【ランニングちょびっとアドバイス④ 】 ~苦痛に強いメンタルの作り方~
(前回のトレ日誌で、書き漏れたので追記します。)
マラソン大会でよく見るシーン…
終盤で疲労困憊のランナーが、グラウンドに入って残り400m、ゴールゲートを見た途端全力ダッシュ。
「そんな力が残ってるなら、5キロ前からもう少しペース上げとけばいいのに…」 誰もが思う事でしょ。
でもね、それはムリなんです。 理由は『脳』
脳はすごくワガママなズルい臓器で、一番大切な事は『自己の存続』。
自己の存続に支障をきたすような状況になると、その状況を変えて自己の安全を守ろうとします。
存続に支障をきたす状況とは『低血糖と低酸素状態』で、マラソン走ってる状態そのもの。
用も無いのに42キロも走れば、筋肉が脳の唯一のエネルギーの糖を燃やし、後半は底を着く状態。
また、脳は酸素を大量消費する臓器で、平常でも吸った酸素の1/4を使っちゃう酸素っ喰い。
それも筋肉がバンバン使っちゃうから、これは大変危機的状況で、「じゃあ、こうしてやる!」
…と苦しさと身体のあちこちに痛みを作って、「ほらほら辛いだろう。走るのやめろよ。」とやる。
狙いはリタイア、少なくともスピードダウンさせて筋肉に血糖と酸素を使わせないようにする。
ところがゴールゲートを見た途端、「あそこまでならもう安全、好きなように走んな。」と苦痛を消す。
ランナーは、突然身体が軽くなって猛ダッシュができるので、本当は走る能力はもっと高いんです。
も少し苦痛に対する耐性が強ければ、…いやいやそもそも脳が苦痛を作らなければいいんでしょ。
さあ、ここからが本題で、脳に苦痛を作らせない方法があれば知りたいでしょ。
でもその前に、「脳が苦痛を作るのはなぜか?」チョット考えてね。
答えは、「スピードと距離が滅多にない非日常であり、マラソンを走っている状態が非常事態だから。」
ならば、脳に苦痛を作らせないためには、レース中の『低血糖と低酸素状態』を日常にすればいい。
練習中時々、『低血糖と低酸素状態』を作っておくと、本番で「いつもの事ね。」と苦痛を作らない。
だから、脳に苦痛を作らせないためには、普段からキツイ練習をしておく事なんです。
で、ここまではフィジカル・肉体的条件。
じゃあ、メンタル・精神的な要素は『経験・記憶』という事になる。
マラソンの距離とレース・スピードは、脳が作る苦痛が無くても、肉体に大きな負荷のためツライ。
でも普段からキツイ練習をしておくと、大負荷によるフィジカルの苦痛も「いつもの事ね。」と思える。
ツライ経験を増やして慣れる事で、意識の上で「練習はもっとキツイぜ!こんなの余裕さ。」となる。
…という訳で、短時間を高速で走って心拍だけ上げて少しだけツラい、やったつもりになれる練習でなく
一定速度で40~60分走り続けるトレーニングから始めると、心も体も変わっていきます。
練習中ちょっとキツクなっても、歩かずもうひと頑張りする事で『ベースと強いメンタル』が手に入り
次のレースは、自己ベストが出ちゃうかも知れませんよ。