紀元135年、隆盛を誇るローマ帝国に、ルシウスというテラマエ技術者が
いた。テラマエとは、公衆浴場のこと。当時のローマでは、庶民の間でも入浴は一般的で、多くのテラマエ技術者が活躍していた。他のテラマエとの差別化のため、どんどん奇抜で派手になっていくテラマエの設計に嫌気が差していたルシウスは、何か新しいものを探し求めていた。
そんなある日、喧騒とマナー無視の浴場の中で、奇妙な割れ目を発見する。何の割れ目かと訝った彼は、いきなりその割れ目の中に吸い込まれてしまった。気がついたとき、彼は「顔の平たい」部族に囲まれて、風呂の中に立っていた。意味の分からない言葉を話すが、入浴のマナーには優れているし、その浴場のデザインが凄い。壁一面に富士山の絵が描かれ(彼にはベスピオス火山に見えたが)、小さなプラスチックの手桶、さらには水と湯を分離して出すことができる蛇口。
最も驚いたのは、平たい顔族が風呂上がりに飲んでいる、フルーツ牛乳だった。こんなに冷たくて、しかも旨い!あらゆる意味において、ローマを凌駕している。何としてもこの技術をローマに伝え、皇帝に認めてもらわねば。余りのフルーツ牛乳の旨さに思わず涙がこぼれた時、彼はローマのテルマエの床に横たわっていた。
その後、彼が設計する浴場には、最新の技術が導入され、斬新なデザインや合理的な機能において、他の追随を許さないものになっていた。この浴場が皇帝の目に留まり、皇帝直々に皇帝専用浴場の建設を命じられた。これに成功すれば、彼の将来は安定したものになるだろう。ところが!ここ一番で、アイデアが浮かばない。そんな時、ふとした弾みで彼は、再び平たい顔族の下へ飛んで行ったのだった。そこで彼がみたものは!
やがて彼の心の中に葛藤が始まる。それは技術者としての葛藤である。「自分がやっていることは、平たい顔族からのパクリではないか」という葛藤。彼らの技術を知れば知るほど、自らの無力を思い知る。
ローマはドナウ川沿岸の蛮族の反乱に頭を痛めていた。戦は三年に及び、成果は未だに見えない。平たい顔族の女性や、旅館の連中も、ふとした弾みでローマにきていた。ルシウスは、最後の逆転策を、皇帝に進言する。
低予算なんだろう、作りはチープだ。大画面で見た方がいいが、テレビ画面でも良さそうだ。だが、ちなみに劇場は全席販売済みで空席無しとの事。STAR WARS以来の、満席状態だった。
キャストは豪華だ。阿部寛、北村一輝、上戸彩、市村正親に加えて、脇もがっちり固めている。
難しい事を考えてはいけない。作る側も出演者も、楽しんでやってる風の、ノリ映画だ。ただただ画面を眺めて、あっはっはと笑うが良い!
★★★★☆
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