三厩洞門群 | 新・笑ってでも駆け抜ける‼︎

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2015/​4/30 三厩洞門群


青森市内からR280を北上し外ヶ浜でR339へ分岐。2~3㎞走ったところで素掘りの洞門群と出合った。この洞門群ができる前は急峻な岩場に穴をあけヒバ丸棒を差し込み岩場を超えていたという逸話が残されている。沿線の各漁港で採れたアワビで得た莫大な利益でこの洞門群を掘って道路を通したことから「アワビ道路」と地元民は呼んだ。13の洞門を掘削したが改良により8つが現存している。


「階段国道」として一躍有名になったR339。だがしかし真の魅力はこの「三厩洞門群」にあると思っている。




   

​起点の外ヶ浜の近くにあった岩場。この地に国道を通すため大きな岩場を削った残りカスみたいなものだろう。
2021年夏に再訪したが、この区間にはバイパスができ写真のような狭隘区間は町道へ払い下げられた。





   

​第4・第5洞門。数少ない現道に掘られた素掘りの隧道。
とはいえ、元々は海岸線を縫うように走る未改良区間で月日をかけ拡幅したのは想像に容易い。
それにしても2車線道路に2つ素掘り隧道が突き抜ける風景は美しい。





   

​第5洞門を竜飛崎側から振り返る。
4mの高さ制限がありながらも大型車の通行は頻繁に見られた。
しかし古くは荷物を背負い、ヒバ丸棒を岩肌に刺して隣の集落・町へと移動していたと考えると、これでもかなり安全になったのは言うまでもない。





   

​鎧島1号の名が与えられた洞門をはじめ、近代的な洞門も幾らか見受けられた。
観光バスや地元の海鮮などを運ぶトラックとの離合も見られ、本州最果ての国道は通行に難儀するようである。





   

​さて、この洞門は坑内に素掘り隧道を持つ美味しい物件である。
北陸のR305旧玉川トンネルを彷彿とさせる。
ただ作りが旧玉川トンネルより簡素であった。
※洞門自体は鎖島1号の方がショボいが隧道は旧玉川トンネルの方が坑内が狭いと感じた(2020/5/24訪問)







   

​6号洞門の銘板。青函トンネル記念館の広告が刻まれている。
階段国道と青函トンネル、思わねところで接点があり驚きを隠せなかった。





   

第6洞門全景。
他の洞門と比べて形が整っているが、中はやはり素掘りにコンクリート吹き付けというスタイルであった。
こんな坑口であるが竣工当時は、他の洞門と同じく岩肌が露出した状態だったのだろうか?





   

​第11洞門。竜飛崎が近づくとコンクリートで吹き付けられた岩肌を縫うように洞門群が見えるようになる。
当然それらは廃道化し、集落のメインストリートは細い舗装道路がうねうねと走っていた。
ちなみにこちらの洞門は廃道化後、個人に引き取られ私有地になっているのだとか。
一家に一洞門。声に出して読みたい日本語である。





   

​第11洞門と第12洞門を見ながら現道は直線に海岸線を走る。
かつてここは海岸線で、バイパス路は海を埋め立てて道路が敷かれた。
旧道は岩場の崩落と海岸の路肩崩壊を意識しながらの運転で見通し・幅員も不十分でトンデモナイ国道であったと想像できる。




​これ以降の写真はないことから、第12洞門までが現存していたと予想する。
免許取り立ての最果てドライブ、初の青森県ということもあり、見るもの全てが新鮮であった。
今日では早朝より階段国道の見物客で溢れる国道339号。しかし、筆者としては件の洞門群の方が、時間も忘れて見入ることのできる、魅力的な存在だと思っている。