大体において、年長者は、その人生経験から、独特の人生における教訓を持っているものである。
先日、葬式の場でそれら年長者とたくさん酒を酌み交わす機会があり、その時に教わった教訓を二つ。
①「成功の反対語は、失敗ではなく、何もしないことである」
言いえていて、妙である。
成功の反語は失敗であると思いがちで、失敗を悔いることが多いが、実は失敗はある意味貴重な体験や教訓を与えていてくれて、それが成功に繋がることが多い。だが、「何もしない」ということは、結局「失敗すらも」しないということなので、それこそ何も生み出さない。何も生み出さなければ、結果として成功することはない。
失敗の積み重ねの結果こそが成功であるとするならば、失敗を恐れずどんどん挑戦することである。
-メーカー勤務の従兄弟-
②「人生とは、自分を納得させる旅である」
人生の始まりは、実は社会に出た時から始まる。子供のじぶんは、競争といっても生死を分けることもないし、所詮は閉じられた世界でのできごとで、それは人生とはまだ言えない、準備段階なのである。
会社に入った頃はそれこそ夢も一杯あり、「社長になってやるからな!」と大声で叫ぶ元気のいい同期なんかも5,6人はいるものである。それが30代を過ぎれば現実に直面し、「まぁ、社長は無理かな。せめて専務に」となり、課長職につく40代になると、「せめて取締役でいい」と考え、50代になると、「事業部長でもいいか・・・」と思いながら、次長で定年していくものである。その都度人間は、自分を納得させて生きていくのである。
人生とは、自分を納得させる旅なのである。
-脱サラ独立社長の従兄弟-
両方とも、当たっていると思う。
失敗と成功の話は、元気を与えてくれる。
40を過ぎて、50手前になって、未だに「社長になる!」なんて言ってるやつは気がふれている。
思っていても、心密かに思い、そこへの道が見えているなら、そんなことは言わずにその道をまい進していることであろう。
しかしそんなやつこそ、ごくごく僅かで、人生は余りに短く、トップの席は余りに少ない。
その現実に気づいた時、「仕方ないさ」と諦めることなく、目標を現実に照らして修正していくことが重要である。
この教訓は、前向きなものであって、決して諦めを意味しているものではない、と思いたい。
とにかく本人は、入社した会社の社長ではなかったが、自ら事業を起こして社長になったのである。
今彼は、自分に何を納得させようとしているのであろうか。