シトロエンは le Citroen なのか la Citroen なのか:フランス語のお勉強 | Ma vie en Citroen C5 et C6 ハイドロファン シトロエンC5とC6 との日々のブログ

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よくフランス語の車のHPを見て悩むことがあります。それは商品名など固有名詞の性別です。ご存じのようにフランス語の単語には性別があります。では、固有名詞であるシトロエンの性別は男性名詞なのか女性名詞なのかどちらなのでしょう。
フランスの自動車総合サイトCARADISIACを見てみると面白いことに気づきます。
例えばベルランゴですが、

le nouveau(ヌーボー:形容詞「新しい」の男性形)とあるようにCitroenは男性名詞です。
しかし、同じシトロエンでもC3は

Nouvelle(ヌーベル:形容詞nouveau[新しい]の女性形)なのでCitroenは女性名詞となります。
そして、同じC3でもAircrossは

この図のようにNouveau(ヌーボー)とあるのでCitroenは男性名詞となります。
この違いに結構当惑しました。
この問題の見分け方のヒントをいただけたのがYouTubeチャンネルの「ぺぎぃのフランス語講座」です。

日仏ミックスのぺぎぃさんの説明によるとあくまでも彼の私見ではあるけれど、商品名の性別はその商品の元々の属性によるのでは?とのこと
 

例えば
 

Coca-Colaはle soda(ソーダ)の一種なのでle Coca-Cola(ル・コキャコラ)と男性名詞
Heinekenはla biere(ビール)の一種なのでla Heineken(ラ・ハイネケン)と女性名詞となります。
しかし、車に関してはもう少し複雑なようです。
 

ぺぎぃさんは車はla voitureなのでla Citroenやla Peugeotで良いと説明されていますが、実はもう少し属性が細分化されているようです。

例えば
 

le monocorps(モノスペース)スペースツアラー:le Spacetourer
la berline(セダン)C3・C4・C5セダン:la C3・C4・C5
le break(ワゴン)C5ツアラー:le C5 Tourer
le SUV(SUV)C3・C5エアクロス:le C3・C5 Aircross
la fourgonnette(フルゴネット)ベルランゴ(モノスペースとして男性名詞扱いしているHPもあります。上記CARDISIACがまさにそれです。):la Berlingo, le Berlingo
la coupe(クーペ)DSクーペ:la DS coupe

※ただし、ぺぎぃさんのご説明のように、これらのこだわりなしに自動車はla voitureなので、すべて車名の固有名詞は女性名詞扱いしている例もあります。考えてみれば、商品名の性別をアカデミー・フランセーズが逐一判断するはずもなく、その辺りはかなりアバウトなのが実情のようです。

 

このようにフランス語の場合、常に性別を意識する必要があります。例えば、三人称複数代名詞のils(イル:彼ら)とelles(エル:彼女ら)の使い分けなどです。もし、男女混合の集団の場合はils(彼ら)となるのでしょうか、それともelles(彼女ら)となるのでしょうか。答えはils(彼ら)です。フランス語には男性優位の法則があり、女性99人の中に男性1人だけの集団であってもils(彼ら)と表現します。面白いですね。

 

この性別以外にもっと面白いのが冠詞です。実はフランス語は冠詞が高度に発達した言語です。不定冠詞(un,une,des)や部分冠詞(du,de la)や定冠詞(le,la,les)の使い分けで意味が大きく変化します。

 

例えば

 

boeuf(牛・牛肉)を例に取ると

不定冠詞や定冠詞は具体物を表すので、

Voici un boeuf.(ここに牛が1頭います。)

(数:数えられる具体物には不定冠詞を用いる)

Je mange du boeuf.(私はいくらかの牛肉を食べます。)

(量:数えられない具体物には部分冠詞を用いる)

 

また、定冠詞は総称表現(~というもの)という意味も表すので、

J'aime le boeuf.(私は牛肉が好きです。)

(肉の総称表現[肉というもの]:肉は数えられないので単数の定冠詞+単数となる)

J'aime les boeufs(私は牛が好きです。)

(牛の総称表現[牛というもの]:動物は数えられるので複数の定冠詞+複数形となる)

 

このように意味が変化します。

 

よくフランス語で非ネイティブがやる間違いが

J'aime le chien.といったような表現です。このように表現するとle boeufと同じでle chienは加算名詞である「犬」ではなく、不加算名詞である「犬の肉」という意味になり、「私は犬の肉が好きです。」という表現になってしまいます。もし、「犬が好き」と表現したかったら、犬は1匹2匹と数えられるので、J'aime les chiens.と定冠詞と複数形を用いた総称表現(~というもの)で「犬という動物が好き」と表現すべきです。

 

ちなみにフランス語のboeufは英語のbeefの語源です。1066年のノルマン・コンクエストでフランス人である征服王ウイリアム侯に征服された当時のイギリスでは支配層がフランス人であり、フランス語を話していました。

イギリスではフランス語が公用語である状態がその後1400年まで続きました。その歴史の関係で多くのフランス語由来の単語が英語となりました。例えば、肉を食べるフランス人支配層は牛肉をboeuf(beef)と呼び、牛を飼育する立場の土着のイギリス人たちは牛をoxやcowなどと呼びました。そういった由来で、動物とその肉を表す単語が異なっていますのでフランス語のような誤解が生じにくくなっています。

 

 

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