NY観劇レビュー、最後は知る人ぞ知る、ライオンキングです。最初は観る予定ではなかったのですが、ハリーポッターが不完全燃焼だったため、子供達にこれぞブロードウェイ! 的なショーを見せたいと思い、急遽チケットを購入しました。ライオンキングは劇団四季とシアトルのツアーカンパニーで観たことがあり、大好きなミュージカルのひとつです。





さすが専用劇場! 巨大なライオンのオブジェ。


感想は素晴らしい! の一言。キャスト一人一人のレベルももちろん、高いし、専用劇場ならではの豪華な舞台セットで物語に引き込まれていきます。


このプロダクションで特筆すべきは、顔が出るキャラクターにはほぼ全て、アフリカ系の俳優を起用していること。最近、多様化の流れで元設定にない人種の俳優が起用されることも多いですが、個人的にやはり見た目がイメージと異なると違和感がぬぐえず、物語に入り込みづらくなります。ちなみに、今回のハリーポッターのプロダクションでは、ハーマイオニーは黒人の女の子でした。


いろいろな意見があると思いますが、例えば、ミス・サイゴンはアジア系、Bring in the noise, bring in the funkはブラック系の俳優に演じて欲しいと思います。それは差別ではなく、人種も個性のひとつと考えても良いのでは、と思います。


NY観劇レビュー4つめはBob FosseのDancin’です。Bob Fosseは1940年代ころから80年代までブロードウェイやミュージカル映画で活躍したダンサー及び振り付け家です。有名なところではキャバレーやシカゴがあります。


シアター内部。





ショーはタイトル通り、Bob Fosseのダンスナンバーをダイジェストで見せる、踊りっぱなしのショー。改めて、ダンサーの体力ってすごい。。。フォッシーの独特でセクシーなダンススタイルをお腹いっぱい、堪能しました。有名なナンバー、Sing Sing Singはいつ見ても圧巻です。


このショーの素晴らしいのは、普段はコーラスダンサーとして、主役をはることがあまりないダンサーにスポットライトを当て、最後に名前とともにひとりずつ紹介するところです。人一倍、身体を酷使して毎日ステージに立つダンサーが報われる瞬間です。コーラスラインを彷彿とさせました。


少し残念だったのが、有名どころのシカゴやキャバレーのナンバーがなかったことです。Fosseと言えばのAll that JazzやMein herrのナンバーも見たかったです。




また間が開いてしまいました。。。一日、一日が飛ぶように過ぎていきます。

 

忘れないうちに、NY観劇レビュー、三本目は中谷美紀主演のHunting Gun(猟銃)です。井上靖の小説、「猟銃」を元にした一人芝居です。これまでも海外や日本で何度か上演されているようです。こちら、友人のSNSの投稿でちょうど私たちがNYに行く時期に上演されていることを知り、ミハイル・バリシニコフと共演ということにも興味をそそられ、チケットを取ってみました。

 

 
小説は一人の男性に宛てた、三人の女性からの手紙で構成されており、中谷美紀さんは一人でこの三人を全て演じます。中谷さんはテレビでしか観たことがなく、演技派なイメージでしたが、やはりすごい女優さんだなと思いました。衣装を変えながら、個性の全く違う三人の女性を見事に演じ分けていました。

 

セリフは小説通り、ということは小説丸まる一つ分、暗記しているということで、それだけでもすごいと思いました。。。セリフは全て日本語で、英語の字幕がスクリーンに表示されるという形式でした。

 

期待していたバリシニコフは踊ることもなく、舞台奥のスクリーン裏で銃を構えて立っているだけ。時々姿勢を変える以外、セリフも全くありません。確かに、彼の存在感はすごいなと思ったのですが、どうしてもぬぐえなかった感想が・・・

 

これ、バリシニコフでなくてもよくない??

 

NYということと、上演がバリシニコフアートセンターということ、アメリカでは無名の日本人女優の一人芝居ということで、注目を集めるためにバリシニコフが出演することになったのだとは思いますが、バリシニコフがどうしても譲介に見えない。。。人種で役を決めるのはこの時代、ナンセンスだとは思うのですが、世界観を表現するためにはある意味、仕方のないことではないのかと思います。例えば、この後で観たライオンキングはほぼアフリカ系の俳優がキャスティングされており、おかげで世界観にどっぷり浸ってみることができました。


また、話の内容がかなり日本的な暗い内容なので、海外の人たちに理解してもらえたのだろうか、というのも疑問に思いました。終演後、英語で「日本語が理解できればよかったのに。。。」と言っている声が聞こえました。

 

ごもっとも。。。

 

字幕では伝えられる内容に限りがありますよね。ということで、違和感はぬぐえなかったものの、生の中谷美紀さんは美しく、演技も素晴らしかったので良いものが観られたと思います。