今日も資料作成で、お休み返上。
当社のほんとんどすべてのPCは、シンクライアント化されている。シンクラとは、PC本体には一切のデータを持たず、プラットフォームとなるWindowsと、それに付属しているNetwork接続機能、セキュリティーソフトと、外部から社内のネットワークに接続するためのミドルウェアーだけである。
だからPCを紛失しても、どこかに置き忘れても、盗まれても、データは一切、外部へ流出することがない。このPCからネットワークへ接続し、ミドルウェアーを介して社内のシンクラサーバーへ接続する。そこには、僕専用の部屋があり、そこにすべてのアプリケーションとデータが保管されている。クラウドのクローズ版と理解していいのかな?と思う。
資料作成しながら考えた。
クラウド・コンピューティングは、恐らく企業のネットワーク環境の初期投資を大幅に削減することだろう。また同時に社内にサーバーを置かないということは、その保守や管理のための人件費も削減できる。もちろん、サーバー用のスペースや、サーバー室用の空調設備なんてのも要らなくなる。コスト削減効果は絶大であろう。だが、それだけか。
クラウドが進化し、サービス化が進展していけば、多くの企業は外部にデータをおかざるを得なくなるだろう。そのデーターは、経営判断を左右するような重要な情報もあれば、企業の根幹にかかわる経理や財務データ、何がなんでも守らねばならない、社員の個人情報や給与情報も、外部に預けねばならなくなる。
そこで、クラウドの課題の重要なものに、WEB企業の信用と信頼性という問題である。重要なデータを預けた企業が倒産したり、買収されたりしたら、困ってします。もちろん法的にはそれらを守る措置がとられるとは思うし、厳重な契約を結び、安心を担保せねばならない。それでも、地震や津波、洪水といった天変地異は避けようもない。
すると、データを預ける先は、慎重に選ばねばならない。たとえば、銀行なんかはどうだろうか。個人金庫のように、地下金庫に厳重に守られたサーバーと絶対のセキュリティーで、顧客のデータを守る。金融機関に新たなビジネスチャンスが到来するのか。
すると、クラウドは二つ以上に分断するのか?
例えば、ソフトやアプリだけをやり取りしているクラウドと、そのウラか上か下か分からないけど、クラウドで作成した膨大なデータを保管するデータの銀行企業だ。
WEB企業の信頼や信用はどうだろうか。クラウドやサービス化の先端企業であるGoogleですら、Googleマップやストリート・ビューワーで映りこんでしまった個人情報、非公開だと知らされ、記載され、誰もが非公開と信じていたマイマップが、実は非該当であったため、ネット上に公開されてしまっていたという事件があったのは記憶に新しい。マイマップとは、個人がGoogleマップに情報を加えて行くサービスだ。美味しいラーメン屋さんやレストランを書き込んで漏れても大したことがないが、友人の自宅に、住所や電話番号、名前まで記入して保管したとしたら。あるいは、学校の先生が家庭訪問のルートを確認するために、マップ上の生徒の家に、名前、学年、クラスや家族構成、評価までを書き込んでいたとしたら。これら個人のマップ情報が、実は非公開ではなく、Unlisted(非該当)であったため、検索でヒットしてしまったのだ。Googleはあくまで非該当を主張し、まだシステムは改められていない。こういう企業に、データを預けても大丈夫か。
これが一般的になるには、まだまだ整備されるべきインフラ、倫理、技術開発が必要であることは、明らかだ。3年間の中計にどれ程のインパクトがあるのだろうが。
ただ、アプリや内線のポート開通なんかは、今でもライセンスでやり取りされている。このライセンスの導入費用を小さく抑えることは、工夫次第で可能だろう。そこに、明日が見えているような気がする。