『科学によって何もかも分かると言うのが傲慢であり知には限界がある。新しい時代の知の方法とは?』と題して前回、以下を書いてみました。
神と真理
カントは、『純粋理性批判』において、知には限界があることを示しました。
「理性的認識には限界があり、物自体(神や霊魂、真理など)の世界を認識できない」
これが、カントの結論です。そして、この結論が現代まで影響を与えているのです。つまり、唯物主義であり、相対主義。これが現代の価値観です。
しかし一方で、西田幾多郎は、知の限界の壁を超えて宗教の領域に入ることで、神を認識し、神人合一に至る、と『善の研究』の中で述べています。
私自身も西田の言うように、人間は神や神理を認識することができる、と認識しています。
結局、哲学という知の領域を超えて、宗教の領域に入っていく必要があるのです。
宗教の領域に入り、「人間の意識が純粋な利他の思い、愛の思いになっていくことで、その思いが、神の思いである愛に共鳴し、共鳴することで神の思いを知り、従って、そこにおいて、神や真理を悟る」、こととなるのです。
人間の意識と神の意識の共鳴、レゾナンス。自分自身の意識が「純粋な」愛の思いまで高まっていき、愛そのものである神の意識と共鳴する。この共鳴によって神の思いを知り、それによって、神や真理を悟るわけです。これが、西田の言う神人合一であろうと思います。
これは、宗教体験です。そして、この宗教体験で得た認識が、これを悟りと言いますが、この悟りが、主観と客観の一致を導き、神や真理とは何か?を確信することとなるのです。
そして、新しい時代の価値観とは、新しい時代の知の土台とは、この宗教体験で得た神や神理、これが、土台となるのです。そして、この神や神理が土台となり、知と信仰が高度に融合し、そこにおいて生み出される「学問」、これが新しい文明を構築する基礎となっていくことでしょう。それが今後行われていくことであると思います。
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