観たかった映画、「アバター」を3Dで、妻と鑑賞した。
もう、一言で言って「すごい!」まるで目の前にあるように見える、すごい3D画像だ。これまでの「立体映画」のそれとは、何か根本的に違う感じがする。その奥行きの深さ、飛び出してくる森の精。降りしきる灰なんかが、まさに自分のまわりに降っているように感じる。まさに「観る」のではなく「そこに居る」感覚だ。
(こんなメガネを使います。赤と青ではありません。真ん中のセンサーに電波が出されて、3Dをコントロールしているそうです。だからこの部分をふさぐと、2Dになります。)
ジェームズ・キャメロン監督が、タイタニック以来、懸命に開発した画期的な撮影手法。それをいち早くつかみ、実現に向けて支援したPanasonicの技術力と先見性。Panasonicでは年内にも、家庭用3Dテレビを量産に入るということだから、さすがに素早い。この素早さは、当社に全く欠けているなにかではないか。
映画自体は、何と2時間40分もの長いお話だ。
ストーリーは極めて単純。惑星パンドラに埋まる超高価な資源を求めて、地球から人間がパンドラに移り住んだ。ところが、その資源が眠る土地の上に住んでいる原住民がいる。彼らは、人類とは全く違う意味で進化をとげており、惑星や自然との精神的なネットワークを構築し、まさに溶け合って生きていた。資源が欲しい人類は、原住民に医療を与え、英語の教育を与え、何とか立ち退きを迫るが、原住民にとっては命の源である、「魂の木」がそこにあり、立ち退きには応じない。困りはてた人類は、彼らのDNAと人間のDNAを結合して作った「アバター」と呼ばれる肉体を作りだし、そこへ人間がリンクを取り、遠隔操作でアバターを操る。主人公に与えられた使命はただ一つ、原住民に溶け込み、立ち退きを説得することだった。しかし、彼は原住民と生活する内に、彼らの精神的な(スピリチュアルな)自然との営みに心を引かれ、彼の先生になった女性に恋をしてしまう。遂に一人前の原住民となった彼は、一族のメンバーとして公式に認められる。ところが基地にいる人類は、本国地球から早期に結果を出すように迫られている。遂に苛立った人類は、原住民の住む森に近代兵器で攻撃を加え、彼らの魂であった巨木を破壊してします。何とか人類の暴挙を止めようとする主人公。そして、とうとう彼は人類に向かって原住民と共に、立ちあがる。我が身がアバターであるにもかかわらずだ。彼の弱点は、リンクを切られるとアバターではいられないということ。しかし、彼らはそれを克服するべく、研究室を磁力の強い山中に移動させ、人類に向けて戦いを挑む。
典型的な勧善懲悪、恋愛ストーリーであるが、そこはさすがにキャメロン監督。2時間40分を飽きることなく、最後まですごいスピード感で観客を連れて行く。加えて、3Dの迫力ある画面での戦闘シーンには、もう、痛いぐらいの感覚をあじわう。3Dの技術のみに頼ったストーリー置いてきぼりに陥りがちだが、さすがである。物語もエピソードも、どこまでも映画としての完成度も高い。感動した。
もう2Dには戻れないだろう。今後、20世紀FOXとPIXASは、3Dしか作らないと断言しているだけのことはある。まずアニメを中心に3D映画が目白押しである。
確かにこれは、映画の革命である。
さすがに、ハリウッドである。