映画#20 蛇の道 | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

監督は黒沢清。1998年に撮影した同作を、セルフリメイク。

柴咲コウが、全編フランス語で演じている。

 

舞台はフランスのパリ。

8歳の娘を惨殺された父親アルベールは、偶然知り合った精神科医新島小夜子の手を借りて、犯人を突き止めて、娘の復讐を果たそうとする。二人で調査し、怪しげな人物は容赦なく拉致した上に拷問を加えて、徐々に娘を殺害したもの達の姿が浮かび上がる。

この事件の背後には、ある財団が関与している。

その財団には、子供の人身売買の噂があり、売れる子供は売るが、売れない子供は殺害されたり、行方不明になったりしているが、大きな事件にはならない。アルベールの娘も森で死後1週間経って発見されたが、全身に16カ所の刺し傷があり、激しく殴られた頭部は陥没し、脳漿は30%しか残っていない。さらに内臓の80%が持ち去られており、顔面は激しく殴打され見分けがつかず、歯の治療痕だけで身元を特定した。まさに、惨殺だった。

とらえた怪しげな関係者にアルベールは娘の生前のビデオを見せながら、娘の死体検案書を読み上げる。そして、さらに関与している人物を吐かせ、拉致し、同様に追い詰めていく。

精神科医の小夜子は、冷静で冷たい、印象的な目で現場を見つめて、アルベールに様々な提案をする。時には、拉致した関係者にさえ、発言や行動を小声で指示する。その時の柴咲コウの目が怖い。なぜ柴咲コウだったのか、本気で理解した気がした。

日本に戻っている夫とも疎遠な様子で、ビデオでかかってくる夫からのコールは、取るには取るが、PCの前には座らず、顔を見せない。

しかし、小夜子がアルベールに協力する目的が分からない。娘を惨殺された父親への同情なのか。しかし同情だけで、ここまで非情になれるのだろうか。アルベールが殺してしまった男の遺体に、ナイフを手にした小夜子が、何度も何度も突き刺すシーン。このときの柴咲コウも怖い怖い!しかしこの憎悪は、どこから小夜子にやってくるのか。小夜子はこの事件にどう絡んでいるのか。アルベールとの間には「私たちの目的」と言っていることから、どうやら事情は共有されているようだ。そうして爆発する彼女の怒り。

 

ついに突き止めた敵のアジト。敵は人身売買に加えて、子供の臓器売買も行っていたことを突き止めた二人は、アジトへ潜り込む。そこでモニターに映されたアルベールの娘以外の動画。それは日本人の少女の動画だった。

「小夜子、お前もだったのか」とアルベールが独り言をもらす。ここで小夜子の目的、動機が分かる。

財団トップの女は、すでに死亡しており、その事業を継続しているものが二人の前に現れる。そして拉致された多くの子供達。子供達はここで、買主が現れるのを待っている。もし買主がつかなかったら・・・・

そこに現れた財団の事業を継ぐものの正体は!さらに、アルベール自身の罪は!更に日本へ帰国した小夜子の夫は!
後半はジェットコースターのように話が二転三転し、映像も緊迫感を増し、驚きのラストを迎える。

 

駐在生活で文化の壁に立ち塞がれ、精神を病んでいるサラリーマンを西島秀俊が演じている。