自分探しの旅 | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

今日は何故か、あまり忙しくないので、日頃溜まったことを一気に吐き出している。


最近、「自分探しの旅」なるものが流行しているそうである。あるいは、していたらしいのである。

有名な所では、世界のサッカー選手中田君が、いきなりサッカーを引退して、有り余るお金を武器に、自分探しの旅にでかけてしまった。もう、数年前の出来事のような気がするが、今は何をしているのか。


先日も、同僚から彼の部下が突然旅に出た話を聞いた。

僕も前の会社の時に、部下の一人が突然に行方をくらまして困ったことがあった。

同僚によると、ある日突然、辞表が机の上においてあったのだそうだ。

同僚はソフトの開発部門におり、今年末の新製品発売を前に超多忙な毎日であるはずで、その部下も同じように忙しいはずである。

その部下がこともあろうに辞表を出したというだけで問題なのに、その理由が「自分探しの旅」であったとすれば、彼の上司の叱責はいかばかりかと、想像するだに恐ろしい。


とにかく、その部下は行方をくらました。

アパートに電話しても、電話は解約されており、訪ねてみたがすでに引き払われており、大家も不動産屋もどこへ行ったのかしらないという。ということは、かなり計画された行動のように、見て取れる。実家に電話してみたが、親ですら知らないということらしい。その親が言うには、「昔から放浪癖がありましたから、しばらくしたら帰ってきますよ」とウソブイタということである。

その同僚は親に、「でもクビですから。辞表を出されていますが、これは受領せず、懲戒解雇にします」と告げたらしい。それで親はようやく事態の深刻さに気づいたらしく、どうか思いとどまってくれと泣きついたとのこと。

思いとどまるも何も、本人がどこへ行ったのか分からないし、退職金は銀行に振り込めと言われても、そんなことはできないと説明。親が謝罪と説明に現れたので、じゃ、有給休暇があるので、その半分までは特例で休暇扱いにしてあげるけど、それ以上待っても連絡なければ、処分すると伝えたらしい。

全くもって、困ったものである。


そもそも「自分探し」とは一体なんだろうか・・・?

分からないので素直に自分の部下達に聞いてみた。

「それは、今の自分が本当に正しいのかどうかを、確かめることですよ。今のままいてもいいのか、あるいは別の生き方や人生があるんじゃないか。それを確かめる旅ですよ」と。

どんな旅やねん・・・?全然わからんやないの。

旅に出て、世界か日本かどこか知らないが、そこで出会った人たちとお話をしたり、仲良くなったりすることが、現状の自分を確かめることなのか?あるいは、旅の行く先々で、バイトをやって、そうやって色々な仕事を経験して、今の自分を確かめるということなのか?ちっとも意味がわからない。


毎日、ルーティンのような仕事をこなしていると、「俺は本当にこれでいいのか」と思うことはあるだろう。

僕にもあると思う。しかし、今いる場所でそれを確かめるしかないんではないでしょうか。

その前に、本人の働き方はどうなんだろう。

人間に迷いが生じる時というのは、恐らく毎日の暮らしに変化がない時ではないかと思う。

年功序列の時代には、何もしないでそこにいるだけで給料がもらえて、退職金ももらえたんだろう。
植木等に代表される「昭和のサラリーマン」である。一部(あるいは大半)の官僚組織は今もそうらしいが。

しかし現代の「平成サラリーマン」はそうはいかない。

成果型給与になり、働かざるもの食うべからずであるから、こんなブログ書いている僕は給料泥棒であるなぁ。

まぁ、それはおいておいて。

毎日に変化をつけるのは、本人の仕事への向かい方だろうと思う。

成果型給与とは、つまりプロフェッショナルということだからだ。

プロは野球でも何でもそうだが、働きに見合った給料をもらうわけで、プロになるには、それなりの知識と経験を養うことが必要で、そのための機会を会社は提供してくれるわけです。もう一つ、プロになるには、自らを深く追求して、自らの仕事を掘り起こすという行為が必要です。そうでなければ、決して結果は生まれないからです。

この事は、まさしく毎日のルーティンからの脱却であるわけで、毎日の仕事が迷いを産んでいるとするならば、なにをおいてもプロ意識が足りないということになるんじゃないでしょうか。


そんな人たちが、世界を歩いたり、日本を歩いたりして、本当に自分がみつかるの?

第一、探すべき自分って、あるんでしょうか?

実は、毎日、毎日の中にこそ、探すべき自分があるんじゃないでしょうか。


結局その同僚の部下は、現れたものの期日に間に合わず、やむなく懲戒免職となったよし。

ついに彼は自分探しの旅にでて、戻る場所までなくしてしまったようです。