インドからインド会社の日本人社長、営業部長と宣伝部長が来日し、下期からの事業移管に関する事業計画の打ち合わせを行う。インド人は緻密で粘り強く、決して自己主張を曲げない国民だと、NHKスペシャルの影響で信じ込んでいた僕は、少し拍子抜けした感じ。事業計画がかなりいい加減なものだったせいだ。売上の伸びも根拠がなく、漠然とCAGR40%で積み上げてあるだけ。口を開けば、東京のサポートが必要だと。
広告宣伝費は50%を負担しろとか、ロードショー費用は全部本社で負担しろとか、技術者を無料で送ってくれとか。事業を始める前から、すでにたかりの姿勢である。こんなことで、本当に事業ができるのだろうか。まず、自分の予算の中で何ができるか。将来のシェアーを3年間で5%、5年間で10%に引き上げたい。そのためには、代理店の数を増やさないといけないし、代理店を支援して、セカンド・ティアーを上げていかねばならない。だから1年目には、新聞広告や雑誌への広告。その他の宣伝を行うと同時に、並行してインド各地の有力代理店を訪問し、製品のロードショーをやりたい。各地でセミナーを行いたい。08年下期は最低でも新聞広告を2回、雑誌を4回、セミナーは4回はやらねばならない。それぞれにかかる費用がこれだけ。それを予算化したら、売上がまだ上がってこないなか、赤字になる。その額はXXXドル。そこで、本社には初年度に売上の3%の広告宣伝費負担、初年度に限った製品価格の値下げを5%やって欲しい。そうしたら、赤字がxxxドルにまで圧縮できる。
この活動を続ければ、5年間の売上はこのように増加してくるから、人も増やして、2年目で単年度黒字、3年目から累積解消。そういうシナリオを語って欲しかった。全てのインド人がNHKのいうようなスーパーなインド人ではないのだろうし、当社のインド人がそもそもダメなのか、あるいは誰かに吹き込まれて、たかり体質が染み付いているのか、あるいはインド人ならではの損得勘定で、「たからな、損損!」と思っているのか。
いづれにしても、大いなる失望を隠しきれなかった。しかたないので、何も当てにならない数字ではあるが、こちらで改めて作り直して、当社のコストをはじかねばならない。全く、困ったもんである。
インド人は日本を好きだというが、実際は彼らが食べる事のできるものは、日本には少ない。まず牛肉がダメ、豚もダメ。魚を生で食べる等、見るからにおぞましい。ましてや水槽で泳いでいる魚を網ですくってそのまま料理し、客の前に出した時には、まだピクピクと死ぬ前の痙攣(と映るらしい)を繰り返している魚を、「フレッシュ!」の一言でありがたがって食べているなんて、ありえないし!更に追い討ちをかけるように、「馬」の肉まで食べるという。しかもあろうことか、「生」である。これで「馬力が出るぞ!」なんていっているのは、下らないシャレでしかありえない。常に「これは何?これは何?」等と一々質問しながら食事をせねばならない。彼らが聞きたいのは、「これは牛ではないでしょうね?ましてや豚でもないですね?」と言う事なんだが、彼らはWhat is this ?と質問してしまうから、こちらも電子辞書を片手に英単語を検索せねばならない。しかし、実際には彼らを満足させる回答は、What is this ? に対して、Not a pork, not a beef. Don't worry.でよいのである。
お互いに、面倒なことだ。