『奈緒っ・・・捕まったから覚悟して自分から車に乗ったの・・・
で、私ここまで走って・・・』
涙ぐむ彼女の手は震えていて、奈緒の事が本当に心配なのだろう。
俺の横に居た成は、既に携帯を片手に周りの奴らに何か指示を出している。
俺は、俯き息を整えようとしてる彼女に近づき尋ねる。
「奈緒を連れってた野郎に心当たりは?」
少し落ち着いてきたのだろう・・・
彼女は周囲をキョロキョロと見回してから、俺の顔を見て
『あっ・・・あの・・・奈緒の彼氏さんですか?』
俺が、あぁ・・・と頷くと
『野郎じゃないですっ・・・奈緒を連れってたのは・・・言ってもいいのかな・・・』
ふざけてんのかっ、この女。奈緒を助けなきゃなんねぇのに、何ほざいてんだか。
「さっさと言えよ!知ってる奴か?」
声が大きくなった俺に、少しビビリながらも、彼女は言いづらそうに話し出す。
『奈緒が今朝、話してて・・・だから断定はできないけど・・・たぶん・・・
彼氏さんの浮気相手?だと思います。』
周囲のざわめきが一瞬で止まり、全員の視線が俺に注がれる。
「はぁ?浮気相手?・・・誰だよ、それ?」
俺のセリフに、彼女は疑いの眼差しを向ける。
『だって、腕を組んで車から降りてきたって、ものすごく綺麗な人で・・・
奈緒は、ショックを受けてて・・・で、何も聞けなかったって・・・』
何だよ・・・それっ・・・俺にそんな女いねぇつうの・・・
奈緒と付き合いだして、遊んだ女などいない。
まして、腕組む事など、どうでもいい女相手に、したことねぇよ。
『歩、わかった。奈緒ちゃん乗ってる車、見つけたってさ。今、後つけさせてる。
たぶんセンター街に向かってる。』
成が俺に近づき耳元で告げる。
「で、誰だよ?」
苦笑いを浮かべる成。
『いやぁ・・・それが・・・アカリさん?・・・だって話なんだ・・・』
「あぁ?姉貴?」
成が・・・口にした名前に・・・俺は姉貴の顔を思い浮かべて・・・怒りで震える。
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