【読書】君の望む死に方(石持浅海著) | なんのこっちゃホイ!

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前作、「扉は閉ざされたまま」を読んで、う~んと思い、別に感想もアップしなかったが、あんまり世間が「面白い!面白い!」というので、第2作を読んでみた。結果、やっぱり「う~ん」であった。倒叙式ミステリーという分野の小説なんだろう。つまり、最初から犯人も動機も殺害方法も読者には分かっていて、後から現れる探偵役がいかに見事な推理で犯人を追い詰めていくかが楽しい型の小説だ。有名なものに、「刑事コロンボ」があるといえば、大抵の読者は、あ~!とお分かりいただけると思う。


ソル電気の創始者であり、社長である日向貞則は、末期がんで余命6ヶ月との宣告を受ける。彼には、共に会社を興し、技術面で会社を立ち上げてきたパートナーがいた。このパートナーを死に追いやったという、心の闇を抱えている。それだけではない。その友人(パートナー)の妻とも、一夜の過ちを犯したという、別の闇も抱えている。そしてもう一つ、その友人(パートナー)の息子が、旧姓を名乗って自分の会社に入社していることも。

日向は、残り少ない命だが、このパートナーの息子、梶間晴征によって殺害されて終えることを望んでいる。


こういう動機で、この社長が色々と画策して、梶間君が自分を殺害できる機会を与えようと一生懸命に努力する。その設定がまた、臭い臭い。優秀な若手独身社員男女2名を合宿所に招き、お見合いをさせて結婚させる。そうすることで、優秀な人材の流出を防ぐという、あり得な~い会合から話は始まる。またこのお見合いを成功させるために、社長の親族2名とその友人の女性1名を合宿へ参加させる。優秀な選ばれた人材4名が合宿すると思うから、参加者はそれなりに緊張もし、かつ競争心も持つ。ところが、全ては演出で、ようは、くっついて欲しいだけなのである。過去数年の歴史の中で、二組の男女が結婚したというから、馬鹿げている。


しかし、優秀な1名の女性、社長の親族の友人として参加した1名の女性の頭脳故に、計画は少しずつ狂い始める。この女性は、前作でも、開かぬ扉の謎を解き、そして犯人を指摘した女性である。まぁ、いってみればこのシリーズの主人公である。この女性が後半も後半、最後になっていきなりその優秀な頭脳を披露して、社長を大いに不安に陥れるというのは、何ともはや。


しかし、小説の扉の1ページに、秘書の小峰が救急車を呼ぶ場面から始まっているから、誰かが死んだのだ。社長が計画通りに殺されたのか?はたまた、主人公の女性が、社長が身を守れるように用意したトリックに梶間が引っかかったのか?いづれにしても誰かが死んだ。誰かは分からない。それが「君の望む死に方」であったのかどうかも・・・・


評価:★☆☆☆☆