国道49号 黒岩トンネル旧道・本尊岩隧道⑴ | 新・笑ってでも駆け抜ける‼︎

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探究心のカケラ追い求めて────。

2017/4/16

明治時代、屈曲する阿賀野川と大きく突き出た本尊岩の間に三島通庸が拓いたとされる道があった。1964年に近代的なトンネルが掘られるも新潟地震を筆頭に幾度となく本尊岩による落石で道路は通行止になり、他に迂回するルートがないことからこの通行止は新潟県にとっては発展の足かせとなった。
2013年に揚川バイパスが開通しこの区間も廃道になったものの、まだまだ本線の色を濃く残しており、これからの廃れ方に期待したい。


国道49号を新潟市側から走ってきて阿賀町黒岩地区へ。

日本最恐とも恐れられた伝説の廃道はここから始まる。



フェンスの隙間からチャチャっと身体を擦り込ませていざ参らん。

黄色の標識とトンネル情報板、舗装ともに状態が綺麗すぎてフェンスさえなければ今にも向こうから大型トラックが来てもおかしくない。



などと、廃道化間もない廃道をルンルン気分で歩いていると目の前の光景に異変が。

先ほどの黄色の標識だとカーブの先にトンネルだったが、現物はどうだ?

左カーブの先は…直角左カーブ!?

廃道化間もない廃道をナメていた。

こんな強烈な区間が2ネタ国道に…それも2014年頃まで現道としていたのだから空いた口が塞がらない。



直角左カーブの先にはお目当ての黒岩トンネル。

例に漏れずここも幅員の狭いトンネルで山を貫いている。左カーブ→直角左カーブ→一回り狭いトンネルと見通しの効かないカーブで繰り広げられる事故を誘発するような3コマ漫画を見させられている気分だった。


車で反対側へ迂回。

こちらはフェンスがしっかりと路肩いっぱいまで設置されていてフェンスにしがみついて、なんとか突破できた。落ちれば揚川ダムの藻屑になるところだった。



こちらもトンネルの出口はキツい直角カーブ。ただしこちらはハンドル操作を間違えればワンチャン揚川ダムに真っ逆さま…と言ったところ。

何度でも言うが、これで旧一級国道やっていたんだから度肝を抜かれる。

しかし標識類がいいね。命懸けでフェンスにしがみついただけのことはある。



反対側を向いて撮影。

キッツい下り勾配になっていて雨の日なんて怖くて運転したくないなぁって思う。


黒岩トンネル区間はざっとこんなもんだが、小ネタのつもりだったのにびっくりするような物件で楽しませてもらった。



車を少し走らせて旧津川町内までやってきた。

撮影年の2017年から5年経った2022年でも今だに多くの地図で国道色に塗られたこの区間、町の中心部や気持ち幅員の狭い区間を走る等、揚川バイパス未開通時の国道49号を車で楽しめる唯一の区間かと思われる。


不覚にも写真を撮り忘れたのだが、あれから3kmほど走るとバカほどデカいフェンスに行先を阻まれた。

阿賀野川まで大きく突き出したフェンスが歩行者でも固く侵入を拒んでいると感じられて手汗がじんわり滲み出てくる。

それだけここから先はヤバいのだ。



すぐ右を走るJR磐越西線の線路を100m歩き…いや後ろからすぐ列車が迫ってきており、「プアァァァァァン」とキハ47の爆笛を喰らったがダッシュで逃げて事なきを得た。

ここでも命懸けで突破したフェンスの先には絶景が広がっていた。



振り返って1枚。現行仕様のおにぎりが廃道に佇む姿は違和感そのもの。

ガードロープや舗装に大きな荒廃は見受けられないが、動物の糞が至る所に放置されていて衛生上よろしくない。夜間はここをクマやシカがウロウロしてると思うとなかなかシュールだ。



さて待ってました!本尊岩。

これが噂に聞く本尊岩ですか。。。

頂上付近に設置されている足場が風に吹かれてカンカンと音を鳴らしているのも相まって不気味である。後ろを振り返ったら…野生のクマや工事関係者がいたりするかも、というスリルで心臓がドクドク言ってる。最高のゲームだ!



本尊岩の手前に架けられた橋が芦田橋。と工事用の橋?って言ってたかな。

意外にも芦田橋は塗装のハゲが目立つ。5年、10年後は塗料がボロボロに剥がれ落ちてるのではないか?

この先連続雨量150mmで通行止になっていたようである。そりゃそうや…。



で、その工事で惜しくも未成となったトンネル断面。現役時代はここにチューブ状の落石検知器のコード類が配線されていたようだが、2017年撮影時は確認できなかった。



芦田橋から見る未成のトンネル断面。

やはり中途半端だよなぁと思う。

平成2年の落盤事故で会津若松側のトンネル断面改良工事は中止になったが、元々落石の多い本尊岩の麓をそのままくり抜くのはそう安易ではないと想像できる。


次の記事で本尊岩トンネルの内部へ向かう。