NHKスペシャル未解決事件〜占領期最大の謎 下山事件〜 | なんのこっちゃホイ!

なんのこっちゃホイ!

世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

1949年7月5日、当時国鉄総裁であった下山定則が行方不明となり、翌日未明、足立区綾瀬付近の国鉄常総線の線路で、轢死体として発見された。当時国鉄は、占領軍から10万人のリストラを迫られており、下山はその先頭に立って苦悩していたことから、「自殺」とする説が第一報として報じられた。しかしその後、東京大学法医学部で検死の結果、下山は死後に轢断されたものと断定された。「他殺」説が一気に吹き出し、その犯人に国民の関心は集中した。だが警察は「自殺」とも「他殺」とも断定せず両面での調査を開始。「自殺」とする根拠は、下山はその事件の前に、多くの人に目撃されており、その姿が俯き加減で思い悩んでいる風であったとの証言による。しかし、現場のかなり手前の枕木に血痕を発見、それを分析したところ、特殊な血液型で、それが下山の血液型と一致した。つまり、轢断される前に、そこで出血していたということを意味しており、「他殺」の疑いが強まった。

検察と警察の懸命の捜査の結果、ある韓国人が浮かび上がる。彼の証言は実に微に入り細にいっており、「犯人による秘密の暴露」に値するとして、重要参考人となった。彼は、下山を日本橋三越へ呼び出し、更に拉致して、ソ連大使館へ連れ込み、そこで殺害してから、線路の上においた。殺害の手口は、手首から体内の血液を採りだして、失血性ショックにより殺害した。右腕は残るように線路においた等、詳細にわたる。

そしてこの韓国人は、自分はソ連の諜報員であり、アメリカの動向をモスクワにおくるスパイ行為を行っていたと告白した。

ソ連による謀略。暗殺の線が浮き上がり、捜査員は、国内の左翼、共産党関係の人物を洗い始める。

 

しかし、ここに一人、韓国人の証言は、すべて真っ赤な嘘だと言う新たな証人が現れる。

その韓国人は確かにソ連のスパイだが、アメリカにソ連の情報を流す、ダブルエージェントである、というものだ。

もしそれが真実だとすれば、糸を引いているのはアメリカということになる。戦争が終わり、日本を占領した連合軍、その中にCICというアメリカの諜報機関があり、そこは、ソ連の共産主義が日本に蔓延するのを防ごうと諜報活動を行っていた。この事件をソ連の謀略と発表すれば、日本人はソ連を憎み、共産主義が蔓延することはないという理屈だ。当然、アメリカ本国もそのことは承知していて、日本を共産主義の侵略を防ぐ橋頭堡とする考えだった。新たに浮かび上がるアメリカの闇。下山が誘拐され連れ込まれたのは、ソ連大使館ではなく、アメリカのCICが利用していた旧岩崎邸。その庭にある別の狭い建物の中に下山は連れ込まれ、殺害された。それを目撃していた日本人がいた。後にかれは自殺する。米国諜報部のOB達も口を開く。殺害を直接的に認める者ではないが、キャノン機関という特殊部隊の存在、キャノン大佐のこと。彼らが何をしていたのか。恐るべきアメリカの陰謀が見え隠れする。

 

しかし、当時は占領下にあった日本で、これらの事実は全て機密とされ、この事件は、韓国人による犯行であると、当時の総理である吉田茂が講和条約会議で宣言して幕引きとされた。この講和会議で日本は占領かいら解放され、完全な独立国家となった。あくまで書類上は。

 

NHKについて、あれこれ言う意見もあるが、僕は結構楽しんでいるものもある。毎正時に放送されるニュースに加えて、ニュースウォッチ9、大河は今回の平安時代には興味がないが、鎌倉時代や幕末ものは毎週欠かさずみた。

戦後70年経って、アメリカでも極秘であった情報が開示されはじめ、日本でも秘匿情報が開示され始めた。今こそ、戦後、米国に占領されていた日本で、アメリカは何をしたのかを明らかにしようとするこのシリーズは、注目に値する。