事業仕分け会議で、おもいやり予算は見直しと決定した。
思いやり予算とは、1978年に金丸防衛庁長官が、当時の日本の物価高騰や、円安の進行を受けて、日米地位協定では負担する必要のないものを、「思いやり」をもとうと国会で発言し、支払ったのが始まりらしい。当初は60億円程度であったものが、現在では3000億円に。もともと期間限定の特別支援であったものが、どんどん契約を延期して、今でも支払続けている。
この削減は、当然であると言わざるを得ない。
しかし、今回の結論に問題はある。
米軍アパートやプールにテニス場、ゴルフ場にボーリング場と、箱物負担を続けてきた日本も、ついにはもう作るものがなくなってしまい、サービス部分の人件費を負担している。その額1800億円。問題は、どんな人の人件費を負担しているかだが、アイスクリームのデコレーター、ボーリングの球に指孔を空ける技術者、マッサージ師にゴルフ場のメンテ、果ては昆虫研究の先生まで!なんでこんな費用を日本国民が負担せなあかんのんじゃい!怒りは頂点に達するかに見えた。
ところがである。仕分け人が指摘したのは、この人件費を「削減」せよということだった。なんじゃい?「削減」とはどういうことかというと、「負担は継続していいが、安くしなさい」ということ。
いいのか!
こんなことで、いいのか!?
政府はデフレの進行をついに発表した。デフレスパイラルは恐怖の悪循環だ。その中に、「給与や所得の減少」というのがある。つまり、物価が下がると、価格競争が激化して、企業の収益を圧迫。企業は更なる費用削減を求めて人件費を下げる。すると給与や所得が減るので、国民は更に安いものを求めて買い物をするということ。今回の仕分け人が言っているのは、これに拍車をかけるようなものだ。
沖縄の人件費は、日本でいちばん安いらしい。つまり、収入が少ないということだ。仕分け人は、日本全国のデータで比較せずに、沖縄の平均給与で比較して、これら従業員の給与を査定して「下げろ」と言っている。本来デフレを克服して、経済を活況させねばならない立場の内閣が、国民の給与を下げろと言っている。
いいのか!
こんなことで、いいのか!?
僕は、「下げる」のではなく、「負担をやめろ」というのかと思った。どう考えても、米兵のサービスや福祉に係る経費を日本人が税金で負担しているというのは、意味が分からない。地位協定で定められているのは、「土地借用の費用」だけである。限定支援は今年で期限を迎える。今のところ、また3年の延長が計画されているようだ。これを「やめなさい」というのが仕分け人の仕事だ。米軍が従業員を雇用すればいいんだよ。自分たちの福祉なんだから。
さらにおかしいのは、枝野議員の発言だ。「この問題は過去の展開もあり、詳細にわたってはよく分からない。政治というより、自衛隊、外務省の意見を聞くしかない」とした発言だ。
日本に限らず民主主義国の多くの軍は、シビリアンコントロール(文民統制)下におかれているはずだ。かつて日本の軍部が暴走し、国会もその暴走を止められなかった。どの国も似たような経験をしているので、軍はあくまで民意の下におくというのが根本だ。民意の下とは、政治に委ねるということだ。すまり、国会議員に委ねるということだ。その国会議員が、「よく分からないから、軍に任せる」と発言したようなもんだ!バカじゃないのか!
いいのか!
こんなことで、いいのか!?
シビリアン・コントロールでさへも捨て去るかのごとき、このようなバカに、日本国を委ねてしまったのは悲しい。レンホウだか何だかしらないが、調子に乗って官僚をいぢめてみたり、自衛隊には尻尾を振ったり、小沢には誰もものを言わなかったり。本当に、民主党でよかったのかと、自分で投票しながらも、少し心配である。