レッドクリフを妻と観てきた。お話は、三国志である。
西暦208年、中国統一を目指す曹操は、80万人の軍隊を率いて、対抗勢力に襲い掛かる。標的となったのは、劉備軍である。撤退が遅れて、敗走を余儀なくされた劉備は、軍師孔明の願いである、1000人の援軍を断り、人民の脱出に力を注ぐ。戦に勝っても、人民を守らなくては意味がない。人民あっての国であり、将軍一人の国など意味がない。どこかの政治家に聞かせてやりたい!劉備軍は僅かに2万人。しかし、関羽と張飛を始め、勇猛果敢な軍勢である。三顧の礼で迎えた、諸葛亮孔明もいる。しかし、いかに勇猛な軍隊とはいえ多勢に無勢である。数に押されて苦戦を強いられる劉備に対して、軍師孔明が授けた作戦とは、敵軍である「孫権」と同盟を結ぶことであった。「そんなことができるのか。下手をすると、切り殺されてしまうぞ。自信はあるのか」と問う、劉備。「お任せください」と不適な笑みを浮かべる孔明。かくして、孔明は、敵軍孫権の本陣を訪ね、説得を始める。保守的に降伏を勧める老臣達。その中で心を左右する孫権。「もう一人の重要な人物を説得せねば」と、孔明が訪ねたのは、赤壁に駐屯する孫権軍の対象、周瑜であった。
赤壁の駐屯地で、軍を訓練する。百姓の子供が吹き鳴らす笛の音を聞き、訓練中にも関わらずその子供の笛を取り上げ、穴を調整し、正しい音が出るように直してやるという、音楽への造詣と、やさしい心の持ち主である。その百姓が、「水田の水牛が盗まれた。兵隊の仕業に違いない」と周瑜に訴える。彼は、全ての兵士を整列させ、さりげなく、足元を見て回る。水田で盗んだのなら、足に泥がついているはずである。3人の兵士の足に泥を見つけた周瑜。兵士全員に語る。「この中で、農夫の水牛を盗んだ者がいる。」軍の恥じだ!盗んだ者は進んで名乗り出て、罰を受けろと叫ぶ兵士達。その時、周瑜が命じたのは、「全軍、あの大木の周りを1周してこい!」というものだった。大木の根元には水溜りが出来ている。そこを全兵士が歩いたことで、全員の足に泥がついた。これでももう、犯人を特定できる手がかりはない。隊長の甘興(中村獅童)が、水牛を連れてくる。そして農夫に跪き、「我々の教育が至らなかった。許してほしい」と謝罪する。すると、全ての兵士が跪いた。これを見た孔明は、周瑜の人身掌握術とその人柄を大いに信用することとなり、同盟を申し入れる。
この周瑜には、小喬という大層美人の妻がいる。曹操は、この小喬に憧れを抱いており、孫権を打ち破り、周瑜を倒せば、小喬が手に入ると信じている。踊りの宴会の席で目に付いた、美しい踊り子を取り立てるが、曹操は彼女を「小喬」と呼び、憧れを満たしているのであった。「あんな女一人のために、戦をするというのか」曹操軍の将軍は、大きなため息をついた。
ついに、同盟に合意し、戦争を決意した孫権は、思いとどまれと訴える老臣達に、自らの決意を伝える。この決定に従わないものは、首をはねると宣言する孫権。
周瑜以下、孫権軍の将軍達を引き連れて、劉備の元に戻った孔明は、さっそく全員を劉備に引き合わせる。大きな御殿に住んで、贅沢な暮らしをしている孫権に比べて、劉備はあくまで質素で、住居もあばら家。しかも、わらじを作っているではないか。部下の張飛が言う。「劉備様の作ってくれるわらじは、大変に強固で履きやすく、いくらでも歩けるのだ」と。そのわらじを手に取った周瑜。劉備の人徳を一目で見抜き、尊敬の念を強くする。これにより両軍の指揮官達は、一つになった。
いよいよ曹操との決戦の時である。曹操は、降伏してきた将軍や兵士を犠牲に使う。80万の大群は船にのり、赤壁へと向かう。しかし、海戦には不慣れな曹操が、船で決戦を挑むとは思えない。きっと陸からも来るに違いないと見抜いた孔明。周瑜と話し、陸戦の用意を進める。見事な読みと戦術で、曹操の陸兵2万を倒した周瑜・孔明軍は、いよいよ最後の決戦、赤壁へと向かう。これが有名な「赤壁(レッドクリフ)の戦い」である。
ここまででPart1はおしまい。Part2が待ちきれない。
さすがにジョン・ウー監督作品である。すばらしいスペクタクルと、撮影のアングル。CGもふんだんに、迫力ある画像を作り上げている。人物もじっくり描かれており、2時間40分という長い映画だが、全く時間を感じさせない。一気に見せるところは、さすがとしか言いようがない。
これは、素晴らしい映画だ。
評価:★★★★★