韓国からお客様がこられて商談した。
いつも、こちらがご馳走するときは、賑やかな居酒屋ばかりで、こちらが韓国に行くと、「宇宙一美味しい焼肉」なんかをご馳走になったりするという、アンバランスが続いていたが、今回は米国留学中の長男さんも東京に来られるということなので、ちょっと美味しいものを食べてもらおうと、「神田 その田」へ。
てんぷら屋さんです。
予約すれば、和室の掘りごたつになったカウンターへ通してもらえて、目の前で食材の説明を受けながらてんぷらを揚げてもらえます。これが、実にうまい!
池波正太郎さんの本に、「てんぷらというのは、親の敵にでも出会ったような気分で、揚げるそばから、がつがつ食すべし!」というのがあった。まぁ、てんぷらに限らず、寿司でもそうだが、カウンターに座って酒ばかり飲みながらタバコを吹かして、せっかく握ってもらったお寿司がどんどん乾いていく。そういうお寿司を見るのは、とっても可愛そうでみていられない。てんぷらも同じで、揚げたての熱々を、ホフホフ、ハフハウ言いながら食べるのがうまい。たれにつけると「ジュッ」って音がするくらいの揚げたてがうまい。
せっかく、一品一品食材を説明しながら職人が揚げてくれるのに、会話に夢中になり酒に酔い、皿の上に揚げたてんぷらがいくつも乗って冷たくなっていくのを見ると、本当に可愛そうだ。職人も、その人だけ別にペースを遅くして出しているが、基本的には食材によって油の温度や揚げ時間なんかを調整しているんだから、一人だけ別の食材を揚げるってのも、全く面倒なことだと思う。そういう人は、本当に居酒屋で冷めたてんぷら食っていればいいのになぁ~と、本当に悲しくなるものだ。
寿司職人は、実は切った後に、一口味見をして、ネタの良し悪しを確かめることができる。もちろん、寿司職人に言わせれば、「そんなもの、口に入れないでも切っただけで良し悪しが分かるものだ!」と怒り出すかもしれないが。しかしてんぷらは、揚げた後に職人が味見をするってことができない。一本一本、揚がり具合も微妙に違うし、それこそ一球入魂、一発勝負で揚げているでしょうねぇ~と職人さんに聞いたら、「よくお分かりで。その通りです」と言ってた。やっぱり、その食材もへの感謝だけではなく、そういう職人のこれまでの努力と技に、感謝をこめてベストのコンディションで食べるべきだと、僕は強く強く、思うんでした。
美味しかったです。ありがとう!