天使の悪戯46 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「あのぉ・・・お姉さん・・・歩君のお姉さんなんですか?」


いまだ私の携帯で歩君をからかい楽しむ彼女は、私を見て


『あれっ?私、言ってなかったかしら?いや、言ったよね♪ほら、お姉さんと


お食事しましょっ!って感じで・・・』


お姉さんはお姉さんでも・・・実のお姉さんとは・・・わからないよ。


ほらって言われても、実際、歌のお姉さんもいれば、〇〇〇なお姉さんなんてのは


この世にはたくさんいるんだから・・・


『あっそうだ。奈緒ちゃん、お姉様って言ってみて!!』


携帯を片手に持ったまま、突然の私へのリクエスト。


未だ歩君と繋がってる携帯から聴こえてくる、叫び声。


『ババァ!!奈緒に何言わせてんだっ・・・クソ女!!!』


それでもお姉さんは、楽しそうに携帯を私の口元に向ける。


「はっ・・・えっ・・・」戸惑う私に・・・


『早く言って、お姉様って。可愛くね!』急かすように携帯を振る。


「おねえさま・・・」仕方なく告げたセリフ・・・


『キャー!!聞いた!歩・・・奈緒ちゃん、かわいい!!』


身悶え興奮するお姉さんは、私を抱きしめようとする。


携帯の向こうから漏れ聴こえる大きな歩君のため息。


そして、呆れて冷静になった歩君は、携帯の声が私に聞こえてると判断して


『奈緒、奈緒、携帯を姉貴から奪え、早く。』と、私に指示をする。


そんなことできないよ・・・どうしようと思い悩む私に、お姉さんが


『しかたないな・・・はいっ、返してあげる。』と携帯を渡してくれる。


「もしもし、歩君・・・『奈緒、悪い・・・30分我慢して、すぐ迎えに行くから』


我慢って・・・悪いって・・・言われても何もされて無いし・・・


「歩君、別に私・・・お姉さんの買い物付きあうくらいは、迷惑なんかじゃないよ」


すると私の耳元に顔を近づけたお姉さんは、携帯に向かって叫ぶ。


『歩といるより楽しいって!!『黙れ!ババァ、とにかく行くから、逃げんなよ』


今、私達がどこに向かっているのか、車に乗ってる私でさえ知らないのに・・・


歩君には、わかるのだろうか・・・。


車が突然曲がり、センター街の一角の立体駐車場に入る。


此処って・・・どうやらお姉さんは、本当に服を買いに来たみたいだ・・・。


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