdenにて1991年以来学業を始めると同時に、本格的にPorzellan(陶磁器)の収集を始めたのであった。

コレクションのいずれの分野でも共通して言える事だが、良き品物を収集する為には、ただ単に費用を懸けるだけではなく、何よりも先ず其の分野についての学術的資料と研究と知識が必要とされる。

そこで余も学業と制作以外に暇を見つけては、数多くの美術館、博物館、宮殿、城、等を訪ねて、館内の所蔵品、調度品を撮影したり、書店にて大量の美術品に関する図書を買いあさっていた。

 

明くる1992年には"Deutsche Porzellanmarken von 1708 bis heute"(Battenberg Verlag) と言う歴代のドイツ陶磁器のマークを完全収録した図書を入手して、ドイツ国内のPorzellanmanifaktur(陶磁器工房)及び陶磁器のマークを正確に確認、鑑定出来る様になった。

上記の通りドイツの代表的な工房の作品は我が地元BerlinのK,P,M(Königliche Porzellan Manifaktur=王立陶磁器工房)、Niedersachsen州にある旧Braunschweig公爵家御用達のFürstenberg、Bayern州の一大陶磁器の産地Selp市にあるスウェーデン王室御用達のHutschenreuther、陶磁器業界最大の企業Rosenthal、同州Rödental町のGoebel等を中心に殆ど同国内で入手して来た。

其れでもHöchst、Ludwigsburg、SitzendorfそしてUnterweißbachの作品は我が13年間にも及ぶドイツ滞在時代の中で遂に見付ける事さえ出来なかった。

即ち30年近くの歳月を経て、此度これ等の作品を立て続けに全て入手出来た事には感無量の喜びを感じている。

 

尚、余が個人的に収集したドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ハンガリー、デンマーク、日本、中国、等の代表的な陶磁器のコレクション”Porzellansammlung”(54点収録。解説:ドイツ語/日本語)は我がヤフーボックスの次のアドレスにて閲覧出来る。  Yahoo!ボックス

 

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