A銀行の従業員であったXは、昭和58年4月にA銀行に入社し勤務してきたが、平成10年5月6日にうつ病との診断を受け、同年11月30日にA銀行を退職した。災害の原因及び発生の状況として、おおむね

① 平成10年4月1日付けの名寄支店から野幌支店への人事異動の前後に長時間の時間外労働により発病したこと、

② 同年8月の休暇願が認められなかったこと、
③ 同年10月9日には、上司から、翌週から休暇を取るようにいわれたが、退職させられると考えて同月12日に出勤したところF支店長とK支店長代理により自宅に連れ戻されたこと、

④ 同月26日からの出勤を命じられて出勤すると、医師から係を換えない方が良い旨言われたことを伝えてあったにもかかわらず、融資係から営業係に係換えとなり、その後N支店長代理から怒鳴られたり、名指しで応接室に呼ばれて説教されたりし、また雑用や新入行員の面倒を見させられる等したことなどをXは主張として掲げていた。

またXは、平成14年11月11日、平成14年処分に対する審査請求を棄却した決定に対し、再審査請求をしたが、その際、災害の原因及び発生状況として、おおむね業務起因性の判断基準につき、労働の過重性と疾病・病気の発症・増悪との間には、通常、相当因果関係が認められる(あるいは事実上推定される。)とする最高裁判決があり、業務起因性の立証責任を転換して、相当因果関係がないことをYが立証すべきであると主張するが、労働の過重性については、これまでの検討から、Xの業務に特段の過重性が認められないから、事実上の推定の前提がないこと、立証責任の転換については、独自の見解であってこれを採用できないから、Xの主張は理由がない。

起因する疾病とは、前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病や負傷は起こらなかったであろうというように、前の疾病との間に相当因果関係があると認められるものをといいます。 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、腎孟腎炎→その後、慢性腎不全 糖尿病→その後、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
肝炎→その後、肝硬変、肝臓癌 結核の化学療法→副作用として聴力障害 手術等による輸血→肝灸の併発 ステロイドの投薬→副作用で大腿骨頭無腐性壊死 事故または脳血管疾患による精神障害肺疾患の手術→その後、呼吸不全を生じたもの
因果関係なしとして扱われるケース 高血圧→その後、脳内出血または脳梗塞 近視→その後、黄班部変性、網膜剥離または視神経萎縮現在該当しないでも将来該当すれば 事後重症制度があります。

他の臨床症状や検査結果によっては、心臓・OOの障害が障害基礎年金の2級以上に該当することもあるかもしれません。 納付要件3分の2以上を充足していること。 障害年金の場合 初診日後 3分の2要件を充足のため 保険料を払っても その障害に関しては障害年金には該当しません。 逆選択の防止のためです。 さもないと障害発生後1年分の年金支払いで 障害年金を受給できる不合理が生じるからです。 これでは保険の意味も保険財政も成り立ちません。 しかし現在特例があり初診日の前に納付要件を満たす保険料(1年分の年金支払い)を払っていれば 極端にいえば翌日交通事故にあっても障害年金の対象になります 病気の場合は?疑問ですけど同様です。  

業務上疾病と認定されるためには、業務と疾病との間に因果関係が必要であり、業務上災害として労災補償対象となる疾病とは「当該業務に起因して発症した疾病」をいいます。つまり、労働者本人の罹患した疾病と本人の従事した業務と間に当該業務の遂行に起因して発症したという相当因果関係が必要となります。


1 災害性の疾病


2 職業性の疾病


3 その他業務に起因することが明らかな疾病(過労死、過労自殺等)

過労死新認定基準(平成13年.12.12基発1063号) いわゆる時間基準・・行政側の通達として、「発症前1ヶ月間におおむね100時間または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強く評価できること」とする時間基準が出されました。


さらに、厚労省は、働きすぎや仕事上のストレスが原因で、うつ病や心的外傷ストレス(PTSD)などの精神障害の後遺症が残った人に対し、労災認定基準を設定して補償することを決め、都道府県労働局長に通達しました。(平成15.8.8基発808002号) 平成11年に厚労省は「心理的負荷による精神障害に係る業務上外の判断指針」を発表しました。この指針がだされた背景には、バブル崩壊以降の職場を取り巻く環境の激変から、超過密労働、超長時間労働が職場に蔓延し、過労による精神疾患を発症する労働者の増加と過労自殺の増加が社会問題化し始め、訴訟が増加したことが考えられます。