実際、クラウド化は避けては通れないのだろう。90年代に爆発的にPCが普及を始めた頃は、今では信じられないほど、HDDも小さく、50MBのHDDなんて、巨大なストレージだと思ったものが、今では120GBなんてのは常識だし、外付けのHDDは1TBとか1.5TBなんてのが常識になった。
どうしてこんなに巨大なストレージが個人のPC周辺で必要になったかというと、アプリが複雑になり容量が重くなり、このインストールに膨大な記憶領域が必要になったからだ。実際、WindowsVistaやOffice2007となると、HDDに負担をかけざるをえない。
しかし、ブロードバンドの普及により、これらアプリの販売方法が変わってきた。いわゆる箱売りと言われる、箱に CDを入れて、1台1ライセンスで量販する販売から、Netからダウンロードすることにより流通コストを下げたり、更には、ライセンス制になり、1ライセンスあたり月に1000円なんて料金で、サーバー上にインストールされているアプリをブロードバンドを介して利用するようんなった。
実際、個人のPCでユーザーが何をしているかというと、別に文章を書いているわけでもなければ、プレゼンテーションを書いているわけでもない。予算管理をやっているのでもなければ、稟議書もかかない。だとすれば、ほとんどのPCはインターネットを使って情報を検索したり、Blogを書いたり読んだりが主流だろう。
SaaSは着実にそこまできており、周囲を見回してみれば、すでに僕らは知らず知らずにそれを利用している。僕の会社でも、クラウド化、サービス化は重大なテーマだが、どうにも僕にはバズ・ワード(売らんがためのキャンペーンワードのような実態のないもの)に思えていたのだが、この本を読んで、理解できた。クラウド・コンピューティングを語るには最適の入門書だと思う。
お奨めです。