1月24日公開の007シリーズ最新作「慰めの報酬」を、先行上映で観にいってきた。
前作「カジノ・ロワイヤル」で、最後にMr.Whiteを探し出し、足を打ち抜き、でっかい銃を片手に持って、「The name is Bond, James Bond」と終わったその30分後からこの映画は始まる。はっきり言って、続編である。
Mr. Whiteを捕らえたボンドは、MI6のアジトでMr.Whiteの尋問を始める。彼の後ろにある巨大な組織の存在を匂わせるWhite。「俺達は、MI6、CIAを敵と思い、これまで色々と手を打ってきた。ところが!敵どころか、お前らはその存在すら知らないんじゃないか!」と大笑する。そして「言っておくが、組織は存在する。しかも、我々の仲間はそこらじゅうにいるんだ」と不敵な笑いを浮かべたその直後、MI6の護衛が銃を抜き、あろうことかMを狙う。Mの暗殺を何とか阻止したボンドは、裏切り者を追跡するも、殺害してしまう。銃弾を受けたはずのMr.Whiteも、姿を消してしまう。「何故、敵が内部にいるのに、気が付かないのか!」と怒るM。
最愛の女性、ヴェスパーを亡くしたボンドの心には、復讐が芽生えているのか。もしも復讐が目的であるのなら、任務から外さねばならない。復讐心は失敗を生むからである。しかもヴェスパーは裏切り者だ。
捜査を進めるボンドは、MI6内の裏切り者と、ハイチの銀行口座の関連をつかむ。ハイチに乗り込んだボンドは、人違いで、気が強いが美人のカミーユに出会い、彼女の車に乗ることに。彼女は取引を持ちかけてきたが、ボンドには何のことか分からない。ボンドに銃を向けたカミーユをやり過ごし、彼女の逃走の後をつけるボンド。そこには、ドミニク・グリーンというビジネスマンが待っていた。彼は、謎の組織の幹部で、ある大いなる野望を抱いている事を発見。その野望とは、貴重な資源である「水」を独占することで、世界を制覇しようという狙いであった。
なんとしてもこの野望を粉砕せねばならない。オーストリア、イタリア、南米ボリビアとグリーンを追い駆け回るボンド。カミーユを信頼できないものの、彼女の心にも復讐心があることを理解したボンドは、彼女と共にグリーンを追う。
さて、ネタバレになるかもしれないが、ちょっと一言。
この映画は、前作「カジノ・ロワイヤル」を観ていないと、一体なんのことか、理解できないだろう。しかしそれを除いても、これまでのボンド映画とは一味違う映画になっている。特別な子供だましのような秘密の新兵器も登場しないし、荒唐無稽な敵も登場しない。ボンドは、ひたすら自らの肉体を酷使して、追跡し、容赦なく殺していく。正に肉弾戦の映画だ。それだけにテンポも速く、画面も派手で、それだけでも、充分に楽しめる。
が、この映画も含めて、どうやらこの新シリーズはずっと続編の繰り返しではないかと思われる。
最後にグリーンを追い詰めて、砂漠の真ん中に置き去りにするボンド。「喉が渇いたら、これでも飲め」とエンジンオイルの缶を一つ投げて渡す。その後、Mの話では、グリーンの死体が砂漠で見つかる。彼の胃の中には、エンジンオイルが見つかり、彼の後頭部には2発の銃弾が。一体、誰がグリーンを殺したのか。謎の組織の刺客だろうか。またしても、謎を残した終わり方である。
さらにヴェスパーは裏切り者であったが、実は、彼女にはアルジェリア生まれのボーイフレンドがいた。この男は、各国の女スパイをたらしこみ、情報を引き出しリークする。この男もまた、スパイであった。その正体を突き止めて、ヴェスパーが裏切ったのは、ボンドではなく、彼であったことを知る。それはボンドへの、愛ゆえであった。しかしボンドは、既にヴェスパーを捨ててしまった。彼女の形見の、ペンダントを捨てて。
さてさて、第3弾はどのようなお話になるのだろうか。謎の組織の正体は、一体いつになったら明らかになるのだろうか。益々、目が離せなくなった。
評価:文句なしの5つ星