バランス | タイのお守り プラクルアンに関するネタ 「プラ・ネタ」

タイのお守り プラクルアンに関するネタ 「プラ・ネタ」

タイのお守り「プラクルアン」について書いています。

今は昔。最初にプラクルアンについて教えてくれたのがR先生という音楽家のおっちゃんで、プラクルアンの鑑定以外にも、所作や業界マナーみたいな類を色々と教えてくれました。例えばルーペの覗き方一つでレン・プラ(プラクルアンのやり取りをする)の人間か否かを探られ、足元…ならぬ手元を見られ価格が違ってきたりします。

当時。夜待ち合わせては、飲食店の屋外喫煙スペースでアレコレとプラクルアンを取り出してルーペで眺めつつ、このヌア(「肉」転じて「材質」)はこういう風になってるのは良い!などとやっていますと、「ちょっとすみません」とか言いながら知らない人が寄って来て話に参加して来る事もありました。

ある日。ホテルの喫煙スペースで上記にような勉強会を開いておりますと、「ちょっとすみません」と身なりの良いオッサンが我々の話に参加してきまして、基本、私もR先生も「外面」は良い人間ですので、初めてあった身なりの良いオッサンとも笑顔で談笑しつつも、プラクルアンをパクられたりしないか阿吽の呼吸で見張っておりましたが、オッサンに怪しい動きはまるで無く、まあ一安心。という頃合いにオッサンは「私がつけてるプラも見てくれますか?」と徐ろに金のネックレスを手繰り、取り出したのが金枠に入ったソムデット。私がまず見せて戴いたのですが、私が勉強してきたソムデットとは違い、まだ新しいお守りに見えましたが、如何せん私はお勉強を始めたばかりのずぶの素人です。まだまだ知らないプラクルアンはたくさんある…どころか知らないお守りの方が多いはずですので、ちょっと誤魔化し加減に「えーっと…わかんないっす。えへへ」みたいに言うと先生もオッサンも、あははとお笑い。先生が手に取ってルーペで覗いて「うん。本物ですね」と言いますとオッサンはニコニコしながらその場を辞しました。

我々二人っきりになるや先生「どう思った?」と問われる。「いやー詳細はわかりませんが、私には新しい物にしか見えなかったです」と答えると「正解。アレだと金枠の方が何倍も価値あるね」と仰りニヤニヤ笑っておられる…。

他人がどのようなプラクルアンを好み着けようがそれはその人の自由。しかし「業界」的に見るとああいう人は「カネはあるけど見る目がない人」と見做される。金枠はあくまで入れ物。中身のプラクルアンあってこそ。人目を気にして良い格好したいが為の金枠入れはダサいよ。そもそも、その枠代で他のプラクルアンを借りられるしな!

とご教授戴いたのは彼これ15年ほど前の事となりますが、それをふと思い出したのは先日、Gさん(過去に弊ブログに何度かご登場)と久々に会い、プラクルアン情報交換をした際に私が「今日は何を着けてるんですか?」と訊ね、見せて戴いたプラ・リヤンが、前からお持ちの2517年発行のルアン・ポー・クーンのお守りでしたが、宝石を散りばめた新しい金枠に入っており、それを見た私の、その顔色を見て取ったGさんご自身が「この金枠と中のリヤンの価値は釣り合ってないけどね」と言われたから。リヤンは確かに本物でコンディションの良いお守りでしたが、そこまでの金枠を…と刹那思ったのが顔に出てしまったのでしょうか…。

Gさんがプラクルアンに強く興味を持ち始めたのはここ数年。若い頃は腕時計、車を興味をお持ちである富裕層の方々も年齢が上がると共にプラクルアンへ移行される方は少なくありません。タイの「大人の嗜み」という感じです。軍の高官、政治家、財閥の方にお会いさせて戴く機会が過去にあり、お願いして見せて戴いたプラクルアンはいずれも希少でごっついプラクルアンであり、それに相応しい立派な金枠タラップ(開閉式)宝石キラキラに入っていました。まだまだ知らない、出会っていないプラクルアンがたくさんある私は入れ物より中身のプラクルアンに興味が行きます。…ま、そもそも、そんなゴージャスな入れ物を求める甲斐性がございません。やはり何事も、バランスが大事なようです。


キンキンキラキラの金枠に入ったGさんのリヤン・ワット・サキャオ。


友人の娘氏がお祖父様から入学祝として贈られたギラギラ金枠入りリヤン。「お前持ってても危ないから俺が持っておいてやる」という私のオファーに「いくらで借りる?」と返して来た娘氏。


センセイのプラ・リヤン。センセイは自分ではこういう枠には入れません。この状態で引き取ったはずです。センセイに似合わんな…と失礼ながら思いました。ごめんなさい。