フランスは中古車天国か?:フランスの車事情を考察する | Ma vie en Citroen C5 et C6 ハイドロファン シトロエンC5とC6 との日々のブログ

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「お金を出さずに知恵を出そう!」をモットーにハイドロシトロエンの修理方法や安価なパーツの入手方法など経済的に維持する方法と趣味や日常生活についてのブログです。※当ブログではフランス語の表記について文字化けを回避するためアクサン記号を省略しています。

大学でフランス語学習者だった頃はあまり車には興味がなく、全く気にしたこともなかったのですが、フランス人の車に対する姿勢は私たち日本人とはかなり違うだろうということは想像にかたくないと思います。

 

先ずは中古車と新車の販売比率の最新データですが、

   

日本  :中古車6451230台、新車4528668台=中古車比率58.8%

フランス:中古車5195565台、新車1774723台=中古車比率74.5%

 

※日本のデータは2023年度(2023.4~2024.3)です。自販連・自軽自協データより、フランスのデータは2023年(2023.1~2023.12)です。JETROデータより

 

パーセントにするとあまり違わないようにも見えますが、販売台数で見るとフランスでの新車販売台数の少なさが顕著なのが分かります。

 

フランス人が一般的に節約家が多く無駄なお金を使いたがらないのだろうことは自分にも十分推測できます。昨今、海外事情を発信してくれている在外邦人の方がたくさんおられるので、それらのHPやブログから情報を収集させていただきました。

 

 

上のリンクのページにも書いてありますが、

 

「フランス人の車購入率:中古車8割・新車2割」

 

は、先のデータからもフランスに住んでいる方の一般的な感覚としてもたぶん間違いないと思われます。

 

http://vigneron-japonais.seesaa.net/article/cartegrise.html

 

上のリンクのページによると

 

『フランスでは、「安い車が欲しければフランス車」「高クオリティの車が欲しければドイツ車か日本車」というのがほぼ共通認識と言っていいでしょう。「安いけどクオリティはイマイチなフランス車」vs「高いけど安心なドイツ車・日本車」と言う構図は中古車市場では顕著で、フランス車は走行距離が増えたりや年式が古くなるにしたがってどんどん安くなっていくのに対し、ドイツ車・日本車は中古車市場でもなかなか値段が下がりません。』

 

とのこと

 

 
また、上のリンクのページによると
 
経済性を重視してディーゼル車やマニュアル車が圧倒的に人気とのこと、これも経済性最優先とのこと。そして大体予算は6000~7000ユーロ(約100万円)が主流とのこと。また、車が古くて汚れている比率は西ヨーロッパでは断トツという噂もあるようです。
 
 
 
 
上のページによれば
 
あちらではミニバンは不経済という認識となると思います。多人数が乗る機会なんて、1年に何回あるのか、そのために毎日空気を乗せて燃費の悪い取り回しの悪い、駐車も面倒な大きな車を常用するのは不経済という考え方のようです。日常と非日常の区分けがしっかりとなされているということでしょう。「あれば便利に惹かれて滅多に使わない機能(三列シートなど)を重視して車を選ぶ日本人、滅多に使わない機能なら要らない、むしろ、機械としての日々の使いやすさや経済性を重視するフランス人」という図式でしょうか?ここにも日本人のモノ信仰(多機能な商品は良い)の片鱗が見て取れます。
 
ミニバンと言えば、カングーが日本で人気と言うとフランス人は大笑いするそうですが、日本車に例えるとアメリカで日本の軽トラックがある層に人気なのと同じような感覚と言うとお分かりいただけると思います。「本国の人からするとその偏愛がユーモラスに見えてしまう」感じなのだと思います。カングーやベルランゴも含めミニバンなどは本国ではほぼ商用車オンリーといった感じらしいです。
 
さて、結論ですが、以上の情報をまとめると
 
1.多くの一般フランス人は車の経済性を優先し、中古車を好むのであまり新車が売れない。
2.しかし、お金がない人は安いフランス車を購入する。
3.少し、お金がある人や長く乗り続けたい人は壊れにくい高品質なドイツ車や日本車を購入する。
4.ミニバンは商用車以外は売れていない。
5.ディーゼルやマニュアル車が好まれる。
 
こういった環境だとフランスの車メーカーは新車が売れないので、壊れた車の修理需要のためのパーツ販売で儲ける体制になってしまうのかもと邪推してしまいます。フランスも2000年から2年ごとの車検が始まったようですが、日本の車検と比べるとかなりマイルドで簡単な点検が主体で、致命的な問題がなければ車検に通るとのこと。この制度のおかげである程度はパーツ需要は増えたかもですね。
しかし、「壊れやすい」→「中古車としての価値が下がる」→「買うのは安物買いを厭わない方々」という負のスパイラルに陥ってしまう感じを受けます。
 
昨今、シトロエンも高級車市場から手を引いて、C5Xの後継車を作らないと明言しているらしいですが、そういった車を求める方々にすれば、やはり「ドイツ御三家に乗るよ」といったところでしょうか。こう言っては失礼ですが、高級車市場ではブランドイメージのあまりパッとしないフランス車の出番はないのかもしれません。
 
