年末の親戚のおじさんの家にいとこ達が集まる。コタツに足を突っ込んで、トランプで遊ぶのが恒例であった。
「1」
「2」
「3,4」
「5」
と言いながら、各自の手札を相手に見えないように、テーブルの中央に積んでいく。
「6,7」
「8」
「9」
「10」
「ざぶとん!!」
すかさず誰かの声が飛ぶ。
「10」と言って出された手札をめくると、それは「3」であった。
「ほれみぃ〜〜!チョンバレじゃぁ〜〜」と憎々しげに「ざぶとん!」と声をかけた人が大笑いする。
バレたプレーヤーは、場に出された手札の全てを、自分の手札に加えねばならない。
そして、
「11」
「12」と非情にゲームは続く。
次に誰かが、「ざぶとん!」と叫ぶまで。
このゲームが、大阪や兵庫以外では、「ダウト」というゲームであることを知ったのは、神奈川県に住み始めた41歳の時だった。