ジェームズ・ボンドの大ファンの僕であるが、さすがにショーン・コネリーの時代の作品を劇場では観たことがない。
テレビの再放送、その後DVDを前作買い揃えた。それでもやっぱり、暗闇の大スクリーンに映るボンドを観たいと思っていた。
そんな時、イオンシネマが、過去のボンド作品を4Kリストアーにして公開すると聞いて心が沸いた。①「ロシアより愛をこめて」②「007は二度死ぬ」③「女王陛下の007」④「ゴールデンアイ」⑤「私を愛したスパイ」の5本だ。
シリーズの年表を見ると、①が第2作目で1963年、②5作目で1967、③6作目1969年、④10作目1977年、⑤17作目で1995年。
年齢的に①〜③を劇場で観ることは、できなかったはずである。
ジェームズ・ボンドを演じた役者は、直近のダニエル・クレーグが5人目となる。①と②はショーン・コネリー、③はジョージ・レーゼンビー。彼は本当は3作に出演予定であったが、③がヒットしたことで、ギャラの積み上げを要求し、アルバート・ブロッコリーに首にされた。④はロジャー・ムーア。シリーズ最高の7作に出演している。だが僕は、この7作がシリーズ中で最もつまらない、いや、くだらない作品になったと嘆いている。とにかく荒唐無稽なストーリーでフレミングの原作からは遠く逸脱し、ボンドがピエロに扮して、爆弾を爆発させるとか、いきなり宇宙に飛び出して、悪者と宇宙でレーザー銃で撃ち合うとか。もう、観るに堪えない。
さて、今回のリバイバルの中でもまずは、「ロシアより愛をこめて」を鑑賞。
画像はキレイになっていて、音もデジタルでクリアーだ。
ダニエラ・ビアンキの美しさとセクシーさは、やはり大画面で観ると更に映える感じだ。
ストーリーはすでにおなじみだが、イスタンブールのロシア情報局の女性職員が、最新式の暗号解読機「レクター」を持って、亡命したいとトルコ支局長のケリムに連絡があった。ただし条件は、レクターの受け取りと、英国亡命までのエスコートに男性のイギリス諜報員を指名すること。こういう事件となると、生え抜きの007ジェームズ・ボンドの出番だ。彼は「これはロシアの罠だ」と確信しながら、「罠であるなら尚更挑んで、暗号解読機を手に入れたい」とイギリス人気質とスケベ心を発揮して、美人スパイ、タチアナ・ロマノワと接触する。冒頭にチェスのシーンがある。世界最強のロシアのプロ棋士が、この作戦を筋書きし、実効している。ソビエト諜報部隊スメルシュの仕業と思わせて、実は悪の集団、スペクターの仕業だ。スペクター一番の殺し屋グラントが、影に日向にその姿をちらつかせる。映画史上有名になった、オリエント急行でのグラントとボンドの格闘シーンは、アナログだけに、迫力がある。
ショーン・コネリーも、1作目のDr. NO (007危機一髪)からは役がこなれてきているが、まだギコチなさを感じる。第3作目「ゴールドフィンガー」では、コネリーボンドは完全に形になっている。次のリバイバルは、ぜひ「ゴールドフィンガー」を入れていただきたい。