「あのぉ・・・お姉さん・・・歩君のお姉さんなんですか?」
いまだ私の携帯で歩君をからかい楽しむ彼女は、私を見て
『あれっ?私、言ってなかったかしら?いや、言ったよね♪ほら、お姉さんと
お食事しましょっ!って感じで・・・』
お姉さんはお姉さんでも・・・実のお姉さんとは・・・わからないよ。
ほらって言われても、実際、歌のお姉さんもいれば、〇〇〇なお姉さんなんてのは
この世にはたくさんいるんだから・・・
『あっそうだ。奈緒ちゃん、お姉様って言ってみて!!』
携帯を片手に持ったまま、突然の私へのリクエスト。
未だ歩君と繋がってる携帯から聴こえてくる、叫び声。
『ババァ!!奈緒に何言わせてんだっ・・・クソ女!!!』
それでもお姉さんは、楽しそうに携帯を私の口元に向ける。
「はっ・・・えっ・・・」戸惑う私に・・・
『早く言って、お姉様って。可愛くね!』急かすように携帯を振る。
「おねえさま・・・」仕方なく告げたセリフ・・・
『キャー!!聞いた!歩・・・奈緒ちゃん、かわいい!!』
身悶え興奮するお姉さんは、私を抱きしめようとする。
携帯の向こうから漏れ聴こえる大きな歩君のため息。
そして、呆れて冷静になった歩君は、携帯の声が私に聞こえてると判断して
『奈緒、奈緒、携帯を姉貴から奪え、早く。』と、私に指示をする。
そんなことできないよ・・・どうしようと思い悩む私に、お姉さんが
『しかたないな・・・はいっ、返してあげる。』と携帯を渡してくれる。
「もしもし、歩君・・・『奈緒、悪い・・・30分我慢して、すぐ迎えに行くから』
我慢って・・・悪いって・・・言われても何もされて無いし・・・
「歩君、別に私・・・お姉さんの買い物付きあうくらいは、迷惑なんかじゃないよ」
すると私の耳元に顔を近づけたお姉さんは、携帯に向かって叫ぶ。
『歩といるより楽しいって!!『黙れ!ババァ、とにかく行くから、逃げんなよ』
今、私達がどこに向かっているのか、車に乗ってる私でさえ知らないのに・・・
歩君には、わかるのだろうか・・・。
車が突然曲がり、センター街の一角の立体駐車場に入る。
此処って・・・どうやらお姉さんは、本当に服を買いに来たみたいだ・・・。
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