勤務医の副業と労働基準法第36条を学ぶ | 勤務医の貯蓄の記録

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こんばんはニコニコ


 

本日は勤務医の副業スターについて考えてみたいと思います。


 



アメブロを見ていると、副業をされている方が多いことに気づきますびっくり


アフィリエイトやフリマアプリなど、フリーでされている方もたくさんいらっしゃるようですが、アルバイトとして本業とは別の企業で働いていらっしゃる方も見受けられます。


 


副業の歴史をのぞいてみると、終身雇用が主流となった戦後の高度成長期以降、世間では副業禁止の風潮でした。


しかし、バブル崩壊や週休二日制の導入などを経て、世論は副業禁止の解禁へと流れていき、

20181月、厚生労働省はついに『モデル就業規則』を改訂するに至りました。




その内容は「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」



つまり、副業・兼業ができることをはじめて明文化したわけですね。

 



企業に雇用される形で仕事をする場合、労働基準法第36で労働時間が規定されます。

したがって本業・副業を合算して法定労働時間の範囲内で仕事をする必要があります。

 


法定労働時間とは、


1週間で40時間まで、18時間までで、さらに1週間に最低1日の休日4週間で4日以上の休日を取ることが必要』


という内容です。



この法定労働時間を超えた場合は、「法定労働時間外労働」(いわゆる『残業』)とされ、これにも、原則45時間・年360時間までという労働時間の制限があるのです。

 




しかしこの「法廷労働時間外労働」の上限規制適用が、2024年まで猶予された、あるいは適用が除外された事業・業務があります。

 

    自動車運転業務

    建設業務

③    医師

   鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業務

   新技術・新商品開発等の研究開発業務

 


①に対する規制が今年(202241)より開始されるのが、いわゆる『物流の2024年問題』ですよね。


(以下のページにわかりやすく解説されていますウインク


https://www.sbbit.jp/article/cont1/68543





 

ところで、われわれ医師に多い副業は、やはり健診宿日直などのアルバイトがダントツだと思います。

(同じ医師免許を使った仕事なので、副業と言われてもピンとこないですが、正規雇用以外での仕事なので、定義上は副業に当てはまります。)




しかし、今までは労働基準法第36条から除外されていた労働時間外労働の上限規制が、今年の4月から医師にも適応されることになります。

 

つまり、


36協定を締結した場合、原則として45時間、年360時間まで


特別条項付きの36協定を締結した場合、100時間・年間960時間まで

 



この規制は、われわれ当事者にとっては意外に大変なことだったりします。


 

2016年の調査によると、時間外労働が1860時間を超えると推定される医師が、

大学病院勤務医で88%、救急救命機能を有する病院で84%400床以上の病院で71%という状況でした。




つまり、上記の時間外労働時間の上限は、常勤の残業時間だけで普通に超えてしまうのです。

副業以前の問題で、これでは通常業務にも支障を来すことが明らかです。

 


そこで、一律に上限規制を設けるのではなく、都道府県の指定を受けた特定労務管理対象機関であれば、時間外労働の上限が年間1860時間、月100時間未満まで許可される措置が設けられることになっています。



自身の病院がどの水準の対象機関に属するかを確認しておく必要がありそうです。

 




そこで、話を戻して医師のアルバイトについて。


4月からは上記の労働基準法が適応されるため、基本的には時間外労働時間の上限の範囲内で勤務する必要があります。



しかし、宿日直に関してはグレーゾーンと言いますが、特別措置が適応されるようです。


ここで重要なのが、その医療機関における『宿日直』の定義というか、取り扱いとなります。

 


基本的に、労働基準法上の宿日直とは


宿直は夜間に、日直は日中に、ほとんど労働する必要のない勤務を指す。宿日直を行う医師は、診療時間外の医療機関で待機し、通常業務とは異なる、軽度または短時間の業務にあたる』


とされています。

 




そして、労働基準監督署から許可を受けている場合には、その宿日直は時間外労働の上限規制から外れる(労働時間としてカウントされない)、ということが最大のポイントです。

 



つまり、すごーく忙しくて、まったく寝る暇のない当直は、上記の『宿日直』には含まれず、労働時間とカウントされます


しかし、ほとんど患者さんが来院せず、休憩時間を多くとれるような当直は『宿日直』として取り扱われ、労働時間とカウントされない、ということになるのですびっくりびっくりびっくり

 




4月以降、当直のアルバイトを検討されている医師の方々は、その勤務時間の取り扱いが、宿日直に含まれるかどうか、しっかり確認する必要がありそうです。

 





というわけで、今後も労働基準法の範囲内で副収入を得るため頑張りたいと思いますウインク