人は、自分の肉体の問題に直面した時、その人の本質が現れると思います。
本物のアスリートとは…
私のトレラン仲間に、イトートモさんという方がいます。
2012年、私・イトーさん・彼の義兄のシミズさんは、日本で初の100マイルレースとして開催された『第1回UTMF:ウルトラトレイル・マウント富士』に参加しました。
イトーさんは残念ながらリタイアとなりましたが、2014年第3回UTMFでは36時間42分という
素晴らしいタイムでその実力を証明しました。
渋谷の青の洞窟に行って来ました。
しかしその年、イトーさんは股関節の大ケガでトレランどころか日常生活や・仕事にもにも支障をきたす状態になってしまいました。
手術を受けるも、強い痛みで日常生活や歩くだけでも辛い状態なのは聞いていました。
ショックや不安どころではない、押しつぶされるほどの心労があったと想像しますが
いつも淡々とした話し方で、私は彼の辛さを感じる事はほとんどありませんでした。
私は彼と話した後いつも、自分だったらどうなっているだろう。
復活できると信じる心も、一年二年と経つうち揺らぎ始め、いつか諦めが心に満ちて
走ることを忘れようとするのではないか、という恐れを感じたものでした。
2016年、二度目の手術で痛みが減って希望が増えたものの、走れない状態は同じでした。
ところが、まる3年経った2017年夏、8㎏のダイエットをすると
何とトレイルをゆっくりながら走れるようになりました。
さらにダイエットを続けて15㎏近く減らした10月、トレイルであればかなり走れるようになっていました。
「何故走れるようになったんですか?」という私の問いに
「痛みはあるけどこうゆうもんだ、と考えを変えたら走れたんです。
でもロードは痛くてムリ。
レースには必ずロードがあるので、そこを走らないとタイムは良くならないので…」
そして、彼は私に問いかけました。
「人工関節にしたらこの痛みが消えて、全力はムリでも痛くなく走れるようになりますか?」
初めて聞いた彼の苦悩の言葉。
(そこまで辛かったのか。)
二人で話し合った結果「ここまで良くなったんだから、まだ良くなるはず。もう少し待とう」
という結論になりました。
この時、彼の『鋼の心』の強さは私の想像を超えており
私のアドバイスは、もはや彼にとって小さすぎてまったく役には立たないと感じました。
ところがこの12月のある日、突然イトーさんから連絡が
彼:「先月180キロ走ったんです」
私:「今、何かスゴイ事言った?」
彼:「何だか、突然走れるようになったんです。ロードも走れます。」
正に夢のような言葉。ただ素直に嬉しい。
私にとって過去一番楽しかったトレーニングは、2012年の第1回UTMFのためにイトーさんと
義兄シミズさんと走った、4月の雨降り・夜間の『ハセツネ一周(71,5キロ)』練習。
当時私は体調不良で五月のUTMFの参加を迷っており、雨降り・夜通し・幾つかのトラブルの中
15時間59分で走り切れた事で、自信が復活しUTMF参加を決めたのでした。
大変な一夜だったのに、充実して何だかすごく楽しかった記憶があります。
私はまた、3人でハセツネ一周トレーニングする事が望みだったので、これでまた行ける。
歌や物語で『最後まで諦めない』という言葉をよく聞きます。
しかし、いつ終わるか知れない嵐の真っただ中にいる時、人は本当に諦めずにいられるか。
私は、彼が苦しみながら決して諦めず乗り越えてきた姿をずっと見てきました。
私は、『最後まで諦めない』とはこういう事なのだと初めて知りました。
人は自身の肉体的問題に直面した時、逃げるか立ち向かうか、その人の本質が出ます。
私は、真のアスリートの姿を見ました。
そして、まだ強い痛みのある時、イトーさん交わしたともう一つの約束。
「もしまた走れるようになったら、神流(かんな)のトレイルレースを先生とペアで走りたい」
多くのトレラン仲間がいるイトーさんが、私を選んでくれた事に感動しました。
「イトーさん、絶対走れるようになるから必ず一緒に走ろう!」
(絶対行ける!) なぜか、気休めではない確信がありました。
大切な友人が、暗闇の世界から戻ってきました。
来年、約束を果たします。
〖先週のトレーニング〗
12/04(月):休 み
05(火):ラ ン:8.6K・50分
06(水):休 み
07(木):バイク:スピニング60分
08(金):ラ ン:8.7K・1時間00分
09(土):ラ ン:10.1K・59分
10(日):ラ ン:10.1K・1時間01分
〖腰痛・膝痛 さいたま市北区,ふく山接骨院,福山眞弘〗