【読書】 スキン・コレクター J. ディーバー | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

「このミステリーがすごい!」第一位の傑作ボーン・コレクターの模倣犯か。毒の刺青で被害者を殺す殺人者がNYの地下で犯行を繰り返す。 現場では、科学捜査の天才リンカーン・ライムが解決したボーン・コレクター事件に関する書籍の切れ端が発見された。殺人者はあの連続殺人犯の手口とライムの捜査術に学び、犯行に及んでいるのか? ...

 

ジェフリー・ディーバーは久しぶりだ。

冒頭、リンカーンの宿敵ウォッチメーカーが、獄死したとの情報が報じられる。リンカーンが逮捕し投獄した男だ。リンカーンは、その葬儀の席に、若手警官を派遣する。
さて、今回の犯人は、そんなウォッチメーカーの著書にならい、リンカーン・ライムの思考、分析方法、行動を細かく研究し、予測し、現場にどんな微細な証拠も残さず、最新の注意を払って犯行を行う、ボディーペインター(刺青師)。

このシリーズは、全て「倒叙形式」になっているので、最初から犯人の目線で犯行が行われるところから始まる。犯行声明代わりに微細な証拠をわざと残してみたり、犯行声明をライムに送り付けたりして、犯人との頭脳合戦が始まるという内容。
倒叙形式は、読者も犯人を知ってはいるものの、その犯人の犯行への動機であったり、次の殺人の手口は何か等、犯人の目線を追う形で進行するのがドキドキする。またライムに限らず、コロンボ警部であったり、古畑任三郎のような探偵が、観察と理論を積み上げて、犯人を追い詰めていくスリルが、ページを進める指が止まらなくなる。

しかしディーバー作品はそれだけではない。ちりばめられた小さなヒントを見逃してはならない。今作も犯人を特定して事件は解決と思いきや、回収されていない伏線が再度提示され、え?え?という間に、最後の最後の1ページまで、真実は分からない。

ディーバーのリンカーンシリーズはマンネリだという素人評価をよく目にするが、それでもやっぱり、最後まで読み切り、大きくため息をついて、う〜〜〜んとうなるのは、避けようがない。
次作は「真夜中の密室」。すでに図書館に予約済みだが、読めるのは、まだまだ先のことになりそうだ。