『お嬢さん、さっきから・・・バイクにずっと後をつけられてます。』
運転手さんが、ミラー越しに彼女に話しかける。
『あーもう歩、気付いちゃったみたい・・・予想以上に早いんだから』
車にピタリとついたバイクを確認して、頬を膨らませながらも・・・嬉しそうな表情。
彼女は、間違いなくこの状況を楽しんでいる。
『奈緒ちゃんは、やっぱり特別なのねぇ。』
隣に座る私にニッコリ微笑むと、携帯を私の膝上に乗せる。
『歩に掛けて、替わってもらえる?』
彼女の顔を横目で見ながら、携帯を掴み慌てて歩君に電話をする。
すると・・・1コールもせず、聴こえてくる歩君の声。
『奈緒!すぐに車から降りろっ!』
走ってる車から降りろって言われても・・・無理だよ・・・
私が言葉を発する前に、携帯を奪われる。
『邪魔しないでよ、歩!はっ?ドーナツ?あんた何言ってるの?』
クスクスと楽しそうに笑い、更に歩君を挑発する。
『だって、歩・・・最近、着信拒否ばっかだし・・・会いに行っても泊まっても・・・
帰れって言うし・・・寂しかったんだもの・・・』
ウソ泣きのように声を悲しげに出し、私を見て舌を出し笑う。
確実に・・・彼女は歩君を弄んでいる。
でも、やっぱり彼女とはそういう関係なんだ・・・かなりショックだよ・・・
『だから、奈緒ちゃんと私仲良くなりたいなってね・・・』
だから・・・って意味が分からない・・・恋敵と仲良くなんて、できないよ。
『ねぇ、実は私・・・弟よりも妹が欲しかったんだよね。』
全く分からない・・・妹が欲しかった?って・・・えっ・・・んっ?どういうこと?!
『何?歩っ、こんな綺麗な姉に向かってババァは無いでしょ♪』
あね・・・アネ・・・姉!!!はぁー・・・うそぉ・・・お姉さん?
隣に座る彼女を見る。
言われて見れば・・・そっくりな目元・・・鼻・・・口・・・
私は、とんでもない勘違いをしていたのだと気付く。
どうか・・・クリックをお願いします。(#⌒∇⌒#)ゞ
目次 /