岐阜のストーンヘンジ | 新・笑ってでも駆け抜ける‼︎

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探究心のカケラ追い求めて────。


​2022/12/3

岐阜市北部の田園地帯に、巨大な柱が高くそびえ立つ。空が赤く染まる夕刻、柱の列は古代遺跡のように浮かび上がり、まるで異世界のようだ────────

秋も深まり、冬の白くて痛いような冷たい風が吹き抜けるようになった11月の暮れ。

ふとしたきっかけで冒頭にあるプロローグの文章から始まるネット新聞と出会った。

冬の市街地の外れ、コンクリートの脚と脚が織りなす神秘で非日常な景色が筆者を誘う。北風の厳しい寒さも忘れて…。





   

筆者はとても迷っていた。
というのも岐阜のストーンヘンジの存在を知って、「いざ、行こう!」とした頃には橋脚に足場がビッシリまとわりついている写真をネットで見てしまい、足踏みしていた。

が、幸い、天気はいいとのことで仕事明けで深夜の一般道で一路、岐阜を目指した。




   

​現地に到着したのは深夜2時を回った頃。
煌々と照らす月明かりに照らされて、うっすらと"細長い壁"がいくつも聳え立っているのが確認され、迫力と恐怖にゾクゾクした。たまらなかった。
このゾクゾクもまた快感だと思えるのもオタクのメリットであると言えよう。2時間ほど仮眠して南東の空がうっすらオレンジの色を出して目覚めの刻を知らせてくれる。
筆者も車から降りて撮影の準備に取り掛かるが、時折冷たい風に煽られて車に引き篭もりたい衝動に駆られる。が、空がいい色を出してるし、これからご覧に入れることになる景色を写真に収めるべく、身体をブルブル震える中、朝焼けのシルエットにその姿を映した橋脚たちの元へ歩いていく。





   

​これが…これが"岐阜のストーンヘンジ"…。
それは英国のホンモノと瓜二つ…とまでいかないが、現代の建築技術を活かして作られた、まさに"令和のストーンヘンジ"の名に相応しい佇まいをしている。
意外にも懸念していた足場は目立たなくて、足場があってもなくても幻想的な姿にただただ感動していた。





   

​規則正しく並べられた橋脚たち。
橋脚の上にも足場が建ってるせいか、このまま天まで高さを上げていくような感覚になる。
太陽も少しずつ高度を上げて、オレンジ色の空はやがて町を染めていく。





   

​こちらの橋脚たちは高さ、形、位置、全てがバラバラでランダムに配置したかのような異空間となっている。これでもきちんと計算し尽くされた配置となっている。やっぱり写真で見るのと自分の目で愛でるのとは訳が違う。

とにかくド迫力で見る者を圧倒する巨大なコンクリの脚は、筆者の心を惹きつけて離さない。

それは刺さるような冷たい風も忘れさせてくれた。






   

​"岐阜のストーンヘンジ"と呼ばれる岐阜ICも2024年開業に向けて日々工事が進められている。
西側ではいよいよ桁が架かり、工事も大詰めと言ったところだろう。
来年度には全て桁が架かり、この異様な光景も終焉を迎える。
今見ている景色、あの日押したシャッターボタンで記録した写真たち。この光景は明日には姿を変えて2度と見れないんだ…そう思うと、寂寥の気持ちで心が溢れた。しっかり五感に焼き付けておこうって時間も忘れて見入る。なんだかそれが楽しいって思えてしまって、帰りの道中で筆者は未成道の魅力に気付いてしまうのであった。