収穫期 | 将棋

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将棋について
将棋上達法(将棋の初段を目指す方への提案・サポート)

浅川出版の新刊が出ます。「矢倉5三銀右急戦」

村山慈明七段著 堂々の320ページ。 12月24日発売。

https://www.asakawashobo.co.jp/products/detail.php?product_id=49

居飛車党のアマチュアが好きそうな戦型を「序盤は村山に聞け」

の村山七段に書かせる。紹介文にはこう書いてあります。

「黎明期から最新形まで、この戦法の定跡の流れをていねいに

たどっていきます。」

さすが浅川、胸アツな企画です。内容見なくても購入決定です。


さて本題です。NHK杯トーナメントは毎年4月がスタートです。

3月に準決勝・決勝という「濃厚で手に汗握る将棋」をファンは

味わいます。しかし当然と言っては失礼ですが、4月からは

再スタートのため、一部ですが凡戦・拙戦が散見されます。

舌が肥えてグルメになってしまったファンには物足りません。

「これじゃ、俺の方が強かんべ。」

というアマ強豪もいるかもしれません。

そこから約8カ月、やっと実力者や現在ノッている若手などが

激突して、良い将棋が見られるようになります。わたしはこれを

「NHK杯トーナメントの収穫期」と勝手に呼んでます。

先日の深浦VS豊島戦も収穫期にふさわしい見ごたえ十分の

将棋でした。


早々に時間を使い切り、形勢も劣勢と思われた状況からの

深浦九段の勝利。羽生ファンの私にとって深浦九段は少しだけ

「敵キャラ」扱い(羽生さんと比較的いい勝負をしていたいう意味、

最近はボコボコ気味です)なのですが、素直に感心しました。


そこで早速この本を読んでみました。

「プロへの道」 深浦康市九段著

この本は深浦九段の成長過程をアマチュア強豪で深浦九段の

最初の師匠ともいえる川原潤一さんの文章を中心に進め、

初心~奨励会三段までの棋譜を深浦九段自身の解説で紹介

したものです。(棋譜は何と56局)


はしがきで深浦九段自身が

「将棋を強くなれたのはこの方(川原さん)のおかげです」

と言い切って感謝の意を表しています。

私の印象に残った点を、2つほど紹介いたします。

念のため申しますが、他にも読み応えある所が多いです。


①「私(川原)の方針は二枚落ち(1級以上)の実力がつくまでは

原子棒銀しか教えない。週2回、2時間の勉強が始まった。

最初の1時間は定跡と質問、その後実戦を1局か2局。

子供は何局も指したがるが雑になっては上達が遅れるので、

2局を真剣に指すように仕向けたのである。」


とても素晴らしい方針(将棋上達法)だと思います。


②「彼(深浦)には癖があって、優勢な時にはよそ見をしている。

不利な局面では盤から目を離さずみつめ、敗勢になったら

盤上に覆い被さってしまうのである。


NHK杯での「劣勢な局面でも一心不乱に手を読む姿」

と重なります。


将棋を始めた時、このような良い指導者に巡り合い

その指導者が克明に成長の記録を取っておいてくれる。

プロ棋士にとってこんなに幸せなことはないと思います。


最後になりますが、棋王戦「挑戦者決定二番勝負」に

深浦九段の進出が決まったようです。

敗者復活からなので挑戦者になるには深浦九段の

(対羽生)2連勝が必要。

それと、対局スケジュールが16日(火)の本件棋王戦

(対佐藤モテ九段)、19日(金)A級順位戦(対久保九段)、

22日(月)棋王戦挑決となっており、短い期間に勝負将棋

が続きます。内容のある、良い将棋を期待しましょう。


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