そして、最近、フランス車の故障でオーナーの怒りの声が聞こえてくるのはアルピーヌA110のエアコン故障問題ではないでしょうか。皆さんのお怒りが炸裂しているといった感じです。
 
 

また、一方でこれらの問題に真摯に対応されているディーラーの対応も大変なようです。

 

 

この件については本当にお気の毒だと思いますし、オーナー様の心情はお察しいたしますが、自分の拙い経験から言うとは本件はリコール対象にはならないと思います。

 

ユーザーはリコール制度を同一車種に多数の問題が出た場合の責任無償修理と解釈される方が多いのですが、以下のようにリコール制度は「保安基準」に係わる問題とされていますので、そこに大きな誤解が有ると思います。

 

『回収・修理の種類について
リコール
リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。

改善対策
改善対策とは、リコール届出と異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、必要な改善措置を行うことをいいます。

サービスキャンペーン
サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます。』

 

 

従って安全な走行に支障のないエアコン等の故障は以下のように仮に対応があるとしても(ない場合もあり得ます)リコールや改善対策ではなく、サービスキャンペーンの対象となると考えるのが妥当だと思います。そもそも、かの徳大寺有恒さんも言っておられましたが、私を含め、こういった類の非日常の道楽車を普通の人が日常の足として購入するなんて国は日本だけだと思います。フランス本国では、こういった車に求められるものは「信頼性」という日常性能ではなく、「いかに非日常的な体験を提供してくれるか」が第一なのではないでしょうか。そういった意味では車の設計にある種の割り切りを感じます。走りの理想を追求した結果なのか分かりませんが、エアコン修理のために両方のドアを取り外さなければならないような過酷な修理を強いる整備士泣かせな設計などにもそれを感じずにはいられません。

 

 

そもそも、エアコンのエバポレーターからのガス漏れは絶対的な信頼性を誇る国産車でも結構ある事例です。国産車でもサービスキャンペーン対応です。下の例のようにスズキでは保証期間延長対応を行った事例があります。これはサービスキャンペーン対応です。

 

 
また、同じスズキでリコール対応となった事例もありますが、これは、エバポレーターからのガス漏れやオイル漏れが原因でエンストが誘発され、安全な走行に支障があると判断されたからです。決して同じ問題が頻発したためではありません。この理解が重要です。
 
『エアコンのエバポレータにおいて、製造方法が不適切なため、一部のコンプレッサとの組み合わせにより当該部品の内部から腐食して穴があき、冷媒および潤滑油が漏れることがある。そのため、エアコンの効きが悪くなり、最悪の場合、コンプレッサが潤滑不足でロックし、低速走行中にエンストするおそれがある。』
 

 

また、全く別の話ですが、ヨーロッパ車の場合、サービスの適用範囲がヨーロッパ内外で違う場合は多々あるようです。

 

『輸入車の場合、白人の国への対応と我々のような国(アジア・アフリカ等)との違いは経験します。かってのように日本だけの情報だと解らないんですが、昨今のように他国の情報も容易になってくるとメーカーもそこは考えているんですが、昔はヨーロッパ人の顧客から本国の対応と違うと指摘されて失望したことが有りました。』

 

というお話を某高級輸入車ディーラーのカリスマ営業マンK氏からお聞きしたことがあります。

 

日本人はおもてなしの世界に生きているので、行き届いたサービスを当たり前と感じている人が多いと思います。そして、そのサービスがないとお怒りになる方が少なくないと思いますが、外国文化を教えている身から言わせていただくと、おおむね世界標準はセルフディフェンスです。自分で何とかするしかありません。私もフランスのクロノポストで痛い目に遭いましたが、そんなことは枚挙のいとまもありません。車という高額商品をサービスも含めて買うと考えた場合、多少高価でもサービスが行き届いた日本車やドイツ車を買うのが利口かもしれません。私たち日本人に合ったサービスを提供してくれるのはやはり日本車ですし、ドイツ車も日本車に近い価値観を持っています。サービス面でも比較的違和感はないのかなと推察します。しかし、輸入車で一番売れる車がベンツだったり、高価なiPhoneが飛ぶように売れる国は日本以外にはないのではないでしょうか。ある程度の長期間、海外生活を経験した人は日本人特有のモノ信仰に気づくでしょう。分不相応であっても「良いモノを所有していたい」という気持ちはもはや信仰のレベルです。しかし、モノは人を本当に幸せにしてくれるでしょうか。その購入費用を友人や隣人や家族と楽しむお金や旅行などに使ったらもっと心が豊かになるかもしれません。本当に大切なのは目に見えないものです。フランス車の場合、サービスにおいても、安かろう悪かろうの傾向は否定できない気がします。でも、私は、むしろ、そんなフランス車の肩がこらずお気楽な良い意味での安っぽさが大好きです。実際、C5もC6も同クラスの国産車よりかなり安いお金で手に入れることができました。そして、浮いたお金でもっと他のことを楽しみたいと考えています。
 
引用:失敗したっていいじゃない,海外だもの
 
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